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またいつか君と  作者: mame
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始まりの日

初めての作品となりますので、暖かく見守って下さると嬉しく思います。


ザーザーザーザー


雨が降りそそぐ中、金髪の少年とライトグリーンの少女が

横たわっている。

少女は、血を流し今にも命が消えかかっていた

そんな少女を少年は抱え涙を流す。


「………!なぜ俺を庇った!」



「き、きがついたら…ゲホ…体が勝手に動いていたの。

……が無事でよかっ…た」


「俺は、お前がいない人生など、欲しくは無かった」


「そんなこといわない…で…

わたくしは近くに…いないけど…

あなたをずっと見守ってる…

だから、わたくしの分まで…

幸せになって…あなた…を…」


冷たく血に染まった手を少年の頬に添え少女は微笑みながら言葉を紡ぐが、最後まで言葉を告げれぬまま少女は命を落とした。


ただ、呆然と雨に打たれる少年


この少年にとって少女は何よりも大事だった

共に生きていけずとも、少女が笑っていれば

それだけで、少年はよかった


どこで間違えたのか


どうして少女は死ななければならなかったのか


そんな疑問が頭によぎる


この時代が悪かったのか


少年が……だったからいけなかったのか


少女が……だったからいけなかったのか


答えの出ない考えを繰り返す


もう、目を覚ますことの無い少女の手に自分の手を添え

少年は自分自身へ禁忌の魔法を唱えた。


その魔法は

魂に無理やり記憶を継承させることが出来るもの

魂への継承により少女の魂を感じ取れる事が出来る


だが

少女には記憶の継承の魔法は行えなかった。

魔法は生きていればこそ、かける事が出来る


死んでしまった少女には

記憶の継承の魔法をかける事が出来ないのだ


そして、この魔法は便利でも何でもない

この魔法の代償は自分の命なのだから


魂に記憶を継承する事は

神しか出来ないとされる事

それを無理やり継承させるのは

自分の命を燃やし魔法を唱えるしか方法がない


そして、終わら無い記憶の継承

何年も経つと、自分が自分と分からなくなり

自我が保てなくなるとされていた

増え続ける記憶に廃人となる者もいた

ゆえに、禁忌の魔法とされている。



そして、この魔法から解放されるには

神が与える慈悲のみ


呪文を唱え終え、少年の体には魔法により痣が浮かぶ。


「何年、何十年、何百年、何千年たとうが、必ず君を見つけてみせる。だから、またいつか君と……」


そして、少年は少女と手を添えたまま生き絶えた。



これは2人の少年、少女の始まりの記憶である。

ここから何千年もの間、少年は痣と共に転生を繰り返し

少女が生まれ変わってくるのを待ち望んだ


だが、神の悪戯なのか

少女はこの千年産まれてくることは無かった

少年は悲しみにくれ、最初は幾度も神に願った


「少女の魂に合わせてくれと…

もう一度、少女と笑い合わせてくれと」


何百年と転生するうちに、少年の魂は傷つき、歪んでいく

膨大な記憶に自害する者もいた

自分自身が分からなくなり、廃人となる者もいた


受け継ぐのは、少年の魂と記憶のみ


だが、産まれた彼、彼女等は

少年とは別の人格であり

本来歩むはずだった人生があった

膨大な記憶が無ければ…


そんな時、青年が天に向かい涙声で呟く


「少女に会いたいと(たましい)が叫ぶんだ。

けれど、()()()()その少女は知らない。なのに求める。

もう、俺自身の人生を歩みたい!魂は少年でも()()()()


この青年も、何百年も前から続く記憶に悩まされていた

だが、青年は折れなかった

愛する人を見つけたから

でも、魂が拒否をするんだ

あの少女でなければいけないと

呪われたように…


それを哀れに思った1人の神が少年の記憶を封印した


あの少女が亡くなった原因となった忌まわしい記憶も全て。


記憶を封印された青年は、幸せになった。

心から笑い合い最愛の人の手を取りその人生は幸せだった

そして、月日が流れ青年が人生を全うし命が消えた2年後

あの少女が死んでからおおよそ千年


少女の魂を持つ者が生まれたのだった。


そして、少年の魂を持つ者も。

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