きっかけ3
3話目です
一週間、特に新しい情報が入ることはなく、いよいよ当選者が発表される日になった。この日は休日で、ずっとワクワクしていた。当選したらどんなものが届くのだろうとか、使ったことがないけれど使い心地はどうかなど、ずっと考えていた。
昼、昼食を終え、自室に戻る。今日起きてからずっとスマホを手元に持っているが、着信が来ない。
ちなみに、プレゼント企画の拡散数は200万を超えていた。
「やっぱ、こういう確率には弱いんだな、私」
少し落ち込んでいると、母が部屋をノックしてきた。
「吹雪、なんか、手紙が届いてるわよ。株式会社セントアース?ってところからきてるけど」
「ん、頂戴。ありがとね」
「いいのいいの」
セントアース?聞いたことある気がするけどない気がする、とりあえず読んでみよう。
【 サナ様、この度はご当選おめでとうございます。
景品のフルダイブセットですが、そのことについてお話させていただけないでしょうか。
ご都合については専属のスタッフがおりますのでサナ様のご都合のつく日で専属のスタッフにDMでご連絡ください。ご自宅までお迎えに上がります。
ご不明な点がありましたらこちらの番号におかけください
03-c421-e695 セントアース対応事務所
では、これからも我が社をよろしくお願いいたします。 株式会社セントアース情報部】
なんかいろいろと突っ込みたいけど、ひとまずこれだけはやらせてほしい。
「やっっったぁーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!1」
え、え、当たった?ほんとに?ドッキリじゃないよね?やった!
ベッドに倒れこみ、手足をバタバタさせる。
「やったやったうれしい、あ、泣きそう」
感情の整理ができずに数分ベッドのなかでじたばたしていた。
10分後
ふう、突っ込みたいことに突っ込めるだけの整理はついた。
「セントアースって公式のことだったんだ。なんで手紙なの?DMでよくない?あと私専属のスタッフ?お金大丈夫なのかな?それにさりげなく迎えに来る気満々じゃん」
一つの手紙で三つの突っ込みができてしまった。
「私明日も休日だし明日早速行こうかな………っと、その前に家族に報告だね」
夕食、リビングにて
「お父さん、誕生日に欲しいって言ったやつやっぱなしにできる?」
「ああ、できるぞ。だけどどうしたんだ?吹雪が取り消すなんて珍しいじゃないか」
「前にやりたいって言ってたゲームがあるでしょ?あそこの公式がやってたプレゼント企画で当選しちゃって、証拠もあるよ」
そう言い、スマホに表示された画面と手紙を見せる。
「本当らしいな」
「で、話があるらしいから明日行ってくるね」
「気をつけろよ」
「わかってるよお父さん」
夕食を終え、自室に戻る。
「専属のスタッフって言ってたけど、その人にどう連絡とればいいんだろ」
スマホを手に取り、SNSの新着を消化していく。すると、一つ気になる着信があった。
「フォロー?誰だろ」
そこにあった名前は、橘響‐サナ様専属スタッフ‐
「絶対これじゃん。名前からしてそうだもん」
本当にスタッフなのかあやしいが、連絡を取ってみないとわからない。ということでDM送ろ。
サナ:こんばんは
橘響:こんばんは、サナ様
サナ:質問いいですか?
橘響:どうぞ
サナ:どうしてDMではなく、手紙を送ったのですか?
橘響:それは上からの指示だったので私は分かりません
サナ:わかりました
サナ:もう一つ、お話があるといいうことでしたが、DMではだめなのですか?
橘響:上から、きちんとあって話をつけろ、といわれましたのでDMではだめです
サナ:わかりました
サナ:では、明日そのお話をさせてもらってもいいでしょうか
橘響:わかりました
橘響:送迎の車を用意しますので、迎えに行く時刻と話をする場所を教えてください
橘響:カフェなど飲食店でも構いません。これは経費で落ちますので
サナ:では個室のあるカフェでお願いします。私はあまりこの地域に詳しくなくて具体的な店名がわからないんです
橘響:個室のあるカフェならどこでもいいでしょうか
サナ:はい
橘響:時刻はいつにしますか
サナ:10時くらいでお願いします
橘響:わかりました
橘響:10時にそちらに伺います
明日どんな話をするのかな?
「もうこんな時間、寝なきゃ遅れる」
その日はもう寝た
サナとありますが、吹雪のネット上での名前です
電話番号は適当に付けました。意図的に付けたわけではないので、この電話番号に何があるのかわかりませんが気にしないでください。
24 4/2 電話番号を不明確にしました。