第八話 お礼
真理愛──
ある日、聖奈ちゃんから不思議な依頼が飛び込んできた。
「お弁当ふたつ追加で作ってくれない?」
「ん?いいけど」
「ちょっと友達に頼まれちゃって」
「そう」
「週1くらいで頼むかも」
「わかった」
学──
「お弁当おいしい?」
「ん?うまいけど」
時子がどこからかお弁当を持ってきた。
残念ながらうちの彼女の料理の腕は、あの時のバレンタインデーから進歩はない。仕事が忙しいってのが主原因だけどな。俺の方が料理は上手くなっていて、2人の弁当も作っていたが今日はいらないと言われていた。
そしてこれを渡されて感想を求められたが……。
「そう、ならよかった」
なんだかニコニコ?ニヤニヤ?う~ん、ニヨニヨって感じの顔で俺のことを見られてた……。なんなんだ、この弁当になんか仕掛けがあったのか?
真理愛──
「お弁当おいしかったって」
「ん?なら良かったけど」
なんだかニコニコ?ニヤニヤ?う~ん、ニヨニヨって感じの顔で私のことを見られてた……。なんなんだろう、誰にあげたのかな……。
「嬉しい?ねぇ嬉しい?」
聖奈ちゃんにそう言われたけど、知らない人に喜ばれても、よくわかんないよ。
聖奈──
私と真理愛を助けてもらったお礼。何にしようか考えたけど、良いこと思いついた♪
真理愛に頼んで2人用のお弁当を作ってもらった。時子が受け入れてくれるとは思わなかったけど、お礼だよって言ったのが効いたかな。受け取ってくれて、南雲くんにも渡してくれた。
「お弁当、どうだった」
「おいしいって、食べてたわ」
「そう、良かった!」
帰ってきたのは空っぽのお弁当箱だけ。さすが真理愛、南雲くんの好みばっちりだったみたいだよ。
嬉しくなって鼻歌を歌っていたら、時子から話しかけられる。
「聖奈はずいぶん、東雲さんの事を気に入っているのね」
「え?あ~そうだねぇ。なんだか構いたくなっちゃうのよね」
「……どうでもいいこと聞いてもいいかしら」
珍しく時子がそんな風に聞いてきた。
「なに、別に今暇だからいいけど」
「中学の時、私の事避けていた?」
「うん」
「なんで?」
「なんだろ、私が主役です、みたいなオーラを放ってたから」
「放ってないわ……」
「なんだろね、話しちゃえばわかったのにね。全てに恵まれているように見えたあんたを認められなかったんじゃない?」
「西片を許嫁にされて最低な時期だったのに……」
「あっははは、一番ざまぁな時季期じゃん!」
「なんだか、友達止めたくなってきたわ……」
「安心してよ。今は私も愛してるよ、時子。ププププ……」




