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  作者: 恵樟 仁
アンダールシアの危機
11/29

第二幕 5章 8話 滅びの力

7話になります。


「赤い魔力だと……?おい、ジジイ……ジーニアスが探している魔女ってのはアイツか?」

「いいや、違うはずじゃがのう?……しかし、我らと同じ赤い魔力を宿すのは我らが神を宿すものだけの筈じゃが…………嬢ちゃん一体何ものじゃ?」



 シルネアの魔力の色を見て驚いたのはレディだけではない……邪鬼でさえもその色に驚いていた。

 そして、邪鬼の言う通りシルネアの魔力の色は赤……邪鬼と同じ色なのである。



「やっちまいやがった……」

「兄さん……ごめんなさい」

「しょうがねぇなぁ……まあ、仕方ねぇ……こいつらをとっととぶっ殺してまた別の街へと行こうぜ」

「うん……」



 そう言うと、あろうことかクルードもシルネアと同じ赤い魔力を放ち始めた。



「なっ……男の方もじゃと?」

「おいおい、それこそあり得ねぇだろ?俺たち邪鬼の力を宿している人間は邪神の依り代の女だけだろう?なんで、男が俺たちの魔力を使えるんだよ?」

「解らぬのう……じゃが、これはちと気を引き締めないといかんようじゃ」

「見てぇだな……」



 邪鬼たちも同じように赤い魔力を纏う。

 そして次の瞬間、老人の邪鬼の方がまたもその場から消え、一瞬にしてクルードの隣へと移動する。

 だが、老人の邪鬼が片手をあげ、クルードに赤い光弾を放とうとした瞬間、クルードの槍が老人の邪鬼の顔の目の前へと迫っていた。



「なんとっ!?」

「ちっ、惜しい」



 その槍の一閃を咄嗟に躱した邪鬼はすぐさまクルードから距離をとった。



「一瞬で移動できるのはすげぇけどよ……その後の動きが緩慢すぎるぜ?」

「兄さん、そっちは任せたわ!」

「ああ、お前も気をつけろよ……って、いらん心配か」

「ええ!」



 クルードの言葉に答えると、シルネアはレイピアを抜き放ち、もう一人の邪鬼へ構える。

 


「ほう、女……お前ひとりで俺と戦おうってのか?」

「ええ」

「はっ……俺たちと同じ魔力を持っていようが……人間のテメェが俺と殺せると思ってんのか?」

「この指輪……優秀ですね」

「あん?」

「何でもないわ……貴方を殺せるかって聞きましたね?答えはこうです」


 

 そう答えたシルネアが、持っているレイピアを突き出すと、そのレイピアが邪鬼の肩へと突き刺さる。



「はっ、そんなおもちゃが俺に効くと思ってんのかよ」

「……これからです!」


  


 シルネアのレイピアが赤く光ると、邪鬼に刺さったところが崩れ落ちていく。



「な、何だこりゃ!?」

「これが私のスキル……『滅びの力』です」

「なんだそりゃ!……俺の肩が……動かねぇ!」

「もう、貴方の肩は死にました……そして、貴方も!」



 シルネアがレイピアを引き、再び邪鬼に突き刺そうとする……が。



「なめんじゃねぇ!」

「きゃ!?」


 シルネアの懐へと踏み込み、レイピアを持つ手首を邪鬼が掴む。



「くそがっ……俺の左肩をよくもやりやがったな!」

「くっ!」



 シルネアの手首をつかんだ邪鬼がシルネアの腕を捻り上げる。



「なんでぇ……意味の分からねぇ力はすげぇけどよ……後は普通の人間と変わらねぇじゃねぇか」

「それは……誉め言葉ですね……でも、誰が力をレイピアにしか使えないと言いました?」

「あん?」



 シルネアの捻り上げられた腕が赤い魔力を纏い始める。



「ちっ!」



 その魔力を見た瞬間、邪鬼はシルネアの腹を蹴り飛ばし、自分との距離を離した。

 邪鬼が予想した通り、シルネアは滅びの力を自分の魔力が届く範囲でどこでも使える。簡単に言えば自分の触れているものであれば何でも滅ぼすことが出来るのだ。



「かはっ」



 だが、お腹を蹴られて蹴り飛ばされたシルネアはおなかを押さえながら蹲っていた。

 


「はん、結局ただの人間の女じゃねぇか……ようはテメェに触らねぇで殺せばいいんだろう?……簡単だぜ!」



 そう言って、邪鬼は掌に光球を生み出す。そしてそれをシルネアに向かって放とうとしたその時、掲げた残りの腕が宙を舞った。



「何っ!?」

「あらぁん、忘れられてるなんて悲しいわぁん♪」

「ぐ……あ……」



 そして、よろけた邪鬼にレディはまごうことなきヤクザキックをいれる。

 それを喰らった邪鬼は、そのまま地面を転がった。



「くそっ………俺の腕が……テメェ、殺してやるからな!」



 負け犬のごとく吠える邪鬼の肩にポンッと何かが乗っかる。

 その感触に気づいた邪鬼は何かが乗った肩に目をやると、そこには白い綺麗な手が一つ乗っていた……ただし、赤い魔力を纏って。



「終わりです」

「なっ……てめっ………」



 最後まで喋ることも出来ず、邪鬼は灰になって崩れ落ちた。

 


「…………」

「…………あ……レディさん」



 邪鬼を倒し、目が合うふたり……自分の力を見られたシルネアがまるで怯えた猫のような眼をして、レディに声を掛けた。



「貴方強いのねぇん、助かったわぁん♪」

「え、あ……いえ、その……」

「聞かれたくないんでしょうん、言いたくないことは言わなくて良いのよぉん……誰にだって秘密の一つや二つあるわぁん♪」



 そう言って、自分の指にはめている指輪を見せるレディ……それを見て、自分の指にはまっている指輪を見るシルネア……。


(恐らく、レディさんは私の事に気づいている……)



 そう思ったシルネアであったが、優しい笑顔のレディが手を刺し伸べると、シルネアはその手を躊躇わずとるのだった。

シルネアの力とレディの助力によりあっさりと邪鬼を倒してしまった二人。

シルネアのあの力は一体……?

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