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第五話 負けられない戦い

「ユキ、今日はちゃんと給食着持ってきたよな?」


そう話しかけてきたのはリュウ。こんなことを聞くのには理由がある。わたしはいっつも何かしら忘れ物をする。給食着に上靴、体育館シューズや裁縫道具、リーコーダーなど。

そして先週の月曜日、月金バックごと忘れてしまい、ペアのリョウが一人でおぼんを運ぶことになった。その時は平謝りした。もう二度としたくない。ということで今回はちゃんと持ってきた。

だけど(・・・)上靴を忘れてしまった。なんでだろう。一つは忘れ物しないといけない運命なのか。神様、残酷です。

「もちろん。前回の反省を生かしてしっかり持ってきました。ただ、上靴は忘れたけど。」


「いい加減忘れ物癖治せよ。みんな困っちゃうんだから。」


「はい、ごめんなさい。」

こういう時はしっかり謝っとくのがいいんですよ。事実だし。


「へいへい、さっさと準備しろ。おいてかれるぞ。」


「そうだな、急がねーと。」

あんまり遅くなるとおいてかれてちゃう。準備が遅くなる=給食食べ始めるのが遅くなる。だからね。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


今日の給食はご飯にアーモンドあえ、みそ汁である。アーモンドあえは、口に入れるとアーモンドとしょうゆや砂糖を少し使ったであろうたれが口いっぱいに広がり、シャキシャキのレタスの食感が加わる。そそして小さく刻まれたアーモンドのまろやかな旨味。給食の中で一番好きなおかずかもしれない。みそ汁は、いろんな生徒が食べられるように合わせみそが使われ、さらに給食室でとった出来立てのだしがうまみを出している。そこに油揚げやダイコンなどの定番の食材がつかわれ、とてもおいしく、常に安定した味を保っている。ごはんは私たちが住んでいる県のお米が使われ、つやつやでぷっくりとしたお米は非常においしい。このお米とアーモンドあえを一緒に食べると味変になり、おいしい。


こういう給食はとても人気がある。だから給食戦争も余計白熱する。でもいつも増やしている人たちは、決まって列の前、有利な方に食い込んでいる。それは増やすポイントを心得ているからだ。

まず一つ、増やす前にできるだけ食べて、器に入る量を増やすのが大事。こうすることで、傍目同じ量を増やしているように見えても、もとから入る量が多かった人が得をする。

そして二つ目。増やし始められるギリギリまで体力を温存し、最初のよーいどんに全力を注ぐ。こうすることでスタートダッシュが早くなり、ほかの人より早く列に並べる。

とまあ、こんな感じである。あと少しあるけれど、それを紹介すると長くなる。また今度にするとしよう。

「ユキ。今日こそ負けないからな。」

そう言ってリョウが白熱している。最近は私が勝ち続けており、闘志を燃やしているらしい。わたしたちはより早く並べるように、普段から席は後ろの方を希望している。そのため席が近い。最悪なことに、今回の席替えでは隣の席になってしまった。ちなみにミユキは私たちとははなれた席だ。少し目が悪いため、前のほうに行きたいらしい。ストップ役がいないこと、席が隣ということが重なり、喧嘩はいつもの倍になっている。


「へっ。あんたごときに負けてたまるもんですか。バーカ。」

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