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第三百八十二話

 格式が上の魔力を使う場合、その下の魔力を使っている攻撃のほとんどは無意味である。

 無傷で済ませることができるうえに、扱っている技術のレベルが圧倒的に異なるため、戦いにすらならない。


 召喚獣にもしっかりと思考はある。

 そして、生成されたばかりの存在とは言え、持っている知識や主人の考えと言うものは常識になるものだ。

 いや、面倒なことを言うのは止めよう。


(ど、どういうことだ……)


 ゾウ型の神獣の召喚獣は、理解できなかった。


「おりゃああああ!『過剰防衛斬り』!」


 召喚獣は、理解不能だった。

 自らの足を襲う大剣。

 そこに、プライオリウムの要素は見当たらない。

 使っている赤い髪の女性にも、プライオリウムを使っている様子は見つからない。


 しかし、そんな前提条件などまるで関係ないかのように、ゾウの召喚獣の足は切断される。

 もちろん、本来のゾウの大きさではないので足の下の方を切られたにすぎないが、彼に取ってはとても大きなことだ。

 意味が分からない。


「どうだ!神獣だろうと通用する斬撃だぜ。すげえだろ!」

「「「「「余計なことを言わなければ素直に褒めるのに……」」」」」


 赤い髪の女性が何やら叫んでいるが、周りにいる全員からツッコまれていた。

 でまぁ、このゴリラのような女性のそばにも少女たちはいるが、その少女たちが持っている武器や防具には、プライオリウムで外装を加工した形跡が見られる。

 この武器ならば、まだ分からなくもない。

 だが、このゴリラの斬撃で何故、自分にダメージが入るのかが分からない。


(なんていうか、『神獣も生物』だから、理解不可能なことが発生すれば思考能力は格段に落ちるし、そうなればみんなでも戦えるって言われたけど、本当にそんな感じだね)


 ゴリラ以外の少女たちはいろいろ考えていたが、大体似たようなことを考えている。

 本当にあるかもしれないスキル『ギャグ補正』

 そして、スキルにもランクがあるので、持っていたとすれば最高位になっているだろう。


 人も動物も、理解できない状況に陥った時、パニックに陥るものだ。

 そのため、理解しようとするのではなく、思考を捨てて本能で戦う方が楽である。

 今は戦いの最中なのだ。余計なことを考えている場合ではない。

 考えるのは後でもゆっくりできる。

 だからこそ、直感に委ねて戦う方がいい。

 理屈が通らない相手を理解しようとしてごちゃごちゃ考えても仕方がないのだ。


 なんせ、秀星やアトムでさえ、このゴリラを理解しようとすることを放棄しているのだから。


 ……相手することになってしまったゾウは何とも不憫である。

 そして、『神獣の親に創造された私はありとあらゆることが理解できる』などと言う傲慢を植え付けられたことを後悔しながら、彼は討伐されたのだった。

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