第千三百四十五話
スマホに入れたアプリを使えば、参加者のポイントの変動履歴が確認できる。
そのため、風香が勝ってアトムが負けたということは、画面ロック解除のパターンを忘れて開けなくなったミーシェを除けば、全員が理解している。
……いや、中央の特別エリア程度の距離であれば、ミーシェはある程度感知できるし、風香もアトムも存在感の強い人間なので、そんな存在が障壁を全て削られて初期エリアに転送されていなくなれば、ミーシェなら何となくわかるだろう。
要するに、風香VSアトムの対戦カードにおいて、風香が勝ってアトムが負けたということは、参加者全員が把握しているという状態になった。
その上で各々がどんな判断を下しているのかと言うと……
「うーん……アトムが負けたみたいだな」
「だな。多分油断したんだろ」
むしゃむしゃボリボリ。
そんな擬音が聞こえそうな感じで、高志と来夏はいろいろなものを食べまくりながらスマホを確認している。
「アトムはもう一度風香を狙うのかね? 高志はどう思う?」
「さあ。俺もアトムの考えは分からんからな」
「だよなぁ……多分だけど、風香にとってもアトムにとっても、格付けに関しては済んでいないと思うけどな。アトムの方は多分本気出してないだろ」
「来夏の言う通りだろうな。てか、アトムが本気を出すって言うのがイマイチ想像できんわ」
「……今回の参加者。本気を出すつもりのやつって一人でもいるのか?」
「……いねえような気がする。優勝賞品も明かされてねえし、きっとほぼ全員が遊びで来てるだろ」
「ほぼ? ……誰かは本気を出すってことか?」
「椿」
「あ、そういうことね……」
まともにぶつかれば誰にも勝てない椿は、本気を出すしかない。
「相変わらず、椿にとっては苦しい戦場だなぁ。だから風香の傍にいるのかね?」
「秀星は今回の戦いに関してはあんまやる気なさそうだし、それなら風香についていった方がいろいろみられるからな。だからこっちを選んでるんだろ」
椿ははしゃぎたい人間である。
しかし、秀星はそれに適した相手ではないから、お母さんの方に突進しただけだ。それだけの話である。
「そんな状態だから、椿は風香を応援できるってわけか」
「秀星は応援とか関係なくめっちゃ強いからな」
相性がそこまでよくはない二人である。
まあ、基本は椿が一方的に関わりに行くだけなので何も問題はないのだが。
「うーん……しかし、このまま盤面が風香一色になるのは面倒だな。俺たちも行くか?」
「だな」




