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第百二十四話

「結構報酬金が多かったね」

「もともと奇襲を戦術とする人たちで、今回は回収できた装備が高性能だったからかな」

「たまに銃を叩き斬ったがな」

「それはすごいですね……ただ、この手の報酬は、あの装備を渡す代わりに報酬を増やすから黙っていろ。と言うことのように私は感じましたけど……」


 雫、風香、羽針、エイミーは屋上で話していた。

 秀星はまだ帰ってきていないのでこのメンバーである。

 一応、来夏にも報告はしているのだが、来夏も深くは考えていないようだった。

 全員が怪我なく、そして無事なら問題はない。ということなのだろう。

 ただ、このときの来夏の考えは、『秀星がその場にいなかったからといって守れないわけではない』というものだ。

 圧倒的な手段の数があり、選択肢の多い秀星。

 当然、遠距離でも対応できる部分は多いはずだ。

 今回の敵ならば、別の場所にいても守れるのではないか。

 というかそもそも、秀星本人が別の場所に行く必要があるのかどうか。ということもある。

 幻術だったりいろいろあるだろう。そんじょそこらのものが相手なら、別に自らが移動する必要すらないはずである。

 とはいえ、すでに過ぎた話であり、別に悪いことではない。

 だからこそ来夏は深く考えなかった。


「確かに、装備のランクは強かったな」

「かなり高性能の工場で作ったものだね。ちょっと分解して中身を見ても全然わからなかったけど!」


 やくたたずである。


「私も中を見ましたよ。日本でも有数と言っていいレベルです」


 そういうエイミーだが、彼女はあの工場が神器だと知らないので、他にもあれ程の工場があるのではないか。と考えているということもある。

 とはいえ、神器の中には『工場プラント』だけではなく、『研究所ラボ』もあるので、一概にないとも言い切れないのだが。


「魔法警察も装備不足だからね。有数の工場と言っても、使用制限を突破できないし」


 風香の言うとおりだ。

 魔法社会にも警察組織は存在する。

 しかし、法的に存在するのではなく、魔法社会にもモラルを与える組織から発展したものだ。

 装備という点においては専門の戦闘チームとは比較にならない。

 ただし、だからといって戦闘チームが刑務所の運営などできるわけではないし、効率のいい尋問方法など知っているはずもないので、それらを行う組織としてある程度の発言権がある。

 犯罪組織の装備の回収権もその一つだ。


「まあ、私達が持っている装備のほうが強力だもんね!」


 普通なら、強力な装備を手に入れたい。

 だが、警察組織だってそれは同じだ。

 今回の場合は、もとより防衛側の生徒たちは必要とはしなかったが、その必要とはしなかったことを隠した上でふんだくったのである。

 どこをどう考えても生徒たちのほうが悪い。


「会長と副会長は?」

「今も事情聴取だ。6人で三百人以上を捕らえたからな。流石に不審に思われているらしい」


 当然である。

 しかし、何もやましいことなどなく、単なる実力差である。

 自分が相手より五十倍以上強ければ、五十人が相手でも勝てるのだ。


「でも、秀星君がいなくてもなんとかなるんだね!」


 雫はそういった。

 そう、勘違いした。

 問題なのは……。


「そうだな。頼ってばかりだったが、私達でも大丈夫だった」

「自分たちでできることはなんとかしていきたいね」

「新しい工具も増えたので、選択肢は増えています。これからも大丈夫です」


 それを、全員が疑わなかったことだろう。

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