第七話 心機一転
学──
~9月1週目~
二学期が始まった。
俺は学校で早朝に勉強がしたいから、と幼馴染と今まで続けてきた一緒の登校を断ることにした。いろいろやりたいことが出来たから、今まで放課後にやってた勉強の時間を早朝にずらそうと考えた結果である。
夏休みの経験を通して、爺ちゃん婆ちゃんから教えられたことの勉強や、新しいことにチャレンジする時間が欲しいと考えた。
通信制少林寺拳法、喫茶店のコーヒードリップや調理の練習、プログラミング知識の習得などやりたいことはたくさんだ。
また爺ちゃん婆ちゃんのバイトも夏休みよりかは少ないけれど、入らせてもらえるように頼んでおいた。
時間はいくらあっても足らなくなっていた。
……もちろん、幼馴染と距離を置きたかったという本音もある。
吹っ切ったつもりだけど、やっぱり他の男といるところを見るのは辛いから。
言い訳でも何でもいいさ。俺は俺のアオハルって奴を探しに行こう。
そう考えてから、やはり俺の生活は少し変わった。
クラスの仲いい奴らとカラオケ行ったり、バイトしてたら本当に偶然に北条が訪れたり、なんだかちょっとずつ世界が広がるのを感じた。
だんだんとそうやって大人になっていくのかなって、納得では決してないけれど……俺は理解していった。
真理愛、お前の幸せを祈っているから。
真理愛──
がっくんから一緒の登校をやめようって言われた。早朝に学校で勉強したいからって……。
夏休みにやりたいことが出来て、勉強に充てていた放課後の時間をそれに使うためだって……。
そんなこと全然知らなかった……。
いつの間にかがっくんが大人になり始めた事で、私はぽっかりと心に穴が開いた気持ちになった。
……それでも朝の挨拶はしに行こうと思った。
「がっくんおはよ、勉強がんばってね」
と言ったらいつもの優しい笑顔で「ありがとう」って言ってくれた。
胸が少しズキリとした。
がっくんを放ってクラスの皆と遊んでいたこと?
久しぶりに会ったがっくんは日焼けもしてちょっとカッコよくなっていたこと?
痛みの理由は、わからなかった。
がっくんのクラスに行くと北条さんも勉強していた。
どうせなら一緒にやれば良いのにと思ったけども、がっくんのクラスのことは知らないから口には出さなかった。
「北条さんも勉強?がんばってね」
前に話したいと言ってくれたから私から話しかけてみた。
「ありがとう。頑張るわ」
と少し痛むのを我慢するような笑顔でそう言われた。
気になったけど、北条さんとはそんなに仲が良くないので聞いていいのかわからず「またね」と自分のクラスへ戻っていった。
それから何回か、クラスの男子と笑いあったり、一緒にカラオケへ出かけるがっくんを見た。
なんで、私はこんなに寂しい気持ちになっているのだろう……。




