氷の言葉
「あ…あなた…。」
目の前に立っていたのは、春の女王でも街の人でもなかった。
あの夢に出てきた青年だったのだ。
『初めまして。冬の女王ですよね?』
何だか不思議な感覚だった。
私は、一度この青年に会っているのだから。
「そうよ…。あなたは…?」
『僕は、クリスです。あなたにお願いがあって、来ました。』
私の目をじっと見て、そう言われた。
この青い目を見ていると、引き込まれそうになってしまう…。
それを誤魔化すように、私は返事をした。
「お願いって、何かしら…?」
『早く、春の女王と交代して下さい。』
「どうして…?」
冬になったばかりなのに、どうしてそんな事を言うのか…。
『あなたがいると…何でもないです。どうせあなたは、春の女王と交代したら…忘れられる存在なんですよ…。』
まるで、さっきいた夢の中にいるようだった。
私は、この青年に何かしたのだろうか…と悩む。
「そんな事…言わないで…。私は、早く交代しないわ。」
『そうですか…。僕は、あなたの事…嫌いです!!』
そう言って、扉をバタンと閉めてクリスは、走り去って行った。
「うっ…。」
私は、その場に座り込んで泣いた。
クリスの言葉は、氷のように私の胸に深く突き刺さった。
もう、私はここから動けないわ…。
皆…ごめんなさい…。
冬が来て、5ヶ月が経っても春は来ませんでした。
街の人、王様、夏・秋の女王は、どうしたのだろうか…と心配していました。
それに、雪が降り積もり、寒くて、作物もつくれません。
街の人達は、困っていたのでした。




