セレネイド女子修道院の異変③~大聖女リエラ・ハルート~
蛙田アメコ名義で、2020年8月に新シリーズが発売になります!!!!『突然パパになった最強ドラゴンの子育て日記~かわいい娘、ほのぼのと世界最強に育つ~』(GCノベルス)、よろしくお願いいたします。
――一方、その頃。
天歌教会総本山。
カンタレラ=デオ大聖堂。
天歌教の『大聖女』リエラ――カナリエラ・ハルートは、その玉座に座っていた。
齢は35にもなるが、容姿の美しさは少しも衰えていない。床に流れる長い金髪は、側近の少女修道士たちによって常に手入れをされている。
――大聖女とは、天歌教の象徴であり最高指導者である。
リエラは18才で『聖女』となり、世界中で施しの旅を続けていたが、たぐいまれなる魔力と美貌とカリスマにより20才を待たずして天歌教の中枢である枢機卿へと召し上げられた。
最高指導者である『大聖女』となってから、すでに10年になる。
名実ともに、天歌教会の中核である。
「――これが、今年18才になった『聖女見習い』たちの名簿ですか」
「はい。なかでも優秀で、『聖女』となるにふさわしい娘たちです。この者たちを天歌教団の『聖女』としてもちいること、大聖女リエラ様からのご許可をたまわりたく――」
「拝見しましょう」
天歌教は、世界中の大気に満ちていたマナが減衰した頃に栄え始めた宗教だ。
マナをふりまく世界樹の化身とされている【天帝聖母】を崇め、魔力を分け与える『聖女』を世界中に派遣することで信仰を集めてきた。
ただし最近では、『聖女』というステータスを得るために修道院に娘を送り込むことが貴族社会で流行している。聖女の位を持つ娘は、政略結婚の際の切り札となりえるのだそうだ。貴族の娘たちは、たとえ『聖女』になったところで伝道と奉仕のために世界を駆け回るようなことはしない。領地にて『聖女さま』としてちやほやされて、申し訳程度に偽善を行う程度のことだ。
けれども、天歌教の各地の女子修道院は、貴族の家から聖女見習いを募ることを辞めない。なぜなら、娘の受け入れを行うことで、貴族たちから多額の寄付金を受け取ることができるからだ。一言で言えば、腐敗である。くだらない、とリエラは思う。体内の魔力を他人に分け与えることで、癒しの奇跡をおこなう『聖女』というのは、本来は命がけの職務だ。それを行わないものに、『聖女』の職を与えるなど――。
ぺらり、ぺらり。
名簿をめくる。機械的に承認の署名をしながら、大聖女リエラはある名前を探していた。
「大聖女様、こちらの名簿で最後でございます。セレネイド女子修道院はさすがですな、今年も『見習い聖女』全員が聖女への昇格基準を満たしております! 清貧、勤勉、そして体内の魔力も十分で――」
「おかしいわ」
「どういたしましたか、リエラ様?」
「おかしいです、どの修道会の名簿にも、あの娘の名前がありませんわ……!」
「あの、娘……?」
「……今年で18才になるはずなのに、あの娘ほどの逸材が『聖女』の候補にあがっていないはずがありません」
リエラは手にしていた名簿を握りしめる。
くしゃり、と乾いた音がする。
「り、リエラ様……!?」
「あの娘はどうしたのです。わたくしが霊嶺オリュンピアスのふもとで拾った、奇跡の子は!」
「申し訳ございません、何か手違いがございましたでしょうか!」
「わたくしが孤児として拾い上げた、あの娘は、かならず『聖女見習い』にするようにと伝え、もっとも厳しく権威あるセレネイド女子修道会に預けたはずですわ」
「す、すぐに確認をいたします!」
「ええ。探してちょうだい。あの奇跡の娘――エミリア・メルクリオを!」
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