表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
姉と妹が国民的女優ですが、俺は機械をいじっていたい  作者: よんまるよん
第二部「世界が広がっている」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

147/170

「柊家、満員につき」 Part 4 全員集合

# 番外編「(ひいらぎ)家、満員につき」

## Part 4「全員集合」


 八時を回った頃には、柊家のリビングが完全に満員になっていた。


 (ひいらぎ)(りょう)(ひいらぎ)(りん)(ひいらぎ)(はな)桜井(さくらい)詩織(しおり)福永(ふくなが)(そう)上野(うえの)壮介(そうすけ)遠藤(えんどう)美咲(みさき)佐倉(さくら)ひな(ひな)春日(かすが)芽衣(めい)室田(むろた)沙衣(さえ)


 そこに、もう一人。


 インターフォンが鳴った。


「千夏ちゃんだ」と凛がリモコンを押した。


 鷹野(たかの)千夏(ちなつ)が入ってきた。凛と同じ事務所の女優で、毒舌と冷静さが同居している。リビングを一瞥して、一秒で状況を把握した顔をした。


「……なんか人多くない?」


「増えた」と遼がまた言った。


「遼くん久しぶり。変わってないね」


「どうも」


「相変わらず作業中なんだ」


「まあ」


 千夏が凛を見た。


「凛、この人たち誰」


「颯くんと壮介くん。遼の小中の同級生」


「ああ」と千夏が颯を見た。颯がふらついている。「……飲んでる?」


「飲んでる!! ひるから!! いえーい!!」


「昼から」


「ブラボー!!」


「……何がブラボーなの」


「なんとなく!!」


 千夏が壮介を見た。壮介が「上野壮介です。初めまして」と静かに言った。千夏が「鷹野千夏です」と返した。颯が「はじめまして!! ブラボー!!」と言った。千夏が「もうブラボーの意味が分からない」と言った。壮介が「俺も分からなくなってきた」と言った。


 十一人。


 防音完備で助かった、と遼は思った。思っただけで口には出さなかった。


   


 もう一度インターフォンが鳴った。


 華が「あ、紡ちゃんだ」と言いながらリモコンを押した。


 玄関が開く音。廊下を歩いてくる足音。そして、ドアが開いた。


 藤枝(ふじえだ)(つむぎ)が入ってきた。黒髪のロングをゆるくまとめて、シンプルで上品な服装。静かなオーラがある。そして片手にギターケースを持っていた。


 リビングの全員が、ギターケースを見た。


「……なんでギター持ってきたの」と華。


「防音って聞いたので」と紡が静かに言った。


「それだけで!?」


「せっかくなので」


「せっかくって!!」


 紡がリビングを見渡した。人の多さに少し目を細めた。でも驚いた様子はない。


「人が多いね」


「増えた」と遼がまた言った。


 紡が遼を見た。


「遼さん、久しぶりです」


「どうも」


「また何か直してるんですね」


「直してた」


「……綺麗ですね、そういうの」


「そうか?」


「そうですよ」


 颯が紡を見た。


「ギターもってきた!! ブラボー!!」


「……はじめまして」と紡。


「福永颯です!! はじめまして!! いえーい!!」


「藤枝紡です」


「ギター弾けるの?!」


「それが仕事だよ」と華。


「そうなんだ!! ブラボー!!」


「ブラボーの使い方が合ってるのか分からない」と華。


「……ありがとうございます」と紡。


 壮介が「上野壮介です。初めまして」と言った。紡が「はじめまして」と返した。颯が「ブラボー!!」と言った。紡が「……さっきから何がブラボーなんですか」と壮介に聞いた。壮介が「俺も分からなくなってきた」と言った。


 華が「紡ちゃん、本当に弾くの?」と聞いた。


「せっかく防音なので」


「防音を最大限に使う気だ!!」と颯。「ブラボー!!」


 十二人。


 防音完備で本当に助かった、と遼は思った。思っただけで口には出さなかった。


   


 颯のドンペリはとっくに空になっていた。その後に凛が出してきたワインと、華が出してきたビールと、美咲が「持ってきました!!」と言って出してきたチューハイが並んでいる。テーブルの上がにぎやかになっている。


 颯はチューハイに移行していた。缶ビール四本、ドンペリ一杯、チューハイ一本。午後一時から八時間。完全に出来上がっている。呂律はもう戻らない。


 壮介はワインを飲んでいた。静かに、でも確実に飲んでいた。


   


 颯が美咲の隣に座って、急に真顔になった。


「なあ、美咲さん」


「なんですか颯さん」


「ここ、芸能人多くない?」


 美咲が少し笑った。


「多いですね」


「てか、本物じゃん」


「本物ですよ」


「凛ちゃん、本物の凛ちゃんじゃん」


「本物だよ!! 昔から知ってるじゃん!!」と凛。


「しってるけど!! でも、あらためて見たら、本物の凛ちゃんじゃん!!」


「それ同じことを二回言ってる」


「だってほんものだから!! ブラボー!!」


 颯が立ち上がった。ふらついた。でも立った。


「みんな!! 聞いて!! ここ、芸能人がいる!!」


「知ってる」と全員が言った。


「でも!! あらためて!! すごくない?! いえーい!!」


「颯くん、昼から何本飲んだの」と詩織。


「よほん!! でも関係ない!! ブラボー!!」


 凛が華を見た。華が凛を見た。


「……私たちも芸能人だよ」と凛。


「そう!!」と華も立ち上がる。二人が自分に指を差した。「私も!!」「私も!!」


「しってる!! しってるけど!! あらためてすごいな!!って!!」


「あらためてって何回言うの」と詩織。


「あらためて大事だから!! ブラボー!!」


 美咲が「颯さんって芸能人に慣れてないんですか」と聞いた。颯が「なれてない!! 遼ちゃんちにきたらまさかこんなにいると思わなかった!!」と言った。


 壮介が静かにワインを飲んでいた。


   


 壮介が口を開いたのは、それからしばらくしてからだった。


 ゆっくりと、でも少し滑舌が怪しくなりながら、言った。


「颯」


「なに」


「お前が芸能人に感動するのは分かった」


「うん!!」


「だが」


「だが?」


 壮介がリビングを見渡した。芽衣、沙衣、美咲、ひな。それから凛と華。


「……沙衣さんはモデルで女優で、芽衣さんは舞台出身の演技派で」壮介がゆっくり言う。「そこと比べると——」


「私も!!」と凛が割り込んだ。


「私も!!」と華も割り込んだ。


 二人が自分に指を差している。


 壮介が少し止まった。


「さ、三流はすっこんでろ!!」


 五秒、沈黙があった。


 凛が「え」と言った。


 華が「え」と言った。


 壮介が自分の言ったことを反芻するような顔をした。


「……言いすぎた」


「言いすぎた?!」と凛。「三流って言った?! 今!!」


「言いました」


「私に?!」


「凛さんと華ちゃんに」


「なんで!!」


「勢いで」


「そうかもしれないけど三流って言わなくていいでしょ!!」と凛。


「言葉が出てしまいました」


「出さないで!!」


 華が「壮介さん、飲みすぎじゃないですか」と言った。壮介が「飲みすぎました」と即答した。


 美咲が「壮介さん、それはさすがに」と言った。ひなが「そうですよ」と言った。芽衣が「あの……」と言った。沙衣が「壮介くん」と静かに言った。壮介が沙衣を見た。沙衣がゆっくり首を振った。壮介が「失礼しました」と言った。


 遼が基板から顔を上げた。


「珍しいね」


 全員が遼を見た。


「壮介が人に絡むの、初めて見た」


「……俺も初めてやった」と壮介。


「飲みすぎだろ」


「飲みすぎです」


「颯と同じくらい飲んでた」


「飲んでました」


「なんで」


「楽しかったので」


 遼が少し考えた。


「そうか」


「そうです」


 颯が「壮介がたのしかったって言った!! ブラボー!!」と言った。壮介が「うるさい」と言った。でも怒っていない声だった。


 凛が「三流は傷ついた」と言った。華が「私も」と言った。壮介が「申し訳ありませんでした」と言った。凛が「まあ、酔ってたから許す」と言った。華が「私も許す」と言った。詩織が「二人とも大人だ」と言った。美咲が「凛さん器が広い!!」と言った。


 颯が凛の肩に手を置いた。


「凛ちゃん!! おれは凛ちゃんが大好きだよ!! 三流じゃないよ!!」


「……ありがとう颯くん」


「いえーい!!」


「いえーい、じゃないんだけど、まあ、ありがとう」


 凛も少し笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
だれだ、ここまで飲ませたの?www
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ