医者
よくわからない単語は、医療界の専門用語ということです。麻雀用語を使ったのは、愛嬌ということで御容赦ください。
……あれ?
なんか空が赤いぞ?
いやいやいや、そんなわけないだろ。
え? ちょっ、おまっ。
――どうやら事故ったっぽい。
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「先生ッ! 意識レベル低下ッ、バイタルサインも落ちていますッ」
「すぐに緊急オペだッ! 第二治療室を使うぞッ」
さっきからずっと、俺の周りで人がせわしなく動いている気がする。
空が赤くなった時、遠くで女の悲鳴みたいなものが聞こえた。
轢き逃げにあったらしい。悲鳴は俺が、宙を舞ったためだろう。
まぁということは、俺はすぐに救急車を呼んでもらえたわけで。
「輸血の準備だッ、それからカンツとコウツもッ」
こうして二十分後には、先端医療が受けられるてはずが整った。
さすが日本。スゲー。
「よし、患者を移動させるぞッ、一、二、三ッ! この状態なら上手くいけば、サンカンツにもっていけるぞ!」
こういう大事故に巻き込まれたのは初めてだった。
意外だったのは、頭はぼんやりしてるが、周りの音だけはクリアに聞こえているということだ。
おかげで医者や看護士の、専門用語が飛び交って、もはや暗号文の体裁となっている会話を聞くことができた。
……だからなんだ、って話なんだけど。
「オペを開始する。メス」
あ、なんか始まったっぽい。
え、スゲー怖いんですけど!?
「くッ、中はひどい状態だな……。リーハイの必要がある……」
マジで開いてんの!? 怖い怖い怖い!
痛みを感じてないところが逆に怖い!
「よし……これでミンカンが二つ……あと一つ……」
手際はいいみたいだ。なんかあと一つらしいし。
しかし突然のアラート音! オペ室に緊張が走る!
「先生ッ! 心拍数低下ッ、危険ハイですッ」
「なん……だと! このタイミングでチャンカンの危険性……! いや、一つ間違えればコクシムソウだとォ……!」
あれ? なんか、ヤバいっぽい?
「先生ッ! ゼンツッパなんてダメです!」
「うるさいッ! ナイてしまっている以上、リーチも無理か。だが、ヤクができなければこの患者は死んでしまう!」
俺、死ぬの!?
や、やべぇ……なんか意識が飛んできたかも。お迎え来たっぽいな、たぶん。
「し、心拍停止ッ! 先生ッ!」
「電気ショックだッ! いそげ!」
その声のあと、一瞬風景が跳ね上がった気がしたが、なにをされたのかは考えないことにした。怖いから。
「クソォッ! コイ、コイッ、コイィィイ!」
なんか体が超跳ねてる。なにこれ楽しい。
――つか、なんかもういいよ。
助けようとしてくれているのは十分に伝わったからさ。
その気持ちだけでも、スゲー嬉しかったんだよな。なんかさ。
感謝の気持ちに包まれながら、安らかに眠りにつこうとした、その時、
「こんなところで、医療ミスなど起こしてたまるものかァァァッ!!!」
あ、そういうこと!? 自己保身で俺を助けようとしてたの!?
そして、奇跡が起きた。
「心肺再開……! 信じられない……あの状況で、すべてかわしきって、その上リンシャンカイホーなんて……!」
「ド、ドラ十だと……! やっぱり先生は、ゴッドハンドだ……!」
……俺は二度と、この病院にはこないことにした。




