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  作者: 恵樟 仁
アンダールシアの危機
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第二幕 4章 3話 狂人再び

3話になります


 兵士の頭を握りつぶしてしまったスキンヘッドの男……確か、どっかで見たことあるような……?



「ガリオンさん……貴方……なんてことを……」



 ガリオン……?うん、どっかで聞いたことあるような気がする。

 誰だっけ……。



「ああ?なんでぇ……役立たずの頭を握りつぶしたくれぇ……なんでもないだろ?」

「ひどい……」



 動かなくなってしまった兵士を蹴り飛ばし、ガリオンと呼ばれた男はそう言った。

 最低の奴だね。



「それで、そのガリオンさんはそこの元領主の用心棒か何かなの?」

「……あん?……てめぇ……まさか俺の事忘れてんじゃねぇだろうな?」

「ん?……どっかであったっけ?」



 あー、やっぱりどっかであったことあるみたい……そんな気はしてたんだけどねぇ……思い出せない。



「ガキが……良い度胸してるじゃねぇか……」

「クオン、わかる?」

「以前、ギルドで絡んできたCランク冒険者だね……ランクの割に弱い人だったけど」

「あ゛あ゛?」



 あー、そう言えばいたね……確かシルネアを無能呼ばわりした人だ……思い出した。

 クオンにボコボコにされて、そう言えば領主の護衛として一緒に逃げたんだっけ。



「それで、そのCランク(笑)の人がいるからってよく強気になれるね……以前、クオンにボコボコに負けた人だよ?」

「はっ……以前の俺と一緒にするんじゃねぇよ……今回はちゃんと殺すぜ?」



 そう言うと、ガリオンの雰囲気が変わる。

 以前とは確かに違うようである……ただ、何か嫌な感じがする……。

 私がそう思いながらガリオンを見ていると、ガリオンの眼が一瞬血走ったかのように充血する。

 その眼を見て、クオン何かに気づいた。



「今の眼……アンダールシアで何かされましたね?」

「ああ……ジーニアス様に力を頂いたのよ……おかげで今ならテメェのそのスカした顔を捻りつぶせそうだぜ……ククク」

「根暗坊主、何か知ってるの?」

「以前、アンダールシアの軍とたたかった時に狂ったような敵がいたのは話したよね……あの時の敵の眼とさっき一瞬なったガリオンの眼が同じ感じがするんだ……」

「あのガリオンも同じように狂わされてるっていうんですの?……ですがあまり変わらないようにも見えますわよ?」

「うん……もしかしたら個人差があるのかも……全員が全員正気を失う訳じゃないのかもしれない」




 だとしたらかなり厄介なんじゃないかな?前に戦ったっていう狂人もかなり手こずったって言ってたし……。



「まあ、何にしても私達はアンタたちを認めないわ……アンリエッタがここの領主よ」

「ふん……言うことを聞かんのなら力で従えるまでよ……ガリオン」

「ハッハハハハハハ!!」



 突然、ガリオンが笑いながらクオンへと突っ込んでいった。

 クオンはガリオンの手をクレイジュで受け止めるが、勢いに負けてそのまま壁まで叩きつけられる……いや、叩きつけられた壁はまるで飴細工のように粉々に砕かれ、クオンはガリオンと共に外へと飛び出していった。



「クオン!!」

「やれやれ……自分勝手な奴だ……雇い主である私の言うことも聞かずに……」

「唯一の護衛がいなくなったってのに随分余裕じゃない?……あのゴリラがどれだけ強くなったとしても根暗坊主には勝てないと思うわよ?」

「ふんっ……力を得たのがガリオンだけと思ったのか?来い!」



 ジェラーノが声を上げると、扉から4人の冒険者風の男たちが入ってきた。



「確か、ガリオンの取り巻きだったわね……そう……アンタたちも力を得たってわけね」

「キヒヒ」



 先ほどのガリオンとは違い、彼の眼はずっと血走ったままだ……クオンが言っていた狂人の特徴に一致する……。ということはやっぱり……。



「そんな紛い物の力で強くなった気でいるなんて滑稽ね……」

「ごめん、アンリエッタ……ちょっと館を壊しちゃうかも」

「はい……皆さん気を付けてください……」

「大丈夫!」



 確かに、クオンが苦戦したという狂人が4人……クオンの戦った狂人は体を武器に変えたり、鋼のように硬くしたと言っていた……それが狂人の能力なのか……それとも……。


 私がそう考えている、その考えを否定するかのように、4人のうちの一人、戦士風の男が背中に背負った大剣を抜き放つ……全身を武器に変えられるのなら武器を持つ必要はないはずだ……つまり……。



 以前クオンが戦った狂人の能力は、元の人間の天啓スキルだったのだろう……そして……。



「ガアアアアアアアア!!」



 男が剣を手にこちらへと突っ込んでくる……それを私はバトーネを持って迎え撃った。

 男の剣技は予想以上に鋭い……滑らかな動きで、こちらを翻弄してくる……まるでクオンのような剣捌きである。

 つまり、この男の天啓スキルはおそらく「剣術」だろう……だとすればこの狂人のようになる症状は天啓スキルを強化する副作用といったところだろうか……だとしたら……。



 私が、そう考えて瞬間、館の庭から爆音が響いた。

 そうだ、思い出した……確かクオンの相手をしているあのガリオンとか言うゴリラ……天啓スキルは怪力である。以前の状態でもかなりの危険なスキルだったのに……それが強化されているのか……厄介な事この上ないね……。



 庭での戦いも気になるが……目の前の4人の狂人もなんとかしないといけないし……このまま暴れさせると大変なことになるかもしれない……一気に片付けちゃおう。


 私はそう思い、目の前の敵に集中するのだった。

カモメ達の前に現れたジェラーノ達。

彼らはジーニアスにより狂人とさせられていた……果たして。

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