第十二話 一言でいうならそれは愛
聖奈──
「油断した。ごめん、南雲くんに真理愛のこと見られた……」
それしかやることが無かった真理愛は卒業の要件はほぼ満たしていた。
4年になって大学に通う必要はほとんどなかったし、メールやリモートでどうにかしてもらうように教授や学生課にも頭を下げた。
ただ、本人によって提出する必要のある書類について、真理愛を連れて大学へ行ったときに、見られてしまった……お腹の大きくなった真理愛の姿を……。
遠くで固まってるのがわかっちゃったよ……。
『気にしないで良いわ』
通話相手は北条時子。南雲くんの婚約者。作戦の……発案者。
「気にしなくていいって……」
『彼には止められないもの』
「余計な誤解をさせるんじゃない?」
『させておけばいい。彼はもう、東雲さんに自分から接触することはないし。真実は何も変わらないもの』
「あのさぁ……自分だけ知っているみたいなのやめてくれない?凡人には理解できないんですけど」
『それよりも!予定日は決まったのかしら!私も行きたいんだけど』
「人の話を聞けと……で、それは本当にやめて。出産はデリケートな出来事なの。少しの不安でも排除したい……特に真理愛はね」
『えぇ……』
「えぇ……じゃない!」
何を考えているのか、本当にわからない女。北条時子。
『じゃあいつ会えるかしら!1ヶ月後!?2ヶ月後!?』
「いや会えるわけないじゃない……わかってるでしょ……」
『そんなぁ……』
「接触は諦めて。真理愛がどんな反応するか私も想像できないの」
『しょぼ~ん……』
「しょぼーんじゃない!」
本当に調子が狂うお嬢様だ。
「はぁ……写真とか動画は私が送るから」
『本当!?』
あんたほんとなんなのよ……。
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本日20時にもう1話更新します。




