第六話 レイクノーブル
次話は久しぶりに戦闘あります。読んでもらえると嬉しいです。
夜が明け、朝日が照らす頃、俺は朝食の準備をしていた。
今日の朝食はご飯、ベーコンエッグにコンソメスープだ。
材料を異空間収納から出して調理に入る。
「ユートさんおはようございます」
「おはようルイセ、昨日は良く眠れた?」
「うん、むしろ屋敷より快適だったよ」
「それは良かった。朝食の準備が出来るから座って」
「うん、ありがとう」
朝食を取りながら今日のスケジュールの確認を行った。
予定では昼頃にはレイクノーブルに着く予定だ。
家の外に出ると、木々の隙間から光が差し込んでいる。
今日は良い天気になりそうだ。
清々しい気分になりながら俺は、家を異空間収納にしまう。
「ユートさんその家は普通の家じゃないでしょ」
魔道具を使ってエアコンやキッチンを作り、限りなく元の世界に近い構造にしているからな。
「皆には内緒で頼む」
「わかった、二人だけの秘密だね」
ルイセは嬉しそうに約束してくれた。
三時間ほど歩いていると、開けた場所に着き、眼前には広々とした湖が見えた。
レイクノーブル
この世界で最も広く、透明度が高い湖である。
緑豊かな森に囲まれ、その神秘的な姿からレイクノーブル(高潔な湖)の名前がついている。湖と繋がっている洞窟で採れる水は、霊水と呼ばれ、万病に効く。
しかし、今は最も透明度が低い湖になりそうだ。
30cm先も見えず、高潔ではなく混濁の湖と呼ばれてもおかしくない。
ちなみに生き物はいないと聞いているけど本当かな。これだけ広い湖に何も住んでいないなんて信じられない。
「ユートさん、ここって、本当にレイクノーブルですか?」
ルイセが疑う気持ちもわかる。ここから霊水が採れるとは思えない。
「残念ながらここはレイクノーブルだ」
「これからどうするの?」
「まずはアレス先生と合流しよう」
俺は超音波魔法の範囲を拡げる。
5㎞先に人が一人、魔物と戦っている。
「この先に人がいるから行ってみよう」
「わかりました」
「後周りは魔物だらけだから、僕から離れないでね」
「ひえ~、そんなに魔物がいるんですか?」
聞いちゃいますか。
「5㎞圏内でおよそ500匹」
「霊水って魔物避けにもなりますよね?」
「そうだね」
確かに霊水は魔物避けになる。それにも関わらずこれだけの魔物がいるってことは、今霊水はないって考えてよさそうだ。
超音波魔法で人の反応があった場所にたどり着くと、そこにはおびただしい数の魔物の死骸と、一人の男性がいた、
「アレス先生~」
「ユート、何でこんな所にいるんだい」
「友達のお母さんが病気で、霊水を採りにきたんです」
俺の言葉を聞いてアレス先生は顔をしかめる。
「残念だけど、今レイクノーブルから霊水は採れない」
やっぱりそうか。
「アレス先生は、魔物討伐の後、湖を調査していると伺っていますけど何かわかったのですか」
「魔物を討伐する事に手一杯で、調査があまり進んでいないんだ」
このままだと霊水は手に入らない。それなら俺も調査に協力しよう。
「アレス先生、僕にもお手伝いできることはありますか」
「助かるよ。魔物を倒すのを手伝ってくれないか、私は魔法より剣の方が得意だから、数が多い敵は苦手なんだ」
苦手な人が魔物を1600匹も狩れません。
ルイセも苦笑いをしている。
「アレスさん、先日はムーンブルク領の、魔物討伐に御協力頂きありがとうございました」
昼食の時、ルイセが公爵令嬢として、アレス先生に御礼を言った。
「気にしないで良いよ。困っている人がいたら助けるのが、皇帝騎士の仕事だからね。それよりシグマから聞いたけど、公爵家の騒動も大変でしたね」
公爵家の元長男だったボーゲンの反乱についてだ。
「ユートさんとシグマさんが守ってくれたので助かりました」
アレス先生が俺の方を見て言葉を発した。
「よくボーゲンを倒すことが出来たね。あれでも一応、剣の腕は帝国十指に入る程の腕前なんだけど」
まずい、模倣のことを言う訳にはいかないから誤魔化そう。
「僕は魔法中心に戦っていましたし、本人も調子が悪そうでした。何だかんだいって、公爵家に剣を向けるのに躊躇いがあったのかもしれません」
アレス先生は俺をジーと見ている。
「まあ、そういうことにしておきましょう」
やばい、何か気づかれているかもしれない。
話を変えよう。
「そういえばシグマはどこにいるんですか?アレス先生の所にいると思っていたのですが」
「シグマは一度ここに来たけど、今は帝都に向かっているよ」
帝都に? シグマ一人で行く理由って何だろう。
「てっきりユートも帝都に行っていると思っていたから、ここにいることにびっくりしたよ」
エッ? 何で俺も帝都に?
「まだ聞いていないみたいだね。なら私も黙っていよう」
「あっ!わかりました」
ルイセも俺が帝都に行く理由がわかったらしい。
「ルイセ、教えてくれないか」
「アレスさんが言わないのに私が言うわけにはいかないよ」
う~ん、何だろう。二人とも教えてくれないし、とりあえずは今は霊水を持ち帰ることに専念しよう。
さあ、午後は狩りの時間だ。




