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  作者: 恵樟 仁
アンダールシアの危機
26/29

第二幕 5章 23話 クルードとシルネア

遅くなりました、23話になります。


 さて、5階……クルードの話では10階の筈なのでちょうど半分くらいになるのか。

 さっきの階はBランクのサイクロプスだった、普通に考えればここはAランクの魔物がくるということかな……と言っても、強化されている上に今までの通りなら何かしらの天啓スキルを持っているという事になる。



「しかしよ、このままいくと、ちとマズくねぇか?」



 クルードの言うことは解る。確かにこのままいくとその内天啓スキルを持ったSランクの魔物が出てくることになるだろう……通常のSランクの魔物であれば倒せる自信がある……だけど、そのSランクが強化されている上に何かしらの天啓スキルを持っていたら……あえてランクを吐けるのならばSSSランクの魔物とでもいうべきだろうか……それって邪鬼より強いよね……。


 強い魔物と戦うのは楽しいけど、メリッサやシルネア達が危険になるかもしれないしなぁ……。



「ねえ、メリッサ」

「嫌です」



 うぐ、顔にでも出てたかな……私が言う前に否定されてしまったよ。



「えっと……」

「この先は危険かもしれないから私だけでも帰れっていうんですよね?」

「うん、メリッサにもしもの事があったら大変だし……」

「絶対に嫌です!ここで逃げたら、私はずっと逃げてしまいます……力がまだ足りないから、私は王女だからと……そんな自分にはなりたくありません!」

「う、うぐ……」



 だよね……もし私が同じことを言われたら絶対に帰らないもん……。



「解った、もう言わないよ……その代わり、戦力として期待するからね」

「はい!!」



 満面の笑みで返してくれるメリッサ。その後、何かに気づいたのか頬に人差し指を当てて、可愛らしい表情で聞いてくる。



「えっと、クルードさんとシルネアさんに聞かないんですか?」

「え?……あ、うん……えっと、二人には案内もしてもらわないといけないしね!」



 そっか、メリッサは二人がランクの低い冒険者だって思ってるんだっけ……いや、そもそも、二人が強いんじゃないかなっていうのも私の勘でしかないんだけど……今までの事やこのダンジョンを一度クリアしているってことを考えれば間違いないと思うんだよね……二人は逃げ回って女神の元に辿り着いたって言ってたけど……ランクの高い魔物からそう簡単に逃げれるもんじゃないと思うし……私の勘だと二人はダンジョンの魔物を全部倒しているんだと思う……でも、二人がなぜ自分たちの力を隠しているのか解らないし、言いたくないことを私がバラすのもちょっと気が引けるのだ。



「なるほど……あれ、でもこのまま魔物を倒していくだけですし、お二人の案内はもう必要ないのでは?」

「うぇ!?……あ、えっとぉ」



 あ、ヤバい言い訳が思いつかない……どうしよ?



「……はあ……その反応、魔女の嬢ちゃんにはバレてるみたいだな?」

「……え?そうなのですか?」



 私が答えに困っていると、クルードがため息を吐きながら答え、それを聞いてシルネアが驚いていた。



「やっぱり、魔女の嬢ちゃんは油断ならねぇな……それで、どうするんだ?」

「え、えっと……私には何が何だか……」


 クルードは次の五階へと続く扉の前で立ち止まる。

 そして、鋭い眼光を私へと向けてきた。



「で……俺たちがじゃ……」

「二人は自分たちの実力を隠していたんだよ……なんで隠しているのか知らないけど」

「そうなのですか?」

「お、おう……」



 なぜか、クルードから緊張が抜ける……はて?



「嬢ちゃんは鋭いのか鈍いのかよく分らんな……」

「ん、何か言った?」

「なんも言ってねーよ」



 そう言うとクルードは大きなため息を吐いた。どうしたんだろう?



「あの……」

「ん、どうしたのシルネア?」

「次の階、私達に戦わせてもらえませんか?」

「お、おいシルネア……何を言ってるんだ!?」

「兄さん……お願い」

「えっと、私はいいけど……クルードはいいの?多分次はAランクの魔物だよ?」



 二人がどれくらい強いか解らない……前回のダンジョンがどれくらいの強さの魔物が出たのか解らないが仮にSランクの魔物が出ていたとしても今回のAランクの魔物はかなり強化されている筈だ。大丈夫なのだろうか?



「……はあ……解ったよ」



 まあ、私も二人の実力が解っていた方が今後、強い敵が出てきた時戦いやすくていいけど……。



「ただし、戦うの俺だけだ……それでいいだろ?シルネア」

「え、うん……いいけど……いいの、兄さん?」

「ああ……」

「えっと……クルード一人で戦うの?」

「問題あるか?」

「私はないけど……」



 正直予想外であった……二人がかなりの実力者だとは思っていたけど、二人で協力して戦うのだろうと思っていたのだ……それだけ強いってこと?


「魔女の嬢ちゃん」

「え?」

「お前はシルネアの事、どう思ってる?」

「えっと、友達だけど?」

「……その言葉忘れんなよ?」



 そう言うと、クルードは目の前の扉を開けて次の階へと移動した。

 その時のクルードの眼は少し寂しそうでまるで私に縋るような眼をしていたような……?

 一体どういう事なんだろう?私は頭の上にハテナを浮かべながら、クルードの後に続いて行くのであった。

5階へと降りるカモメ達。

5階ではクルードが戦うというが果たして……。

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