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メリルリ古代迷宮、第3階層④ ~大家族のチャーハン~

『うぅ、お腹が空きました。ほかほかごはんを、いっぱい頬張りたいですぅ』



 しょぼぼ……という効果音が聞こえそうなほど肩を落としているエミリア。

 アビゲイルは、ふむ……と唸ってファイアドラゴンを振り返った。



「ファイアドラゴン。お前たちのいう『人の子』の料理に興味はないか」

「料理……? ふむ、私たちには縁のないものですが」

「氷狼フェンリルたる我をもとろけさせる、至高なる業であるぞ。料理というのは」

「ほぉ、フェンリルがそこまで言うのであれば――ふむ、興味はありますね」



 よし、とアビゲイルは頷く。

 そして、ファイアドラゴンのまえに――鍋を差し出した。



「よし、そうしたら手伝ってくれ。一応、持ち運び用の調理魔導具(コンロ)は持ってきているが、ファイアドラゴンの火力には興味がある!」

「ほぅ、私に炎を吐けというのですね」

「ああ。だが、いいか、この料理は火力が命だ。とはいえ、ファイアドラゴンの全力の炎では鍋が溶ける」

「えぇ、つまりは――加減をしろということですね?」



 ファイアドラゴンがこぅっと吐いた小さな――とはいえ、十分に大きな炎。

 それを使ってアビゲイルは、鍋を振る。

 なべ底がまぁるい円形を描いた、東方の炒め鍋だ。


 シャッシャッシャッ!

 小気味のいい音。


 地下迷宮においては見ない鮮やかな黄色の卵。

 家から持ってきた細かく刻んだローストポーク。

 刻んで小分けにしてあったタマネギ。

 炊きこぼしたライス。


 それらを油であわせて、炒め合わせる。



「この料理は細かく刻んだ食材で作れるからな。野営にぴったりだ!」

「わふ……よくわからぬが、野営というのはこんなに本格的な料理をするものなのか?」

「あのね、ジョン。アビゲイルさんは、いつでもどこでも人が楽しく過ごせるようにする天才なのですよ! えっへん!」

「なぜエミリアが威張る……?」



 炒めるのに使っていたおたまに、炒めていた具材をのっけて――

 ……ぱっかん。

 きれいなドーム型。



「まずはエミリア、君の分だ。東方の大国の人気料理――チャーハンだ!」

「うわぁああ~!」



 エミリアはきらきらと輝く瞳で、チャーハンなる一皿を見つめる。

 おそるおそるお匙で、ドームを崩す。

 中に閉じ込められていた湯気が、ふわぁっと一気に立ち上る。


 エミリアの周囲をとりかこんで、かたずをのんで見守っているファイアドラゴンたちもその様子に「がるる」と唸った。



「いただきます……!」



 はふ、と一口。

 口いっぱいに、油にくるまれたライスや具材の風味が一気に広がっていく。

 はふ、はふ、はふ。


 ネギ粥やソーメンのような、少しずつ胃を満たすのとは違う――もっさもっさと口に詰め込んで、ごくんと飲み込む豪快なうまさ。

 おなかいっぱい、たべたい!



「おいしい~!」



 エミリアが、満面の笑みで叫んだ。



「わふっ、これは旨そうだ……!」

「「「きゃおっきゃおっ!」」」



 ジョンに続いてファイアドラゴンたちが、目を輝かせる。

 ひときわ大きなファイアドラゴンが、「これこれ、子どもたち。落ち着きなさい」と諭す。

 どうやら、彼女は母ドラゴンのようだ。大家族である。


 母ドラゴンの声も、諭しながらもワクワクとしているのが滲み出ている。



「今回は、試作品の魔導具――調理妖精(ヤミー・フェアリー)をつれてきている」

「おおお、こびとさんみたいです!」



 アビゲイルは、肩にかけたポシェット――倉庫いくつもに匹敵する容積をほこる空間圧縮魔導具――から、丸いフォルムのからくり人形、調理妖精(ヤミー・フェアリー)を次々に飛び出す。

 調理器具を片手に持ち、おどけたポーズをとっている人形に、エミリアが歓声をあげた。




「今回は数々の試作品に、さらには『秘密兵器』もあるからな。迷宮内といえども、食事に困ることはないさ」

「すごいです、アビゲイルさん!」

「この料理は一度に大量に作ると味がぶれるんだ。さぁ、ファイアドラゴンたち。君たちが調理妖精(ヤミー・フェアリー)を手伝ってくれれば……すぐに全員分が用意できるのだがな?」

「「「「キャオォオォ~!」」」」



 ファイアドラゴンたちの首には翻訳魔導具であるリボンはないけれど、完全に言っていることはわかる。

 誰がどう聞いても、「「「「やったーーーーー!!!」」」である。

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― 新着の感想 ―
[一言] ファイヤドラゴンのブレスで炒めたチャーハン… 火力が強いからいい仕上がりだろうな… お腹が減りました。
[一言] アビゲイルって魔女より料理人ですね
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