定められた役割
破滅の巨人がいる東の海から、神聖な太陽が昇り始めた。ソルは今日もスコルから逃げ続けている。
ノートが夜を回収しながら、西の空へ消えていくと星々も光を失っていった。しばらく待てば、やがてダグが昼間を運んでくるだろう。
「僕的には、3人の方が良いと思うんです」
「・・・・・・面倒くさがり」
浜辺で昼まで時間を潰す間に、私達は計画を練った。このまま太陽に向かって飛ぶのは、目を痛める可能性がある。最悪、目が眩んで海に落ちてしまうこともある。
「楽をしたいだけだろう? 」
子供の姿を崩そうとしない神は、駄々を捏ねる演技までしっかり板についていた。
「新世界に、大いなる唯一神。・・・・・・やはり、新興宗教の影響でしょうか? 」
「だろうな。口から出る言葉は、本当にすぐ消えてしまう。もっと記録の重大性を早く認識していれば。過去の予言との比較も、容易だったろうに」
あちらには悪魔という悪しき存在がいると聞く。巨人族にとってアースの神々こそ悪魔だ。信仰の薄れを利用し、人間達に邪な感情を流布させることで、彼らはラグナロクの開始を更に早めようとしている。
巨人から神に、そしてまた神から巨人へ。予言が定めた英雄に最も近い動きをしている筈の彼が、一向にラグナロクを始めないことに、巨人族は苛立っていた。
私達は、何に突き動かされているんだ?
「そもそも、ラグナロクという終末観そのものから、あれの影響を疑わねばなるまい。一度でも塩水の撒かれた土は、容易に戻らないからな」
「死にたがりが、生物の性なのでは? 」
ぽちゃん、と石が凪に投げ込まれた。岩肌が剥き出しの海辺の中で、ここは数少ない砂浜だった。
「アスクとエマブラも、此処で生まれたんだっけ。・・・・・・懐かしいな」
何が懐かしいのか、一瞬分からなかった。だが、彼の性質を考えれば納得がいく。
「君にばかり負担をかける」
「・・・・・・良いんですよ。僕には僕の、貴方には貴方の役目がある。今回は、必要だから協力しているだけ」
口では希死念慮を唱えながらも、まだ役割を譲る気はないようだ。
彼がアスガルドのロキを務め、私がウトガルドのロキを務める。内と外の2人制だった仕事が、このままでは3人になってしまう。
さらに最悪な状況を想定すれば、どちらかが開け渡して2人という数は据え置きになるか、私達2人とも失職し、新しいきょうだい1人でやっていくという可能性も出てくる。
「きちんとした正解は言わないのに、失敗した時はそれ見たことかと責めてくるんですよね」
仕事の愚痴を聞かされながら、私は干し肉を切り分けた。一枚切って自分で食べ、もう一枚切って彼の口に運ぶ。
あーんと雛のように口を開けて、彼は自身の大好物である肉を食べた。
「破壊衝動を、植え付けられていないと良いのだがな」
もぐもぐと口を動かしながら、アース神のロキは返事をした。
「ですね。洗脳が強ければ説得は難しくなる」
神々にはひた隠しにしてきた過去も、2人の時間なら気にすることはない。
相手の攻撃性次第では、最悪殺し合いになるだろう。
予言に準拠している限り、我々が命を落とすことはない。だが、気まぐれな運命が1番下のきょうだいを気に入って、“交代”を起こす可能性も、大いにある。
名もなき巨人に繰り下げられれば、力を失った私達には“引き継ぎ”しか選択肢が無くなるだろう。
畢竟、巨人族の狙いはそれだろう。一度成功してしまった所為で、運命を手繰り寄せる快感が忘れられないのだ。
「ところで、これ本当に持ってきて良かったのか? ヘイムダルの食事だろう? 」
私が干し肉を指すと、彼は目を逸らした。
「・・・・・・晩酌用のおつまみなので、全然大丈夫です」
これは、絶対アカンやつだ。
あの鋭い目つきの門番まで、敵に回してしまった。
門を出てすぐ、アーコンナ所ニ食ベ物ガーと大声で叫びだしたので、一瞬何事かと心配したら、見えにくい位置に隠されていた籠を取り出して、勝手知ったる中身を漁りはじめたのだ。
明らかに自分のものではない酒と肴を抱きしめ、持っていくと言って聞かなかった。
流石に年代物の酒は置いていかせたが、食べ足りないこの子が岩にへばりついて離れず、失礼を承知で干し肉だけ拝借した。
「何かお礼をしなければ・・・・・・どんな肴が好きとか、君は知っているか? 」
「チータラ、燻さき、身欠ニシン」
淀みなく言い切ると、彼は口を大きく開けて次の干し肉を要求した。
海系が好きなのか。
「あの・・・・・・あれだ。白子の一夜干しとか、どうかな? 」
「あー、多分好きだと思います。ウチ海から離れてるでしょう? だから海産物届きにくいんですよ。絶対喜びます」
波も穏やかで、快晴の空は遠くまでよく見える。見張り番に戻った彼は、私達を既に見ているだろう。
そして、この干し肉も。
私は後ろを振り返り、白子の一夜干しを持っていくと約束した。返事は聞こえないが、きっと彼には届いているはずだ。
2度目の訪問に、城の者達は快く出迎えた。前回は迫りくる巨人殺しのトールという脅威に対抗する為、幾重にも幻術を掛けてたぶらかした。
だが、我々に協力してくれるとあらば、このアース神を拒む理由はない。あれから彼はウトガルドの料理をいたく気に入ったようで、今回も肉を所望した。
「満足したら言ってくれ」
「おにく、おいしい」
普段は決して最低限の敬語を崩さない彼の語彙力が、笑える程下がっていた。夢見心地で肉を頬張り、飲み込むごとに幸せそうな表情を浮かべている。
里子のロギも、いつの間にかテーブルに座っていた。だが、今回は彼と競うことなく、ロキと仲良くただ肉を食べている。
「エーギルは元気? 」
「・・・・・・むっちゃ元気です」
話す時間すら勿体無いのか、一言二言話すと後はひたすら肉にがっついていた。
食事が済むと、腹ごなしに軽く領地を案内した。
「2人でも敵わない気がします」
「対策を練れば、無効化できると思うのだが」
やはりと言うべきか、彼は慎重だった。ロキという自由奔放な役を普段は演じているが、元来は真面目な性格なのかもしれない。
「問題はその後ですよ。どれだけ丁寧に対応しても、矯正の段階で強く反発されるのは目に見えている。・・・・・・そうなった時、確実に押さえ込める自信がありますか? 」
自虐的な笑みを浮かべて、彼は私を見た。
それまで当たり前だと思っていた知識が、長期間の洗脳に寄るものだと受け入れる苦痛を、この子は1番良く理解している。
だが、彼自身は誰かを矯正したことがない。解く側のことについては、何も知らないのだ。
なので、かつて洗脳を解いた救世主に、こうして意見を求めている。
「途中で8回は挫けそうになった」
私は、正直に打ち明けた。あの頃は苦労を見せないように注意していたが、もう時効だろう。
光を拒絶した部屋で青い目を爛々と光らせていた、過去の記憶を思い返した。
長い時間を経て、背丈や身なり顔立ちと、あの頃からだいぶ様変わりした。だが、この残星の瞳だけは何一つ変わらず、今も輝き続けている。
「・・・・・・僕は、殺すしかないと思います」
「より強力な、兵器として育てているだろうしな」
彼の洗脳が解けたのは、彼女の功績の方が何倍も大きいだろう。私の力など、微々たる支えでしかない。
他者の心の中まで窺い知ることはできない。それは私達の究極的な権利であり、最大の悩みだった。
「話が通じない相手に、僕は時間を割きたくないんですよ。貴方と違って」
悪癖を指摘されて、苦笑した。
根気強く語りかければ、いずれ心を開いて話を聞いてくれる。私も、そんな成功体験に味をしめた愚かな巨人の1人だ。
「下の子ほど優秀になるというのが、この九界の摂理なのか。君も、末っ子の特権を譲るのが、癪に触るんだろう? 」
「・・・・・・そんなんじゃないです」
拗ねて路傍の小石を蹴ろうとしたが、追いかけっこをする子供達が近づいてくるのを察知して、彼は立ち止まった。
私達を障害物にして、ぐるぐると回りながら攻防を繰り広げていたが、やがて街角に走り去っていった。
「できる限り、説得は諦めたくない」
1番下のきょうだいも、きっとあの子達ぐらいの歳だろう。
助け出したいという私の願いを理解すると、彼はもう反対しなかった。
四角く切り出された柱は、余計な手間をかけたくないという家主の性格を、如実に表していた。無機質な廊下に調度品は無く、天井から床まで一面石材が剥き出しになっている。
硬く丈夫という理由だけで選ばれたこの岩は、一切の芸術的価値を持っていなかった。
「分かるか? 」
「隠れんぼが得意みたいです」
ここは巨人の館。私達が普段住む家より、全てのものが3倍大きい。身長を大きく見せるのが霜の巨人族にとっての誇りだ。
山や岩の巨人と異なり、財力も魔力も腕力も桁外れの霜の巨人は、こうやって自らの手腕を誇張する。
「侵入者を殺す訓練を受けていれば、ハードモード版突入は確実ですね」
まるで楽しいアトラクションを体験するように、アース神は笑った。山の巨人を父とする彼も、私と同じように生まれつき体が人間並みだ。
「あまり痩せていないと良いのだが」
一族の中で小さく生まれてしまうと、間引きされやすい。通常の子に比べて食べこぼし程度の量でも生きていける為、食事を与えられないまま大人になる小型巨人も少なくない。
親から食べ物を与えられなかった子は、床に零れた小さな欠片を食べて、飢えを凌ぐのだ。
「英雄候補ですから、心配は要らないでしょう」
あっけらかんと答えるこの子も、初めて会った時は痩せ細っていた。
「“ロキ“を得るために、ラウフェイとファールヴァウティーという名の巨人を大量に生み出す・・・・・・何度考えても理解できない荒技だな」
「逆に、その手法を世界が許容していることになります。どんな名前を付けようが、その身に与えられた運命は変わらないのか。それとも、条件に合致する者だけが次の段階に進めたのか。その研究が行われていなかった所為で、今でも山を張るしかない」
時代も場所も家主も異なるが、ここは正しく私達の実家だった。
まだ未成熟な体つきの巨人と女巨人が、ここで大量に監禁されている。男の巨人は100人目の子が生まれても“ロキ”が出なければ、何歳であろうと殺される。
女巨人は3人の子を産むことが義務で、その内のどれかに“ロキ”が産まれなければ、次のラウフェイとファールヴァウティ育成の為、繁殖用に回されるのだ。
そうして、数えきれない程のラウフェイとファールヴァウティの間に“ロキ”候補として生を受けた子供達の中で、前回、唯一生き残ったのがこの子だ。
繁殖力の強い巨人族だからこそ、この方法が可能だった。
「運命が、より“ロキ“として相応しい者を見出せば、誰でも良いんでしょうけど」
報告では、既に選抜の段階に移行したか可能性がある、と示唆されていた。だが、未だ繁殖を続けているということは、候補となった子が軒並み基準値の下限ギリギリだからだろう。
より強く、恨み深く、巨人族の先導者として理想的な個体が生まれるまで、この拷問施設は無くならない。
叫び声がした部屋に駆けつけると、どうやらそこは交尾部屋のようだ。扉を破壊して突入すると、痛みで気を失った女巨人と、興奮剤を投与されて、鞭を打たれながら交尾を強いられる巨人が、中に何人も居た。
「・・・・・・酷いな、これは」
私がかけた魔術で、見張りが全員が眠り込んだのを確認すると、2人で手分けして治療を始めた。
繁殖を繰り返すと、ヨトゥンの特徴である巨体は失われていく。外では珍にしか見ない、私達よりも更に背の低い巨人が、この部屋には何人も居た。
時間がないので簡単な手当てしかできなかったが、興奮剤の効果が切れると、拷問から解放された巨人達は、安堵して皆その場にへたり込んだ。
女巨人達は、もれなく全員出血していた。意識が無くぐったりしている者や、怯えきって震えている者に、アースのロキは優しく語りかけた。
1人1人丁寧に治療を施して拘束具を外してやると、動ける女巨人は皆、部屋の隅に這って逃げた。
「これ、使ってくれ」
私はアース神に、ガウンを渡した。
「・・・・・・わー、ちゃんと色分けされてる。用意周到ですね」
「取り敢えず、400着は持ってきた」
巨人族の性別は、生殖機能から大まかに分けて4つある。雄、雌、両性具有、単為生殖だ。
中でも単為生殖は、最初の巨人であるユミルの血を、濃く受け継いでいる個体にのみ現れる。
交尾をせずとも単体で繁殖できる為、別の場所で隔離されているはずだ。
「保護する時に分かりやすいかと思って」
「毎回毎回お股見せてもらうの、タイパ悪いですもんね〜。ここで間違えたら大変だけど」
私は疲れ切った巨人達に、性別を再度確認して色分けされたガウンを一枚ずつ羽織らせた。ここでは服もまともに着させず、生きていくのに最低限の食事を与えるだけだ。
慣れた動作で股を広げて性器を私に見せてくれるが、袖に腕を通すのには、漏れなく全員難儀していた。
部屋にいるのは雄と雌の巨人ばかりだ。両性具有の巨人は、ラウフェイ役もファールヴァウティ役も両方担うことができる。
更に、予言で父親と母親両方の役割がある“ロキ”の親として、より相応しいのではないかという意見もあり、重宝されているのだ。
こことは別の場所に囚われている。
「ちょっと来てください」
エーシルのロキに呼ばれて行くと、逃げようと暴れる1人の女巨人を捕まえていた。
「この子、怪我が酷くて。朝まで持たないかも」
「内臓まで傷ついているのか・・・・・・城に繋ぐから、向こうで治療しよう」
私は蹴破った扉を、ウトガルド城に直結させた。理論的には“どこへでもドア“と同じだ。
「ほら、“お母さん“。痛いの治しましょう? 」
泣いて対抗する女巨人を、ロキは優しく説得した。だが言葉を話せない彼女は、初めて見たガウンにすら怯えている。
「・・・・・・血が流れ続けている」
「そうですね。ちょっと強引にはなるけど」
ロキは、ルーンを刻んだ枝を、優しく彼女の頭に触れた。催眠が効いて大人しくなった彼女を抱き上げると、彼はどこへでもドアを潜って救護班に引き渡した。
「負傷者は左手首に印を付けてある」
私は、入れ替わるように駆けつけた部下やロギ達に、彼女と気絶した女巨人を最優先で運ばせた。
何が起きているのか理解できない囚人達は、ガウンを握りしめながら、連れ去られて行く仲間をただ呆然と見ていた。そして促されるまま自らも立ち上がり、そろそろとドアを通っていった。
「まずは、奴を仕留めないと」
「ええ、幸いなことにまだ気付かれていません」
ロギに後を任せ、私達はこの家畜小屋を建てた家主の元へ向かった。
アース神族への憎悪が高まるのに比例して、ラグナロク後の新世界創造を否定する、終演派の巨人が増え始めた。
より破壊衝動の強い“ロキ”を育成することで、九界を完膚なきまでに破壊しようというのが魂胆だ。
この終演派に属する霜の巨人も、最期まで私達にラグナロクの早期開戦を願っていた。
「これで、危険分子その1は取り除けましたね」
心臓を切り出して確実に息の根を止めると、私達は人探しを再開した。
妊婦やロキ候補の隔離部屋を探し出し、両性具有の巨人、単為生殖の巨人も次々に見つけて保護していく。
「・・・・・・まだ出てこないのか」
「頭が殺され、挙げ句に仲間を連れて行かれたら、誰だって警戒しますよ」
私達がこの場所に気付くまで、多くの罪なき巨人が命を落としている。不妊は勿論、産まれたばかりの赤子すら、基準に満たない者はすぐに殺された。
言葉も文字も知らず、外の世界を見ることすら叶わないまま、死んでいったのだ。
「やはり、王台が孵化するまでには至っていない様ですね」
「そうだな。まだ幼いのもあるが、ビューレイストやヘルブリンティに近い子ばかりだ」
優秀な“ロキ”候補の子供達は、見知らぬ巨人達がここを占拠するのを察知して、館のあちこちに隠れている。
“風と雷光”や、“戦士の目を眩ます者”としての適性はあるが、“閉ざす者”に合致する性質を持つ子は、どこにも見当たらない。
「この子達も、全員面倒見るんですか? 」
アース神のロキは、怪訝そうな顔を浮かべながら、隠れた子供をひょいひょいと捕まえていった。
「大変なのは分かっているが、見捨てられないんだ」
最後の子を捕まえると、私は“どこへでもドア”を繋げてウトガルド城に入った。誰も残っていないことを確認して、子煩悩なアース神がドアを潜ると、私はドアを閉じた。
アースガルザ・ロキは、早食い競争のライバルを見つけると、足早に近づいた。
「あの子は? 」
「ロプトか、おかえり。後少し遅かったら、死んでたかもってさ」
ロギの視線を追い、彼は重症の“母親”の元へ歩いていった。
「皆ご苦労」
私は治療に奔走する国民達へ、感謝を伝えた。
「今日保護した者達は、これから慣れない環境に身を置くことになる。皆には更に苦労を掛けるが、どうか優しく接して欲しい」
体を洗われ、服を着せられ、栄養のある食事を摂ると、可哀想な巨人達は眠りについた。まだ状況が掴めていないのだろう。
助け出されたという実感も無く、ただ別の場所に移動させられたとしか理解できていない。
例え、彼らに真の安寧が訪れなくとも、ここを終の棲家に出来たことを少しでも良いと思ってくれたら、私は嬉しい。
秘蔵のワインを勧めても、いつも飲んでるから要らない、と突き返されてしまった。
「一緒に飲みたい気分なんだ」
「・・・・・・仕方ないな」
肉をちらつかせると、渋々といった様子で彼はグラスを受け取った。
顔色の悪いラウフェイの頭を優しく撫でながら、彼はワインを口に含んだ。
彼女は監禁生活の中で産まれ、自らも子供を産むことを強要されてきた。助けてという言葉も縋る先も知らないまま生きていくのは、相当な苦痛だったろう。
懸命な治療の甲斐もあって一命は取り留めたが、蓄積した疲労と私達に対する恐怖心で、気絶するまで抵抗し、また飛び起きるというのを繰り返している。
物のように扱われ、命に関わる怪我を負った彼女が、今夜だけは痛みで苦しまないよう、彼は付きっきりで看病するつもりだ。
瞳の中で残星の星を燃やしながら、アースのロキは、ずっとルーンの魔法を掛け続けている。
「白子の一夜漬け、忘れちゃ駄目ですよ」
「勿論。君も、1人で食べ切ってはいけないよ」
魔法が効いてきたのか、苦しそうだった彼女の表情が和らぎ、眉間に刻み込まれたシワも浅くなった。
彼の手を握る力も、少しずつ弱くなっている。深い眠りに入るまで、後少しだ。
これから覚醒する間隔も、段々長くなっていくだろう。
原典の著作権が切れているので、二次創作と言いつつ、ジャンルはオリジナルになっています。




