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この世界の頂点へ ~Shangrila War~  作者: 田中ももんが
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第一章 2 出発

【シャングリラに到達できたものはこの世の全てを手に入れる】

案内にはその一行のみが書いてあった。

初めて読んだ時には最高だ、という感想しか持たなかった、いや、それしかもてなかったと言うほうが正しいだろう。

小学生の頃からずっとゲームをしており、

「この世の全て」

という言葉にすごく惹かれてしまったのだ。

まるで、自分が物語の主人公にでもなったような、そんな感覚をこの言葉はあたえてくれた。

だが、なぜ学校の入学案内にたったそれだけなのか、俺はまったくわからなかった。


一週間前。俺のもとにもう一つ封筒が届いた。

二枚目には、詳しい入学の案内が載っていた。

そこにはシャングリラが全寮制であること。

卒業まで、家族や親戚や知り合いに一切接触してはいけないということも書いてあった。

いや、正確にいえば会えないといった方が良いだろう。

そもそも、学戦都市シャングリラは日本から遥かに南。

オーストラリアからさらに南下した場所にある人工島だからだ。

まぁよく考えれば当然のことだ。学戦都市と言うくらいだから、

一つの都市並のサイズがあるはずだ。そんなものを今どこかの国に作る訳にはいかないので、わざわざ人工島をつくったらしい。

その説明を見て妹は少し寂しそうな顔をしていた。

家族にしばらく会えないとおもうと、俺も少し悲しかった。

そんな気持ちが顔に出ていたのか、

「もうあんたも高校生だよ!しっかりしなさい!」

と母さんに言われた。

いつもなら、「はいはい」と受け流す所だが、このときは重く感じた。

そんなことを考えている間に俺は空港に来ていた。

「あ、あれか!」

空港に着くとご丁寧に学戦都市シャングリラ行きの便があった。

こんなに公にしていいのかとも思ったが、俺たち入学生だけに配られた、【シャングリラ・パス】というものを持っている人しか乗れないらしい。

飛行機にのるのは……俺だけかな!

こんなに大きい飛行機を貸し切りだなんて夢みたいだ!

どうせなら一番前にのろう!

など飛行機に乗り込み早々楽しんでしまっていると、

「まもなく当機は発車いたします。お客様はお座りになり、シートベルトをお閉めください。」

というアナウンスが流れてきたので、俺は一番前の席に座って待っていた。

「ちょっと待ったーーー!!私も乗りまーす!!」

おぉ!ビックリした!

女の子だな、きれいな黒髪だ。大人っぽい髪と対照的に目はぱっちりで小顔で、童顔だ。はっきり言って可愛い。

背中にリュックを背負っているのがさらに良し!

まぁそれはおいといてこの子も乗るってことは、シャングリラに選ばれたのか。

「ふー。間に合ったー!あれ?この飛行機に乗ってるってことは君も選ばれたんですか?

私は桃姫音歌(ももひめおとか)っていいます!これからよろしくです♪」

おいおい声まで可愛いな、語尾に♪マークが見えそうだ。

おっとおれも返さなきゃな。

「俺は御堂要だ。よかったよ、一人だと思ってたから。」

「そうですね!私も一人は怖かったですから、御堂君がいてよかったです♪」

「おう、それに数少ない日本人にあえてよかったよ。じゃあもう出発みたいだから。」

「そうですね!私も座ります!お隣いいですか?」

おっと、いきなり隣ですか!緊張するな!

そう思っていたら、飛行機は動き出した。

「御堂くん、御堂くん!突然ですけど要君って呼んでもいいですか!?」

「あぁ別にいいけど。じゃあ俺も音歌って呼んでもいいか?」

「もちろんです!私飛行機初めてなんです!だから正直楽しみと怖いが混ざってて。要君がいて本当によかったです!」

音歌はとても無邪気に話しかけてくれて、小さい頃の美咲を見ているようで懐かしく感じた。

「しばらく美咲にも会えないのか…」

いや、初日から弱気じゃダメだな。しっかりしないと!

「ん?要くん!美咲ちゃんってだれですか?」

どうやら声が漏れてたようだ。

「あぁ、俺の妹さ。音歌を見てると昔の美咲を見ているようでな。」

「もー!それって私が子どもっぽいってことですか!」

そう言って頬を膨らます姿も美咲にそっくりだ。

「私にも妹がいたんですよ!これでもお姉さんです!」

「へぇ。そうなのか。俺と一緒だな。」

「美咲ちゃんはどんな子だったんですか?」

「そうだな、美咲は…」

このあと気づかない間に俺たちは数時間の間、妹論を語り合っていた。

それはもう昔からの友達のようにな。


今乗っている飛行機が地獄への直行便であることも知らずに…

読んでいただきありがとうございます!

是非コメントなどお願いします!

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