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神との遭遇

暗い、暗い闇の中を漂っていた。




なんだ、ここ。どこだ、ここ。




ーあれ?




僕はーーー


■■■


目を覚ます。起きると同時に視界を埋め尽くす、白。体を起こすと、真っ白な世界がどこまでも広がっていた。上と下も右も左もどこ見ても、白。白でしかない。


「僕、え?ちょ、あれれ?ここどこ?」


何故ここに僕は寝ていたのか。「やあ、よく来たね」寝る前の記憶が無い。いや寝る前の、もっと前は?僕はどこから来た?何も思い出せない。「よく来たね」僕が何かを。名前は、なんだっけ。全く「ねぇ無視ですか、無視なんですか」思い出せない。頭が想起することを拒んでるかのように、霞が僕を覆う。「あのっ、すいまっせーんボク神なんですけど。世界創ったりしてるんですけど」また体を倒す。なんだかどうでもよくなってきた。眠い。思い出せんもんはもう無理だわ。寝よ。「寝んなよ」


「え、寝るよ?」

「いや、寝ないで?」

「てか君だれ?」

「神」

「え?」

「え?」


あ、思い出した。


■■■


「いやーお見苦しいところをお見せしましたあ」

なんで僕はプチ記憶喪失だったのだろう。マジ謎。

「まさか異世界の神様だったなんてえ、もー水くさいなー早く言ってくださいよぉ!」

「不敬すぎね?ボク神だよ?マジだよ?肩バシバシすんな?マジだよ?」


僕は神、と名乗るその存在ーー幼女ーーをマジマジと見つめる。ボク、が一人称ではあるが見た目はただの女の子だ。だが一つ、付け加えるとすれば後光が溢れるほどに、崇めたくなるほどにかわいい。


白髪というより、白銀と呼ぶべき美しさを誇る髪を腰くらいまで伸ばし、白いワンピースを着ている彼女。サラサラしてそう。顔については…。なんつーか、もうね。これね、かわいすぎる。紳士の僕としてはドストライク。世の中の紳士諸君も存分に視姦して欲しい。そして急に無言になりじっと神様を見つめる僕を疑問に思ったのか、神様は頭上に?を浮かべ小首を傾げた。


「おおおおおおおうううふふふ!!!」


「なんだキミは」


僕もう死ねる。



と、一頻り興奮が収まったところで話を進める。


「で、神様は僕を何でここに呼んだんですか?」

「そうだね、ボクの目的か。当然の話の流れだな。だが説明を怠るつもりは無いが、君ならなんとなーく予想はついているだろう?」

「ええ、ガッツリ」

当然だ。そんなの分かりきっている。

「言ってみたまえ」


この白い世界、僕が夢にまで見た光景。生前(?)何度も妄想したのだ。手を伸ばしても、伸ばしても届きはしないはずの世界。僕の最大の願望にして夢。そう、それはつまり!!






「僕を永遠の伴侶として招いた!!!」


「すまない、ボクの目的との関連性はゼロ。つまり大外れだ」

「…そすか」

萎えた。

「そこまでうちひしがれることではないだろうに…。なんだか申し訳ない、という感情だ。まあ簡単に説明するとだな、君の世界でいう異世界への手引きをするのが最大の目的だ。案外、君の願望はここにあるのではないか?」


え?


…え?今もしかして、もしかして異世界って言った?もしそうだとするならば!途端体の奥が震えるような、そんな感覚がする。これは先程を凌ぐ程の興奮だと自覚する。そしてあまりの高揚に聞き間違いを疑う。


「異世界…?異世界って言いたの?ナウ今?」


「落ち着いてくれ。言語能力が低下しているぞ?疑うならばもう一度肯定しよう。君は異世界へと召喚される」 

「ひょとととおおとおおおとてのにはま♡#₩&℃″″″%₩§♀≒∃⇔!!!!!」

「精神年齢が幼児を越えて胎児にまで低下しているのだが…。精神に異常をきたしているのか?」

もしかして→異世界

僕の勝ち組ルート確定。


■■■


「で!で!僕TUEEEEEEEは?!ギフトは!?」

「キミ、大分厚かましいぞ?…まあ、渡すのだが」

「っしゃあああああああ!!」

「君は精神年齢を著しく低下させるのが随分得意なようだな」


そういいますけどね。思春期の高校一年生が、異世界無双チーレム出来ますよと、そう言われて誰が興奮しないんだ。そんなやつはリア充だ。リア充どっかいけ。


「で。どんな能力なの、ベクトル操作?それとも右手になんか宿ってたりするの?学園都市最強のレベル5になれるの?」

「一々発言が謎だなキミは。ボクが君に与える能力は…」

「能力は!?」

「そうだね…いや…。うん、そうだ。行ってからのお楽しみってやつで、どうだい?」


答えの変わりに、神様はウィンクをくれた。追記すると、僕より身長が低い神様は必然的に上目遣いだが、特に強調して上目遣いウィンクをした。


「はァ?!」

ちょ、え?なにいってやがるのこのキュートな神様。さすがの紳士である僕もピキッときたよ。ウィンクすんな!もうかわいいな畜生!!僕が神様に詰め寄ろうとすると同時に足元に幾何学的な紋様が刻まれた円のようなものが浮かび上がる。そして僕は直感的に理解する。これは異世界への入り口だと。それも片道オンリーの。


「ちょっ、待って下さいよ!教えてくださーー」


「ふむ、代わりと言ってはなんだが、一つ教えてあげよう。ボクは神、つまり生命の極致だ。当然、外見や形といったを必要としない。だからキミがボクの存在と認識しているこの見てくれは、キミの中で形作られたモノ、キミが神と認識している存在なのさ」


一気に神様はそう捲し立てる。一瞬意味が理解できず思考が停止する。言葉の意味を噛み砕いていると徐々に神様の言った意味が氷解していく。つまり僕が幼女を”神”だと認識してるってことか。…え。ぬ?


「それ僕が生粋のロリコ」


その、台詞を最後まで言い切ることは出来なかった。

魔方陣(仮)が凄まじい光を放った直後、闇に吸い込まれるような感覚と共に意識が消えたからだ。衝撃の(?)真実と共に楓は神様と別れたのであった。


「ふむ、知らなかったのか?」


聞こえもしない呟きを神は放っていた。


■■■




「…ディオニュソス、いるか?」


「…ここに」


「やあやあ、聞いてくれ。全くニンゲンとやらは面白い存在じゃないか」


「貴女様程の存在が塵介に関わる必要はないかと」


「いやいや、ボクは基本ひ弱な存在に干渉が不可能なことくらい知っているだろう?」


「存じております」


「吹っ飛んでしまうからね」


「貴女様は強大な御方でありますから」


「そうだね、だが世界を渡れるほどの魂は存在が違う、ということかな。ところで彼のことは?」


「拝見させていただいていました」


「なんだ、見てたのか。に、してもこんなのいつぶりだ?

ボクの感覚では久し振りどころの話では無いんだが」


「世界が始まって以来でございます」


「だろうな。だがああも非力なのか?ニンゲンは」


「所詮、塵にも満たない存在ですから」


「まあそういうな。ボクは興味深いと感じたしな」


「全知全能であられる貴女様の知らぬことなどないでしょう」


「知識と経験は違う、ということさ。それに彼の反応は面白かった。これが本来の姿だというのに、幼女趣味だと勘違いする辺りが特に良かった」


「左様ですか」


「ふむ。…関係ないが、力の制御というものは難しいな」


「塵の記憶についてでしょうか」


「そうだ。ほんの少し抜き取るつもりだけだったのに、大分ズレが生じてしまったな、初めてだしね」


「なぜ、干渉なされたので?」


「そうだね。やむを得ないとはいえ体を爆散させた存在とまともに会話できないだろう?彼が。それに死の直後は精神が不安定になるし種を植えるのに楽だったからね」


「貴女様は寛大にあられます」


「まあ喚んだのを気取られるのも話が弾まないだろうし。…まあ、なにより使い物にならなければ意味が無いだろう?」


「左様に御座います」


「ーーああ、今から楽しみだ。彼がどう生き、どう死ぬのか。…そして、いつごろに咲くか」


そういうと、女神は、初めて、笑った。




20160916神のセリフを大幅に変更しました。

すいません。構想は終わりまで出来上がってたのですが見直してみると非常に面白味が無く、一から考え直しました。その結果今回の改稿に繋がりました。また考え直した事でさらに更新速度が落ちるかもですがご理解お願いします。

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