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第三百二十四話

 千春とエイミーは魔法具の専門店に入っていた。

 彼女たちは一応、技術者としての一面もあるので、こういったところに来るとそう言うものを調べたくなって来るのだ。

 来夏は『飽きるまで』と言っていたが、彼女たちが飽きるのかどうかは微妙なラインである。

 まあそれはそれとして……。


「なんていうか、戦闘に関してはあまり強くないわね」


 生活に必要な『魔法具』は素晴らしいといっていいのだが、戦闘に使う『魔装具』に関しては言うほどランクが高くはない。

 竜人族は、人間形態と竜形態を持っている。

 もちろん、それ相応に広い場所でなければ竜になるのは危険だが、基本的に竜になるのだから、戦闘力はそれで十分確保されている。


 だからといって人間形態での戦闘をないがしろにするというわけではないが、いまいち、竜人族は魔装具に関してはピンと来ないものがある。


「でも、魔法具はなんといいますか……コストパフォーマンスが尋常じゃないですね」


 その代わり壊れるのが若干早そうだ。まるで家電のような進化系統である。


 洗濯機だとか冷蔵庫だとか、そう言ったものは二千年丁度とかそれくらいに買った物がよく長持ちするのだ。日本特有の『技術国家的なアレ』な部分が大きい。

 その分消費電力がなかなかヤバいことになる上に、洗濯機などは終盤になって来るとかなりうるさかったりするのだが、使えるかどうかと言う点で見るとかなり寿命が長いのだ。


 最近はもうすでに、大体の家庭で購入されているものなので、言いかえれば『購買欲』が落ちているのでたんに作っただけではもう売れないので、『計画的陳腐』だとかそういったことをして、あえて速めに壊れるようにするとかいうものがある。

 これによって、家電はその購買サイクルを速めている訳だ。そんなすぐに壊れるわけではないが、昔の様に長持ちはしない。


「まあなんだろ。あまり買う人が少ないからなのかな。値段もそれなりに高いね」


 制作費用が高いのかどうかは分からないが、使われている素材を考えると、一応、千春やエイミーにも扱えるレベルだ。

 それらを使って、なおかつクオリティがあるのはいいことだが、だからと言って値段が高いような気がする。


「うーん……そういえばさ。なんだか値段が変にかっちりしてない?」

「かっちり?」

「うん。なんか端数が無いっていうか……」


 その時、二人の会話を聞いたであろう店員が話しかけてくる。


「君たちは『人族文化圏』から来たんだったね」

「あ、はい」


 世界中で最も多い種族は『文明種』は『人族』である。

 そのため、人族が作る生活場所は、そのまま『人族文化圏』と呼ぶことで区別しやすいのだ。

 まあ、言うならばこの場所は『竜人族文化圏』なので、大した意味が無いとも言えるが。


「だったら不思議に思うのも無理はないね。竜人族文化圏では、『消費税』がないんだよ」

「へぇ……え、消費税がない!?」

「そ、それって大丈夫なんですか?」

「別に他の税金がないわけじゃないけど、それらの税率も少ないね。というより、竜王様の執事であるシュレイオが創造魔法に近い魔法を使えるから、そっちはそっちで贅沢をしているって話もある。この場所はね。『竜王』の権力は強くても、『政府』の力はそこまで強くないんだ」


 要するに、それ相応に優秀な人材は民営組織に入るということである。

 政府……要するにシュレイオが直轄する場所は、シュレイオが直々に鍛えた官僚団がいるだけで、あまり制限するというものではない。

 第一、こうして店を開いたりだとかいろいろしているが、実際に子供が外に放り出されても生きていけるだけの実力は普通にある。


 というわけで、倫理教育のために金を使う程度だ。

 だったら金なんて少なくてもいいんじゃね?税金少なくてもいいよね。と言うことになって、官僚たちも納得。

 そうして、消費税がなくなったというわけだ。


「……その官僚団が、自分でも外に出て普通に稼げるって言うのがアレね」


 種族的な強みがありすぎて、金が持っているシステムの恩恵が薄いといえる。

 文明が発達しているようにも見える竜人族。

 だが、日本人とは違うなぁ。と思うのだった。


 しかしそんな彼女たちでも、こちらをちらちらと見てきたりするエルフはウザい。

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