メリルリ古代迷宮、第7層 ~宝石神殿と貝のマヨサンドイッチ~
「……これでよし!」
メリルリ古代迷宮の第6層。
迷宮内に茂った水草に守られた部屋。
アビゲイルは帰還魔法陣の構築をおえたところだった。
――
◆クエスト概要 : ダンジョン内の帰還魔法陣設置
◆クエスト実施地 : メリルリ古代迷宮第5層~第10層
◆依頼主 : メリル市冒険者組合
◆必要編成 : 2名
◆報奨金 : 魔法陣設置1つにつき成功報酬100万サキュル。
――
すでに2か所を設置しているので200万サキュルの報酬は確実だ。
ギルドの平均的なクエスト報酬が20万~30万サキュルということを考えると、これだけでも十分な報酬だ。
しかも、エミリア命名の【おかえりの鍵】を使えば、自宅の寝室で休養をとってからまたダンジョン攻略に戻れる。
「余裕だな!」
「はい、楽しいですね。アビゲイルさん!」
「……楽しいか」
「外の世界は、やっぱり楽しいですよ」
「そうか。エミリアがそう思うなら、よかった」
ちなみに。
第3層に繁殖する希少種レッドドラゴン、第4層の洞穴に棲みつくハーピィ、第5層の湖で冒険者たちを誘い殺す歌い人魚――その誰もが、エミリアの清涼な魔力によって無害化してしまった。アビゲイル特製の翻訳術式を刺繍したリボンを首に巻いて喋ってみれば、意外にも友好的なやつらだったことがわかる。
アビゲイルの推理によれば、彼らは『人間を襲っている』のではなく『古代迷宮を守っている』。
これは、謎に包まれた古代迷宮の秘密を解析する大きな手掛かりかもしれない――アビゲイルはめちゃくちゃに興奮していた。根っからの研究者気質である。
「しかし、第6層への潜入は本当に難しいな」
文字通り、潜入だ。
第5層から第6層に入るには、魔術で水泡を形成して湖底にある扉をくぐらなくてはならないのだ。
水泡を形成して、そのまま移動をする――それだけでも高度な魔術だ。
さらに、普通に潜水すれば歌い人魚が襲ってくる。
無理すぎる。
そういうわけで、潜水ヘルメットという便利な魔導具を開発したアビゲイルと、歌い人魚を手なずけるエミリアの2人だけが第6層以降への潜入に成功しているのだ。
「よーし、ここから先もサクサクいこうか」
「はい、アビゲイルさん!」
第6層から第9層までは、一度通ったことがある程度できちんとした探索は行っていない。
今回は帰還魔法陣設置をする都合上、ダンジョンの各階層に存在する安全な一帯を探し出す必要がある。
そこに帰還魔法陣を構築してから次の階層に移るのだ。
――第7層は、水晶やら宝石やらがあちこちを飾り立てる神殿風の作りになっている。
メリルリ古代迷宮は、各階層ごとに景色が違うのだ。
「まぁ、さいわい時間はたっぷりあるし、食料も寝室も心配ない。脱出だけなら魔法陣をつかえば一瞬で可能だしな」
「おもしろいものがあるといいですね、アビゲイルさん!」
「うん、そうだね」
さて。
いい時間。
第7層に入ったばかり。めだったモンスターもトラップもなし――となれば。
「そろそろ、ごはんにしませんか? アビゲイルさん!」
「あぁ、私もそう思っていたところだ」
アビゲイルのバッグには日持ちのする加工肉。
そして、歌い人魚たちから分けてもらった新鮮な貝が入っている。
「貝は焼いただけでも旨いが……少し変わった食べ方をしようか」
「変わった食べ方?」
「サンドイッチだ」
「おおお!?」
貝を茹でて火を通し、細かく裂いてハーブとマヨネーズであえてフィリングにする。
これを柔らかい食パンにはさんで食べると美味なのだ。
もちろん、海産物を口にする習慣のない修道院で育ったエミリアにとっては『大ごちそう』である。
「やったー!」
エミリアの声が、宝石の神殿に響いた。
【お知らせ】
①念のため申し上げておきますが、この異世界にはサンドイッチはあります。
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