万能の大魔女アビゲイルの善行② ~帰り道~
昼寝から目覚めたエミリアも合流して、ギルドで話し合いだ。
メリルリ古代迷宮の最深層探索に、市民の期待が高まっているのだそうだ。
「といっても、エミリア様たちだけですけどね……あんなところまで行けるのは……」
「すまんな、ナディア。色々と便宜をはかってもらって」
「いえいえ、何かしているかといわれれば、ギルド名義でダンジョン攻略依頼をエミリアさん宛てに出しているだけなので」
「そんなことありませんよ、ナディアさん!」
「と、いいますと? エミリア様」
「これを貸していただいています、じゃじゃーん!」
「あはは、初心者用の戦杖ですか」
エミリアは、冒険者用の装備を持っていない……というか、あまり買うつもりがない。
ギルドが貸し出している初心者用の戦杖を使っているのだ。
「これ、すっごくいいんです。ぶんぶん振り回すと、モンスターたちがぴゅーって飛んで行って!」
「そういう機能は付いてませんね」
「風圧だな……エミリアの……」
ダンジョン攻略は、三日後。
早朝からの潜入が求められているらしい。
「……すまん、ナディア。少し待ってくれないか」
「ご都合が悪いんですか?」
「アビゲイルさん。でも、畑だったら、魔導具さんたちがやってくれますよね?」
「いや、そうじゃなくてな……ひとつ、開発中の魔道具が完成しそうなんだ。それがあるだけで、かなりダンジョン探索の難易度が変わる」
「ああ、そういうことでしたら!」
「どうだろう、いったん10日後の早朝ということで」
「了解です」
それでは、とギルドをあとにした。
***
ジョンの背に乗って、森を歩く。
大きなジョンの背中は温かくて、安心する。
「アビゲイルさん、お腹すきました……」
「あぁ、今日のクエストでもかなりの魔力を使ってくれたからな……」
今日のクエストは、ハーピィに制圧された山でのハーピィ討伐だった。
Sランククエストで、緊急性もあるということでエミリアとアビゲイルに白羽の矢が立ったわけだ。
「私の発明品である魔力砲を使うとは言ったが、まさか、山ごと吹っ飛ばすほどの魔力を装填されるとは思わなかったぞ」
「す、すみません……! 一応、加減はしたんですぅ……実際に吹き飛ばさないで、本当によかった……」
「そこは安全装置を作っておいたのが功を奏したが……」
「銃、壊しちゃってすみません」
「まったくだ。私は、こういう物騒な魔導具をいじるのは好きじゃないんだぞ」
「すーみーまーせーんー!」
「まぁ、その魔力のおかげで、絶対に作れないと思っていた『あの発明品』が開発できるわけだが……」
ふと。
がさがさ、と木の葉がすれる音がする。
「キエエェェーーーー!!」
絶叫とともに、上空から襲い掛かってくる。
ハーピィだった。
【御礼】
いつも「感想コメント」で話しかけてくださって、ありがとうございます!
すべて嬉しく拝見しております! お返事がなかなかできず、申し訳ございません。
感謝だけでも……と思い、あとがきにて。
本当にありがとうございます。




