第二十五話 怒らせると怖い人
時子──
~1月3週目~
放課後、影さんと話していたらいつの間にか学がいなくなっていた。
影さんがセキュリティに確認し、学の位置を特定する。
急いで私と影さんでタクシーを使い彼を追いかける。
移動先は、中田の住居の最寄り駅。嫌な予感がする。
途中、影さんが学を見つけてくれて、そこで降りる。
建物の陰からコンビニの入り口を伺う学。
コンビニから出てくる東雲さん、と中田。
駅の方向から走ってくる日外さん。
東雲さんと日外さん、そして中田が何か言い合っている。
少しして日外さんが走って去っていく。
東雲さんと中田は……中田のマンションに入っていった……。
振り向いた学と目が合ってしまう。
学は私の事など気にせず、横を通り過ぎる。
「待って!」
「……新しい彼氏?なんだろ……わり、俺帰るな」
「ちょっと……待ってよ……」
隣に居てくれるんじゃなかったの……少なくないショックを受ける……。
でも……これは……。これから起こることは、私が彼の隣へ居るために必要だから。…………私の汚いところ見せないで済むから。
影さんにハンドサインで突入準備の合図を出す。走って、追いついてきたバンに入ってく。
電話を取り出す。鳴らすとワンコールで相手が出る。
「北条時子よ。いい、あなたに許された時間は3分よ。馬鹿息子の愚行を止めなさい。失敗したらわかってるわね」
準備が出来た黒服達に声をかける。
「突入準備」
「はい、既に」
影さんの後ろに数名が並んでる。
……何があっても、絶対に助けるから。
1分50秒後、中田の部屋と思われる辺りから大音量の警報音がここまで聞こえてきた。
ちゃんと本気が伝わったみたいね。
そしてすぐに東雲さんが出てきた。
ホッとする。
もう、そいつに馬鹿なことはやらせないから安心して。
真理愛──
中田の部屋に入れられて、服を脱ごうとしたところで中田のスマホの電話が鳴る。
「スマホ鳴ってるわよ」
「あー良いって」
中田は呼び出し音を無視する。
そのうちに呼び出し音が停止する……瞬間、部屋中から大音量の警報が鳴り出した。
スマホ、テレビ、パソコン、火災報知器。……スマートなんとか機能がついた機器全てから音が鳴り響く。
そして見れば中田のスマホに無限に通知が来る。音量もでかい。
何が起こってるの?
1分間。それは流れ続けた。私も、中田も動けないまま。
警報が急に鳴り止み……またスマホの呼び出し音が鳴る。
怯えた彼はその呼び出しを取る。
スマホから、大きな罵声が響いてきた。
通話が終わり、中田が俯いたまま、「今日は帰ってくれ」と言った。
何が起こったのかわからず部屋を出る。
……助かったの?
コーキ──
今まで関わってこなかったのに糞親父が急に来てぶん殴られた。
「あーだりぃやりそこねたわ」
女と遊ぶときは問題なさそうなのを選べだとか、誰がこのマンションの金を払ってやってると思うのかとクッソうるさかった。
最後はハイハイ言ってたらキレて帰っていった。
マジだりぃ~。
時子──
夜、事情を説明しようと学に電話した。
「あのね、今日の東雲さんのことだけど……」
「俺の知ってる幼馴染はもういない」とガチャギリされた。
その日、学が謝るまでスマホの通知が止まらなかった。
~1月3週目金曜日~
放課後、帰ろうとする学を捕まえて正座させた。
クラスメイトが居ようが関係なかった。昨日のあれがなんだったのか、説明を求めた。
午後六時を過ぎたあたりで担任の先生と影さんに止められた。
「わかりました。連れ帰って続きをやります」
足が痺れてプルプルしてようが関係ない。
彼が反省するまで説教は続いた。そして、東雲さんに優しくすることを、約束させた。
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本日20時にもう1話更新します。




