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その後も、公爵家へ挨拶をする方が次々と並んでいる為、
リックとは挨拶以外話す事は出来なかった。
変わる変わる挨拶にやってくる貴族達
毎回、名前を名乗り自己紹介をし知り合いになっていく。
うん…だいぶ疲れるな…これ。
最後の1人と挨拶が終わる頃には1時間ほど時間が過ぎていた。
「お父様、王族の皆様はまだ来ないのですか?」
「王族の者達が来るのは私達より1時間後なのだよ」
「どうしてですか?」
「貴族同士の挨拶があるからね、それが大体終わった後王族の皆様が来て、位の高い者から王族へ挨拶に向かうのだよ。貴族間の挨拶に陛下をお待たせする事は出来ないからね」
なるほど!考えられているわけですね!
感心していると音楽が鳴り響く
「リザ来たようだよ!」
父様の言葉と共に
「シルバール・フォン・ドランダル国王陛下
ダイアナ・フォン・ドランダル王妃殿下
ジルベルト・フォン・ドランダル王太子殿下のご入場です」
皆が頭を下げ王族を迎え入れる。
「皆のもの顔をあげよ」
陛下の声で皆顔をあげる。
「只今をもって、お茶会を開催する。皆のもの楽に楽しんでいかれよ」
陛下の短いお言葉と共に皆んな動き出す。
「さて、面倒だけど、挨拶に行くよ」
父様、面倒って言っていいの?仮にもこの国の王だよね?
「陛下、この度は…」
父様が挨拶しようとしたら、その言葉に被せるように陛下が話す。
「よいよい、そんな堅苦しい挨拶は!」
「(チッ)こっちにもマナーってもんがあるんですよ陛下!
疲れるからって省こうとするのをやめて下さい」
「相変わらず、ダンは厳しいな。だが余とお前の仲だ、誰が問い詰めよう。それに、今は近くに他の者もいない、
いるのは、近衛騎士ぐらいだ。しかもお前の元部下だし問題はないぞ!」
陛下はガハハと笑う
えっ?父様、近衛騎士の部下などいるの?
私の頭の上には???が沢山。
父様のため息が聞こえる。
「それに、お前だって堅苦しい言葉を聞くのは嫌だろう?それと同じこと。俺も嫌だ」
「陛下と私とでは身分が違うでしょ」
「まぁーそんなことより、その後ろにいるのは、エアとダンの娘か?エア久しぶりだな」
「陛下、お久しぶりでございます。王妃殿下もお久しぶりでございます。そして、ジルベルト殿下、大きくなられましたね」
母様が挨拶をする。
「エア!私も堅苦しい挨拶は嫌だわ。私は、元は貴方より身分は下。それに、エアの事は姉のように思っているのです。前から言ってるではないですか、その様な他人行儀の話し方は公式の場でも嫌だと」
「王妃殿下、公式の場で普通に会話するなど無理でございます」
「あっ、無理だと言うのであれば、陛下にエアは王妃専属の友達って称号を作ってもらいましょう!
この称号に、王家と場所問わず普通に話せるようになる特権とか付けて!いい案だと思わない?」
「ダイアナ様…」
そう呟いた母様の顔は般若であった
「ダイアナ様…私常日頃言っておりましたよね。貴方様は王妃殿下になられたと、自分から身分が低いなどと言うべきではございません。ましてや、陛下に新たに称号を強請り作らせるなど…これは、後日(明日にでも)王宮にて特別授業が必要ですね」
「えっエア…後日(これ明日くるよね!?確実に)って陛下も困りますよね予定とかありますし…ねっ陛下」
ダイアナ王妃殿下が真っ青になり周囲を見渡すが
陛下も父様も目を合わせない
むしろ陛下なんてダイアナ様を哀れむ目を向けている
「陛下、よろしいですね?」
母様は陛下に確認を取る。
ダイアナ様は陛下が断ると期待して見つめるが
あっさり陛下はダイアナの期待を切り捨てた
「構わない、俺も今のはダイアナが悪かったと思うしな!王妃としての自覚の問題だからな。びっちりエアよ教育し直してくれ」
陛下は親指を立ててダイアナにエールを送る
「陛下!?そんな!?」
なんだこの会話は?王家だよね?これも私の記憶と違うんだけど…。うん、分からない。
私は遠くを見つめ屋敷に帰ってから整理しようと目の前の現実から逃避した。
「父上、母上、その辺に、ダン殿の御令嬢が困っておりますよ」
この声の主のお陰で私は現実に戻された。