冬の夢
『冬の女王なんて、いなければ良いのに…。』
『そしたら、寒くなる事もない…。』
いつも笑顔でお話してくれる街の人が、そんな事を言っている。
冬の準備をする為に、街へ来た私は街の人がいたから話し掛けようとした。
そしたら、あんな会話が聞こえてきた。
『春の女王と交代したら、冬の女王がいなくならないかな…。』
一人の若い青年が、そう呟いた。
その人は、サラサラの茶色の髪に吸い込まれそうになる程、綺麗な青色の目をしていた。
『そんな…。』
うっかり声を漏らした私に気付いたらしく、その青年がこっちへ向かってきた。
『噂をすれば、冬の女王ではないですか。』
『…そうですけど…。冬の事、嫌いなの…?』
『嫌いです。毎年、春が早く来れば良いのに…と思いますよ。』
『どうして、そんな事を言うの…。』
私の存在が邪魔みたいな目で見てくる青年を見ながら、そう言った。
『あなたも、冬も嫌い!!』
『…。』
下を向いたら、我慢していた涙が地面へと落ちた。
たまらなくなって、私はその場所から逃げ出した。
お城に帰ったら、春・夏・秋の女王と王様がいるわ。
皆、私の事を優しく出迎えてくれる…。
そんな事を思いながら、お城までの道を走った。
だけど、歩いても歩いてもお城へは辿り着けない。
疲れてしまった私は、気を失った…。
「…夢…?」
ベッドに寝ていた私は、顔を伝う涙で起きた。
夢で良かったという安心感と、本当にそんな事を思われていたら…という気持ちが、ごちゃごちゃになっている。
窓から外を見ると、冬になっていた。
雪が降り、街の人達は家で過ごしている。
外では、子供達が雪遊びをしていて、可愛くて微笑んだ。
そんな光景を眺めていたら、塔の扉をコンコン…と叩く音がした。
私達の国は、四つの四季の女王が順番に塔に住む事になっている。
今は、私の番だからこうして冬にしているの。
春の女王かしら…?
だけど、冬になったばかりだし…違うわね。
そう思いながら扉を開けた私は、驚いたのだった。




