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下川原編  作者: 麦果
2/14

第1話 リンドウ

 仙台息女事件から2ケ月4日経った日の朝、大崎市で食中毒が発生した。家族3人がドクニンジンの葉を誤って食べ、夫婦は重症、娘は軽症となっている。

 患者宅前には救急車が2台停まっており、それを囲むように近隣住民が集まっていた。

「やっぱなんかあったんだっちゃ!」

 下川原が浦小路、逸果、理依を率いて患者宅前に駆け付けた。

「お母! 澄那ん家、なんかあったん?」

「逸果! それがね――」

 近隣住民に混ざっていた逸果の母が子供達に事情を説明する。

「――ヤバっ!」

「思っでだよりヤベ……澄那駅さ来ねぇし、なんも聞いでねぇから、変な気しだげど」

「さすが伸葉ちゃんねぇ」

 同級生の母親グループが逸果、下川原達を指さしながら話している。

「探偵団って言われるだけあるわぁ……ねぇねぇ、これ、大事件だったりして」

「澄那ちゃん家って、祖志継さん、だものねぇ」

「やめなさいよ、子供達の前よ?」

 逸果の母が母親グループを叱った。

「ほら! 澄那ちゃん達病院行くから、逸果達も学校行きなさい……って、あら」

 下川原達が乗るはずだった電車が走り去る。救急車を見送った後、逸果の母の車で登校した。


 下川原、浦小路、逸果、理依は昇降口でそれぞれのクラスメイトに声を掛けられた。

「地元なんかあった!? 電車から、救急車とかめっちゃ居たの見えたんだけど」

「それ、食中毒じゃね? 澄那ん家みんななったって、台町とかが言ってた」

「つらっ! そんでもって裏サイトに名前出されるとか、最悪じゃん!」

「……裏サイト?」

 下川原はクラスメイトに聞き返した。

「知らないの!?」

 クラスメイトが学校裏サイトについて詳しく教えてくれた。

 大崎更進高校には非公式の掲示板が存在しており、澄那に関する書き込み――フルネーム、同姓の人物との間柄、『殺人犯』『清楚ぶった性悪女』といった誹謗中傷が投稿されていたそうだ。

「そいなの……そうだ!」

 下川原は学校裏サイトへのアクセス方法をクラスメイトに尋ね、休み時間の度に閲覧した。


 昼休み、下川原は幼馴染を学生食堂に呼び寄せた。

「あだす、裏サイト一通り見だんだ」

「うちも……本当、ひどかった」

 下川原の他に理依、逸果も学校裏サイトに目を通していたようだ。

「澄那ちゃん、明後日には学校来れるのに……」

 浦小路は澄那の復帰について、本人からメールをもらっていた。

「だっだら、なおさらだっちゃ!」

 下川原がいきり立つ。

「誰が、なして、あいなの書いだか……澄那が学校来やすぐすんのに、あだすらで、裏サイト突き止めっぺ! な!?」

「そうだそうだ!」

「そうだよ!!」

 逸果、浦小路と理依も下川原に続く。

「よし! 澄那の為に、いっちょやっぺ!!」

 下川原、浦小路と逸果、理依――通称〝伸葉探偵団〟の4人が動き出した。

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