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第三百二十七話

 さて、キャンピングカーの中に入って、ゴソゴソカサカサバシンバシンとやった秀星達。

 ここで、来夏は竜人族の中で一番重要な人間にあっていないことに気がついた。


「なあ秀星」

「なんだ?」

「竜王ってアポ無しで会えるかな」

「会えるだろ。政務は執事に押し付けてるから普段暇そうだし」


 酷い言い方である。

 事実に基づいているからこそ酷いものになったとも言えるが。

 とはいえ、ここでそんな議論をしても仕方がない。


「あ、美咲は一回、竜王さんが住んでいるところに行ってみたです」

「行ったの?」

「はいです。クレー射撃をするために外出してると言っていたです」

「竜王ってクレー射撃するんだ……」

「そして執事さんが接待プレイをするためについていったと言っていたです」

「竜王って意外とカリスマ性がないのかな」


 雫からも低評価で定着される竜王。

 とはいえ、初対面でめちゃくちゃまったりしていた。

 おそらく部下の前でもあんな感じなのだろう。何に疲れているのかよくわからんが。


「まっ、それなら趣味の範囲だろうし。放置して次行くか」


 そして変わらず塩対応の基樹。

 技術的に言えば優れた国家である魔族を率いていた元魔王にとって、竜王がどう見えているのかはわからないが、いろいろ思うことはあるのだろう。

 ただ、嫌いになっていないことはわかる。


「そんじゃ、次行くか」


 来夏の言葉に全員がうなずく。

 頷かなくても行くわけだがな。

 来夏が主催する投票というのは、酷いときは『賛成1。棄権その他』で完結する。

 人はそれを独裁というのだが、来夏にそんな常識は通用しない。

 そのへんのバールで空間をぶち破れる奴にどんな常識を求めろというのだ。


 さて、そんなわけで移動している。


「次に行くのは『白の世界樹』だね」

「ああ。文明種は住んでなくて、今は知能が高いモンスターが住んでいるみてえだな」

「何をしに行くの?」

「ハッハッハ!何も考えてないに決まってるだろ」


 悪びれることなくそんなことをいう来夏。

 人を呼んでおいてこの態度。もはや尊敬に値する。


「まあでも、ノープランで乗り込んでもいろいろすることが出てくるくらいいろいろあるだろ」


 そんなことを言いながらキャンピングカーを走らせる来夏は笑顔だ。

 ここで、エイミーが呟く。


「……思ったのですが、この旅行って、世界樹に触れ合うということですよね。私達、黒の世界樹の近くまで行っていないのですが……」


 それを聞いた瞬間。誰も了承もなくハンドルを大きく曲げる来夏。

 わかりやすいゴリラである。


「盲点だったぜ!エルフとの絡みですっかり忘れてた!黒の世界樹まで一気に行くぞ!」


 そう言いながらアクセルを全力で踏む。

 外から見れば爆走。中では快適。

 一番苦労しているのは一体誰か。

 来夏の意志を考慮しなければならないキャンピングカー君のAIである。

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