第4話 カスミソウ
昼休みの学生食堂。昨日、逸果が座っていた席には澄那の姿があった。
「台町ちゃんじゃないなら、誰が」
「……逸果のメール、思い出しでみんべ。みんなさも来たべ?」
下川原、浦小路と理依、澄那は記憶をたどった。
「なんもしてないのに『停学なのは訳あって』って」
「台町ちゃんが停学になったら『丸く収まる』みたいだけど」
「台町ちゃんは『利用されてる』って……誰に?」
「澄那! それだ、そいづだよ!」
下川原は手を打った。
「台町を利用しだ奴が本当の犯人! なしてがも、あの『訳』とやらが関係しでる! それが分がれば」
「……どうやって?」
澄那、いつの間にか紛れ込んでいた同級生グループが言葉を返す。
「逸果ちゃん、台町ちゃんには聞けないんだよ? ……あの子達はあの子達で調べてたみたいだけど、校長室でも、教室でも教えてくれなかったの」
「うちらも、慧都が犯人だってなる前から避けられてるし……あっ」
同級生グループが逃げるかのように離れていった。
「混ざってりゃいいのに〜」
南谷地が京穂、恋音、心菜、冬美、夏芽を連れてきた。
「町内会やってると思ったんだよう。よそもんだけど、混ぜてくれ〜」
「いいよ! ってか、混ざって! みんなも」
「熱烈歓迎あざ〜っす」
理依が南谷地を隣席に着かせた。京穂と恋音は浦小路の、心菜達は下川原に近い椅子に着座した。
「伸葉ちゃん。うらっちと、澄那ちゃんも……いいでしょ?」
「いいに決まってっちゃ」
「いいよ」
下川原、浦小路と澄那は理依に返事した。
「あだすらはさっぎがら話しでだけど、裏サイトの犯人は今騒がれでる台町でねがった……真犯人は訳あっであいづのせいにしだ誰かなんだ。そいづを、今度こそ、みんなで突き止めっぞ」
下川原は自分自身と幼馴染、学友達に呼び掛けた。
部活動も終わり、下川原は心菜、冬美、夏芽と共に古川駅方面へ歩いていた。
「ちょっ……見てこれ、ヤバいよっ」
「どれ〜? え、ヤバっ」
好きなアイドルのニュースでも入ってきたのか、冬美と夏芽が声を弾ませていた。
「……えっ? 待って。部長、事件!」
「理依からメッセージ来てない?」
「理依から?」
夏芽と冬美の言う通り、下川原のスマートフォンにも理依からのメッセージが来ていた。
『澄那ちゃんパパママ、ドクニンジン食べさせられた!』
『澄那ちゃん、うらっち、恋音ちゃんと病院居る』
「……行ぐぞ」
下川原、心菜達は走り出した。同じ学校の女子生徒を抜かしていく。
「1組の人、SNSにもめっちゃ書かれてんじゃん」
女子生徒の呟きは、下川原の耳にしっかり届いた。