第二話 転移じゃなくて転生?
なるべく毎日更新します。読んで頂けたら嬉しいです。
白い光が終わり目をあけると、体が動かなくなっていた。
周りの景色もよく見えない。手足を動かそうとするがうまく動かず立ち上がることもできない。
声を出してみるが「あうあう、あー」としかしゃべれない。
まさかまさか赤ん坊に転生したのか。
あの女神によって異世界へ転移させられたと思ったが転生だったか。
ということは俺は前世でソファーに寝たまま死んでしまったのか。持病は持っていなかったし、過労かな?
こんなことなら早くあのブラック病院を辞めるべきだった。
家の中に変なものを残していないよな、いないよな、いないといいな⋯⋯。
ええい!これ以上前世のことを考えても仕方ない。今の状況を確認しよう。周りがよく見えない、動けない、しゃべれない、寒い、お腹が空いた、トイレに行きたい。トイレ?この状態だとトイレに行けないじゃないか!
どうしよう、とりあえず叫ぼう。誰か!誰かいませんか!「あう!あうあう!」しかしうまくしゃべることもできない。
ヤバいもう我慢できそうにない。
も、漏れる⋯⋯シャーッ。
生暖かいものが下半身に広がる。
泣きたい、というか泣いてる。二十五歳にもなっておしっこを漏らしてしまった。
「エーン! エンエン!」情けなくて泣いてると声が聞こえてきた。
「お母様、赤ちゃんの泣き声がします」
「あら、確かに声が聞こえるわね」
「門の入り口の所に赤ちゃんが! この寒空の中、こんな所にいたら死んでしまいます!」
「早く家の中に連れて行きましょう」
そう言って大人の女性が俺を抱っこしてくれた。
「寒かったでしょ。暖かくしてミルクをあげますからね」
良かった。転生してすぐ寒空の中おしっこまみれで死ぬとか洒落にならない。とりあえず家の中で御飯をくれるみたいなので助かった。
「お母様、早く早く」
「シャル、貴方の部屋に運ぶからミアに赤ちゃんを拾ったことを伝えてきて」
「わかった!」
女の子は元気に答えると、走るスピードがさらに加速する。
その事を聞いて安心し、俺は徐々に意識を失っていった。
そして十年の月日がたった。
大きな屋敷から一㎞ほど離れた草原に一人の少年が立っていた。少年は黒髪で目がクリッとして将来が楽しみな予感を感じさせる顔立ちをしている。
「輝細氷魔法」
少年が魔法を唱えると空気中の水蒸気が細氷となり、辺り一面を氷の世界へと変える。
「よし! 今日の練習はおしまい!」
そろそろ昼御飯なので帰ろう。
異世界に転生してから十年、俺は母さんとシャル姉に拾われたことでなんとか生き延びることができ、この世界の情報もある程度わかってきた。
ここはエルスリード帝国内のローレシア領、子爵の爵位をもつグラン・フォン・シェフィールド・ローレシアが治める領地となる。
母さんとシャル(十三歳)は領主の第一夫人と長女となり、他に長男のレオン(十五歳)、同い年の次女シアがいる。
俺はこの家に拾われ、シェフィールド家の次男ユート・フォン・シェフィールドとして暮らしている。
エルスリード帝国は大陸の中央に位置し、周りをいろいろな国に囲まれていたので戦争が絶えなかったが、十三年前、どこからきたのかわからない、異形の者が、侵略してきたことによって、戦争をしてる余裕もなくなり、各国家と同盟が結ばれている。
そして十年前、この世界の女神アルテアと四匹の竜、各国家が力を合わせ、侵略者を撃退したが、その際に女神アルテアが敗れてしまったと言われている。
女神がいなくなったことによって、気候や食料問題、モンスターの数が増加など世界は徐々に滅びの方向に向かい、そろそろ各国家で戦争が起きるのではないかと文官達は声を上げている。
四匹の竜はそれぞれ火、風、土、水を表しており、魔法を使う際、この竜の力を借りることができれば威力が数倍なるが、限られた人しかできないらしい。そして女神アルテアは聖を表し、四属性のさらに上位の魔法である神聖魔法を使えると言われている。
しかし神聖魔法を使える者はほぼおらず、歴史に出てくる英雄が使えたと言われているだけである。
十年前の戦い以来、女神様は姿を表していない。世界は徐々に滅びの方向に向かっている。
「やっぱり俺に何とかしろってことなのかなあ」
ただ今の俺には世界を救う力など到底ないが、強くなるために赤ちゃんの時から行っている修練がある。それは魔力を使うことだ。魔法を使えば使うほどMPと魔力が上がることは、自分のステータスをみることでわかったので、この十年二つの魔法を常に使い続けている。
状態異常耐性魔法とステータスを隠蔽する魔法だ。
普通ならMPがすぐに枯渇してしまうが、俺には女神様からの祝福魔力回復があるので魔力がなくなることはなかった。
「ステータスオープン」
ユートが声を出すと目の前にデジタルな画像が出てきた。
名前:ユート・フォン・シェフィールド
種族:人間
性別:男性
年齢:十歳
レベル:1
称号:シェフィールド子爵家次男 異世界からの転生者 女神から祝福を受けし者
HP:57
MP:32,516
力:82
魔力:25,324
素早さ:121
魔法
火魔法:2
風魔法:2
土魔法:3
水魔法:5
神聖魔法:10
スキル
剣術:2
格闘術:4
料理:5
祝福
鑑定:1
魔力回復:1
模倣:1
???
「魔力がまた上がってきたな」
父さんのステータスを教えてもらったことがあるが魔力は1002、MPは2820だったのでこの二つの能力は相当高いはずだ。
このステータスを誰かに見せる訳にはいかないので神聖魔法の隠蔽を使い続けている。風魔法でも隠蔽魔法はあるが、神聖魔法のほうが高性能なので、打ち消されないためにもこちらを使用している。
隠蔽を使ったステータスは
名前:ユート・フォン・シェフィールド
種族:人間
性別:男性
年齢:十歳
レベル:1
称号:シェフィールド子爵家次男 (異世界からの転生者 女神から祝福を受けし者)
HP:57
MP:2142(32,516)
力:82
魔力:534(25,324)
素早さ:121
魔法
火魔法:2
風魔法:2
土魔法:3
水魔法:5
(神聖魔法:10)
スキル
剣術:2
格闘術:4
料理:5
祝福
(鑑定:1)
魔力回復:1
(模倣:1)
(???)
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十歳にしては高い能力だがこれくらいはいいだろう。
ステータスのことを考えているうちにシェフィールド家が見えてきた。
百メートル四方の敷地に大きな洋館がたっている。中世ヨーロッパ貴族の家のような建物で自分が貴族になったと勘違いしそうだ。いや今だと俺も貴族だ。
「相変わらず大きな家だなあ、前世の家の何倍? 何十倍だよ」
「ガサッ」
気配がし振り向くと、少し茶色がかったロングの髪が似合う可愛らしい少女がいた。
「お兄様前世ってどういうことですか?」
ゲッ!シアだ!今の聞かれたか!
「や、やあ、シアおはよう」
「お兄様もうお昼ですよ。それより前世ってどういうことですか?」
「俺の前世がなんだったんだろうって言っただけだよ」
シアは目を細め怪しむ感じで見てきた。




