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第四百十一話

 全校放送されている。がどういうことなのかと言うと、インタビューがあるということだ。

 宗一郎はなんと秀星にすべて丸投げした。

 どうやらアトムが既に待機していたようで、秀星がすべてのインタビューを引き受けるような感じに仕組まれていた。

 秀星は『あとで仕返ししよう』と心の手帳に書きこんでおくことにして、インタビューを受ける。


 無難に答えてといえば本当に無難に答えることが出来るのが秀星だ。

 なんせ、エリクサーブラッドの影響で全く緊張しないうえに、圧倒的な感覚神経を使えば、集まった記者全員が何を考えているのかを把握して理解できる。

 ただ、アトムから『丁寧な感じじゃなくて、記者を軽々しく扱っているような雰囲気でよろしく』というカンペが来たので、秀星は実際にその通りにすることにした。

 秀星は台本が面白そうであれば喜んで道化(ピエロ)になるタイプである。


 ――お二人とも強かったですね。

 『でしょ。あれで実は全然本気も全力も出してないんですけどね』


 ――(イラッ)大体どれくらいだしたんですか?

 『……本当の本気の全力と比べると……あまりにも小さすぎるくらいですね』


 ――あなたはその、瞬間移動のようなものをしていたような気が……。

 『あ、実際にしてましたね。厳密には転移魔法ですけど』


 ――そんな魔法があるんですか?

 『自分、序列一位なもんで。まあこれくらいは当然ですよ』


 ――誰にでもできるんですか?あれ。

 『今から頑張れば……十五年くらいでできると思います』


 ――十五年……あなたいま十七歳ですよね。どうやって使えるようになったんですか?

 『ここでは言えないようなことをいろいろしましたね』


 ――ここでは言えないことですか?

 『はい。ここでは言えないことですね。やましいっていうよりは……専門用語すらついていないような抽象的なことが長々と続くので全然インタビュー映えしないっていう感じです』




 ……とまぁ、テレビに映るというのに低姿勢力がゼロという態度である。

 ちなみに、秀星本人にとどまる内容であればほぼ容赦のない感じだが、魔戦士社会そのものにかかわるような内容であれば秀星もそれ相応に控える。

 で、飽きてきたら、彼ら全員に催眠魔法をかけてインタビューを終了させる方向に持って行く。

 ただそれだけの話である。

 神器使いにとって『人を変える』ことなど、倫理・道徳的な障壁を全て取り除けばたやすいことである。

 そして、異世界で五年過ごした秀星に、その障壁はほぼ存在しない。


 結局、秀星がやりたいようにインタビューを始めて、秀星が終わらせたくなったタイミングで終了した。

 おそらく記者は帰ったら上司に怒られることだろう。ご愁傷さまである。

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