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第二百十四話

 アリアナは公安のメンバーとともに拠点の最奥についた。

 心臓がドエライことになっているが。

 というより、今まではこのような人選になったことが無い。

 当然ながら王女であり、王位継承権など最初からほぼないようなものであったが、それでも大切にされてきた。アースーに似たのか時折いたずらしては制裁されるまでがお約束だが。

 アースーやアレシアを始めとして、最近は秀星がいる。

 基本的にアリアナが動く必要はなかったのだ。

 だが、経験が必要と言うわけでこうして出てきたわけである。もっと他に何か無かったのかと文句を言いたくなるのも仕方がないといえるだろう。


 だが、来てしまったのだから攻略しなければそれはそれでアリアナとしても嫌である。


「それでは、これから最後の戦いですね。気を引き締めていきましょう!」


 心臓はバクバクだが、それを表に出さず鼓舞するアリアナ。

 ……さすがにこの段階になって来ると、大人と言うのは気が付くもので、『こういっちゃなんだが気持ち悪いほど緊張してるな』と思うものである。

 だが、本人のためには言わないのも、大人と言うものである。


 若干温かい目でアリアナを見た後、公安のメンバーは警戒しながら扉を開ける。

 その奥には……四メートルくらいの鬼がいる。

 腕にはトゲトゲの棍棒が握られていて当たるとミンチになりそうだ。


「……鬼ですね」

「そうですね。どうしますか?」

「私は上半身をとにかく撃ちまくるので皆さんは下半身を削ってください」


 確かに現実的と言えば現実的だが猛烈に見栄えが悪い。

 とはいえ、このメンバー。実は決定打と言う概念が地平線の外まで蹴り飛ばされているので、それならばじわじわ削るしかないのだ。


「これは任務なので、多少地味でも頑張りましょう!」


 アリアナはそういって何とか自分をフォローしようとする。

 とは言うものの、公安のメンバーとしては、アリアナがめちゃくちゃな指示を出そうとしないのはいいことだと思っている。

 若いうちは誰にでもいろいろあるのである。

 緊張しすぎて頭が回っていないということもあるだろうが。


 それぞれがしっかり武器を構えて、フォーメーションを確認して突入する。

 鬼がこちらに気が付いた。


「UOOOOOOOOOOOOO!」


 叫び声を上げる鬼。

 そしてその声に、メンバー全員が止まる。

 声が原因であることは明白だ。

 ただ、何と表現すればいいのだろうか。

 あえて近い表現があるとすれば『受話器を水没させて逝った後の地獄のような声』である。

 わかる人にしかわからないが、そうとしか言いようがないのだから仕方がない。

 だがしかし、倒さないわけにはいかない。

 この先にドアがあるので、その奥にはなんらかの資料があるはずだ。


「エイッ!」


 アリアナは三点バーストのライフル(?)で顔面を狙う。

 鬼は驚いたようだが、棍棒を振り上げ……間に合わず顔面に被弾。

 悲鳴を上げた後、アリアナをにらんだ。


「そんな睨みでは私はひるみませんよ!」


 鬼に睨まれても負けない胆力は素直に称賛するが、十四歳であることを考えると育て方を間違えている気がしなくもない公安メンバー。

 王族なので多少精神年齢が高くとも問題はないし、それもまた英才教育の賜物とも言えなくはないが、まあいずれにせよ、エインズワース王国の王族に対してまともであることを求めてもつかれるだけである。


「よし、皆さんもお願いします!」


 アリアナの言葉で我に帰った公安メンバーは接近する。

 ……ただ、ひとつ言っておくのは、近い未来であればアリアナは予知することが出来る。

 それを使えば、少なくとも人間ほど思考能力が高くないモンスターであれば優位に立つことが出来る。


 人間と言うのは、後から後からおいつくものだが、アリアナは先を見据えたうえでそれを追う。

 違いと言うものは出て来るのだ。

 だから、勝てる未来を選ぶ。それだけでいい。

 見栄えは二の次。任務遂行力のアピールは重要である。


 要するに、勝つことはできるというわけだ。

 とはいえ、初任務であるアリアナに関していえば、それができるだけで十分である。

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