第十五話 カレーだ!カレーだ!給食会議
「みなさん、手を合わせてください。おいしい給食、いただきます!」
日直の声によって、給食の時間が始まる。ユキの中で一番好きなこの時間は、今やある依頼のせいでほぼ会議の時間と化していた。
教室の一角に、ユキ、ミユキ、リョウ、ケイの四人の席を集め、くっつける。おかわりの時間以外は、みんなで話し合ったり、情報共有をしたりする。休み時間だと足りず、学校会の活動時間は通常業務があるため、依頼の準備ができない。
それはそうと、今日の給食はカレーだ。給食でも家庭でも人気のこの料理、星小学校のものは普通のものと少し違う。なんと、ルーから作っているのだ。家庭でするだけでもかなり面倒くさいのに、600人あまりのカレーを、ほぼ月イチの周期で作るのはすごい。
味はインドカレーのお店にあってもおかしくないくらい。だが、子供が食べることが考えられているのか、甘くはないが辛くもない、ちょうどいい塩梅の辛さになっている。これを手作業で、ほぼ変わらぬ味を作り続けているのだから、給食室のおばちゃんたちは本当にすごい。
口に含んだ瞬間に、カレー独特の香りが鼻を抜ける。噛んで見ればほくほくのじゃがいもとほんのり甘い人参、お肉の食感が合わさり、大変美味しい。隠し味でなにか入れているのか、自然な旨味、甘みを感じる。
カレーの日はだいたいサラダがつくのだが、今日のサラダは校庭で育てているレモンの果汁で作ったキャベツのレモンあえだ。茹でてシャキシャキとした食感が増したキャベツに、レモンの素朴ながらアクセントの強い酸味が合わさり、強いカレーの味を爽やかにしてくれる。最高の組み合わせだ。
「はあ、幸せ。毎日でも食べたい。最高。ほんとに最高。ぜっっっっっっったいに今日は一番になる。」
ユキが幸せに浸りながら意気込むと、リョウが反応する。
「はあ?一番は俺がなりますうー、ユキは二番ですうー。」
いつも通り喧嘩していると、割ってケイが話しだした。
「はいはい、ふたりとも落ち着いて。じゃあ、食べながらだけど、進捗を聞こうか。」
箸を持ちながらケイが言う。ケイも給食は好きだが、ユキやリョウのようにおかわり争奪戦の王者を争っているわけではないので、かなり余裕がある。時間の有効活用と思っているのだろう。そこでリョウが声をあげた。
「はいはーい、俺からね。とりあえず、この間ユキにもらったろじっくつりー?ってやつの通りに書いてきたぜー。添削おなしゃーす。じゃ、俺の報告は終わりな。おかわり間に合うよな。」
リョウの頭にはおかわり8割、残りの2割程度に雑多な情報が詰まっているのだろう。
「リョウは本当に給食のことしか考えてないなあ。はいはい。今日中に添削しとくから、明日持ってくる。」
そうユキが答えると、次はケイが話し出す。
「次、僕いい?リョウと同じように、ユキの指示に合う形で考えてきたよ。僕も添削お願い。」
「私も、同じように書き終わったよ。ユキ、添削お願いできる?」
「おけおけ、じゃあ私の原稿も、みんなで添削おねがいしていい?」
「「「勿論!」」」
ちょー久しぶりに投稿しました。投稿周期ばらばらですみません。
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