マーダーライセンス~鳩を添えて~
私は合法殺人者だ。
その手段は"ある意味"で合法。良い子は真似しちゃダメだぞ。
私は会場の下見に来ていた。
中央の四角いリングを囲って大量の椅子が並んでいる。
そう、ここはボクシングのスタジアムだ。
勘のいい人ならわかるだろう、リングの上では間違って人を殺してしまっても罪に問われない可能性が高く、ある意味では英雄になれると……。
「まじめな一歩」というボクシング漫画の知識だ。
明日、ターゲットである「アン=マカロン」というボクサーを……おっと、この先は言わないでおこう、全ては明日のお楽しみだ。
なぜこいつをターゲットにしたかって?こいつは私の飼ってる鳩をいじめたからだ。
私が公園で鳩たちに豆を与えているところに、笑いながら乱入して足で蹴ろうとしていた、絶対に地獄に送らなくてはならない。
「アン=マカロン!体重230ポンド!」
「ウオオー!!」
アン=マカロンは万雷の拍手とともに雄たけびを上げる。
今日がお前の最後の晩餐なんだよ。おっと、殺意が漏れてはいけない。あぶないあぶない。
「ではギルティ=ポスト様、計量を。」
私は悠々と体重計に向かう。
「ギルティ=ポスト!体重500ポンド!」
会場がざわめく。
「500ポンド?ちょっと重すぎじゃないか……?」
「あの身長と体格で……?」
「まあヘビー級だから体重は200ポンドあればヨシ!」
無事に計量を通過した。
翌日。
「それではー青コーナー!ギルティ~~~~~~~ポスト!」
ウオオオオオオと歓声が上がる。
私も人気になったものだ。殺人者は殺人者としての需要があるのがリングの上の世界というやつだ。
「そして赤コーナーより……ア~~~~~ンマカロン!」
アンマカロン!アンマカロン!アンマカロン!
流石チャンピオン。凄まじい声援だ。
だがお前の天下は今日終わるのだ。
「それではグローブを合わせて。」
私とアン=マカロンはコブシを合わせた。
アン=マカロンはその腕の長さを活かしたアウトボクサータイプだ。だが……私の射程にはかなうまい!
私は脇腹のボタンをガチリと押した
「デストロイモード起動!」
瞬間、私の腹部は機械音とともにその内部構造が明らかになっていく
サイボーグである私の腹部にはガトリングガンが仕込んである!
この機械一式が体重500ポンドの理由だ!引っかかったな!
「くははは!アン=マカロン!今日が貴様の命日だ!」
アン=マカロンは動じない。次の瞬間、予想だにしないことが起きた。
奴の腕が光り輝き、鋭利そうな刃物に変化したのだ。
「アン=マカロン!貴様もサイボーグ化手術を!?」
奴は口を開く。
「貴様のは、しょせん重いだけの旧式よ。三流なり。」
私が三流?旧式だと?さすがはチャンピオン様だ。しかし、これで私は……純粋な"挑戦者"になれるという訳か!
体中の細胞が歓喜する。
さあ、宴を始めよう!ゴングを鳴らせ!
ガトリングガンがうなりを上げ回転していく――
ゴングと同時に奴はハチの巣だ!!
ゴングはついに鳴らなかった。
私とアン=マカロンはライセンスをはく奪された。




