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第四百三話

「フフフ。お嬢さん。俺にしたがギャアアアアア!」


 剣の精鋭メンバーである雫、風香、羽計、エイミーの四人はルックスがいずれもいい。

 オマケにそのうちの三名が巨乳である。

 魔法社会になり、魔法を持ったことで調子に乗った生徒がハーレムを作りたがっているのか、新入生が四人に話しかけてくることが多かったのだが、当然そんなことは知らんとばかりに遠距離攻撃をぶっパして強制退場させている。


 四人曰く、『告白なら丁重にお断りするが、独占欲しか感じない場合は叩きのめす』という共通認識だ。

 それでいいのかと言いたいものだが、四人は恋などしたことないので大体そうなる。

 ……ちなみに、秀星に対しては『頼りになる』とか考えているが恋愛感情はない。

 雫はなんだかそれっぽい印象があったし、剣の精鋭が自由行動をしている時は秀星の近くに一番いるようなイメージが何となくあるが、『恋』ゆえに一瞬である。秀星のガードは硬いのだ。


 まあそれはそれとして、問答無用で叩きだされた生徒もいるわけなのだが、当然、他の生徒からも先生たちからも擁護されない。

 一応、他の生徒から引換券を獲得することが出来るのだ。それを考えると、キザッぽい三下みたいなことをして誘った結果反撃されたところで、負ける方が悪いのである。


「まさかこんなに速くハーレムを作りたいと言いだす人がいるなんて驚きだね!」


 カースド・アイテムの一つである弓矢をとりだして、有言実行で生徒の装甲をぶち破った雫。

 まあなんとも過激派である。

 秀星は時々『俺の周りには結婚したら将来が不安になるような奴が多いもんなぁ』みたいなことを呟いているのだが、聞いているのはセフィアだけだ。

 それはおいておこう。


「アハハ……そういう目で見られることはよくあったんだけどね」

「フン!そんなことをする暇があったら鍛錬をすることだ。『恋』で人は強くなれるが、『独占欲』では強くはなれんからな」

「ただ……私に対する視線が若干少ないですね。やっぱり胸なのでしょうか」


 苦笑する風香に、若干不機嫌そうな羽計。

 だが、エイミーの言葉に、二人は顔を背けることとなった。


「ムフフ。大丈夫だよ!私はエイミーちゃんの慎ましい胸も大好――いだだだだだ!ちょっと、ギブギブ!装甲が割れちゃうううう!」


 アイアンクローを仕掛けるエイミー。

 忘れられがちだがパワー系の少女なのだ。


「大丈夫ですよ。装甲が反応するのは『攻撃』だけで、『制裁』には反応しませんから」

「それって、雫ちゃんに対する抑止力のような……」

「そうだな。ぶっちゃけ、『アイアンクロー』は『攻撃』だからな」


 その通りだ。

 かなり個人的な主観で判断されそうなシステムだが、まあぶっちゃけてしまえば、雫に関しては緩いということである。

 とはいえ、この装甲を生み出す魔法具は、秀星が作ったものではなく、あくまでも委員会が作ったといえば、どれほど雫が普段から問題を起こしているかが分かるというもの。


「まあそれはそれとして、なんで新入生がこんな早々からハーレムなんて作ろうと考えたんだろうね」

「……それも謎だな」


 ハーレムを作りたいと思うだけなら、まあ男なら誰しもあることだろう。

 そこまではわかる。

 が、実際にそれを作ろうとして、オマケに二年生まで話しかけてくると言うのは一体どういうことなのだろうか。


「まあ、いずれわかるか」

「そうだね」


 片方で制裁を執行している中、片方では新入生の事情について考察している。

 この空気が違う感じ、別に『剣の精鋭』では珍しくはない。

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