閑話 過去③ そして今へ
高貴──
末妹の死。
嬉しいはずだったのに、その事実は俺の心を揺さぶった。
それが許せなかった。
街に居る不良共を殴ろうが蹴ろうがすっきりしない。
恨みしかねぇあの女のことを考えるだけでイライラが止まらねぇ。
ただ、解消方法が1つだけあった。見つけてしまった。
私は綺麗ですみたいな馬鹿な女を糞汚してやったらスッキリしたんだ。
不良共から助けてやった女共も居たし、ハルが居ればナンパもさらに簡単だった。
顔と金と役に成りきるアホな頭がハルの才能を開花させていた。
不良から助けてやった女共。
俺が不良に成りきり、ハルが助けて付き合い始めた女共。
全部効いたが、中でも彼氏のいる女を裏切らせた時が一番、俺の心を癒してくれた。
裏切らせて堕とす。堕とした後で彼氏に全部ばらしてやって、ついでにゴミクズみたいに捨ててやれば、捨てないでと泣き叫ぶ姿が俺の心を癒してくれた。
あいつにやられたみたいな被害者が、俺だけじゃないことが救われた。
ただ、聖奈だけは違った。
最初にあいつをナンパしたとき、俺はボコボコに殴られた。
揺れる脳みそで見た、あいつの姿だけは忘れない。
その後、何度も何度も誘ったけど乗ってくることは一度も無かったのに、ある時まぁいっかと恋人になることを了承してくれた。
全部あいつの気分なんだ。
デートも、キスも、セックスも、全部あいつの気分で決まった。
俺は必死に後を追いかけ、俺に縋らせようとしたのに……それは一度もうまく行かなかった。
ただ1人、真理愛に接するときだけあいつは変わった。
まるで、大事な大事な宝物のように。
まるで、失ってはいけない親の形見のように。
まるで、ガキの頃に一番の価値があると信じたおもちゃのように。
それが俺をイラつかせた。
必死に手を引いても真理愛真理愛真理愛。いつもあいつの口から出るのは真理愛真理愛真理愛真理愛。
こっちを向かせようとしても、目線が合わず、まるで飼い犬を見るような目で俺を見ていた。
セックスだって『真理愛へのアドバイス』のために仕方なくしたとさえ、俺は思わされていた。
だから、大切な宝物を汚してやれば、泣き叫ぶかなって、そう思ってしまったんだ。
逆鱗に触れたと後悔するのはあっという間の事だった。




