第十三話 襲撃中編
前編後編では足りなくなってしまったので前中後編の三話で投稿します。
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アルテside
ユートがアンジェリカの所へ向かった後、二人は二階のアルテの部屋に隠れていた。
「お姉ちゃん、お母さん大丈夫かな」
「大丈夫よ、ユート様ならお母様を助けてくれるわ」
そうよ、ユート様は何時だって私達を助けてくれた。今回だってきっと。
「ガシャンッ!」
屋敷の窓ガラスが魔物に割られた。
「ヒッ!」
ルイセはびっくりして悲鳴を上げてしまう。
アルテも声を上げそうになるがなんとか堪えた。
私はお姉ちゃんなんだ。私がしっかりしなくちゃ。
窓ガラスや建物が壊れた音が屋敷に響きわたる度に、ルイセの身体がビクッと震える。
このままだとルイセの心が持たないかもしれない。
アルテはルイセを抱き締め、魔法を唱える。
鎮静回復魔法
魔法を受けルイセの震えが止まった。
「どう? 落ち着いた?」
「お姉ちゃん、今の魔法は?」
「ユート様に教わったの。私がゴブリンに襲われた時、ユート様にこの魔法をかけていただいたことがあって」
「ありがとうお姉ちゃん、もう大丈夫」
ルイセの顔に血の気がもどった。
(ユート様、魔法を教えて頂きありがとうございます。)
アルテは心の中でユートにお礼を言った。
屋敷の至るところに魔物が侵入してきていた。
何かあった時は覚悟を決めなければいけない。
「ルイセ、もし部屋の中に魔物が入ってきたら私が囮になるからあなたは逃げなさい」
アルテは断腸の思いでルイセに伝えた。
「嫌だよ! お姉ちゃんだけ残して私だけ逃げるなんて絶対に嫌だ! お姉ちゃんお願い、もしもの時は二人一緒逃げよう」
ルイセは泣き出しそうな声で哀願してきた。
ルイセの気持ちもわかる。私だったらルイセを置いて逃げるなんて100%ありえない。
「ごめん、ルイセ。変なことを言って。逃げる時は一緒に逃げましょう」
そうよね、一人だけ助かってもしょうがない、二人で助かってお母様に抱き締めてもらいましょう。
アルテが新たに決意したその時。
「バーン」
部屋のドアが蹴破られ、黒い仮面を被った男が侵入してきた。
「ここにいたか、悪いが二人共死んでもらう」
殺気を帯びた声でとんでもないことを言ってきた。
このままだと殺されてしまう。逃げるにしても出口は仮面の男に塞がれている。
どうする! 考えろ私!
こちらのアドバンテージはユート様のネックレスだけ。
このまま部屋にいて、一度攻撃が防げたとしてもその後やられる。
なら!
アルテはこの部屋から出る方法を思い付きルイセに小声で伝える。
「ルイセ、何があっても後ろを振り向かないで走り続けることができる?」
ルイセは一瞬躊躇いの表情を見せたが、力強く頷いた。
「じゃあ行くわよ」
アルテとルイセはドアの外に向かって走り出した。
目の前に仮面の男が迫る。
しかし二人は走るスピードを緩めない。
まるでその走りは仮面の男など存在しないかのように。
「ばかめが! 死ね!」
仮面の男は剣で二人を横一閃に凪ぎ払った。
「キンッ!」
しかしその剣は二人に届くことなく、見えないバリアが仮面の男を吹き飛ばした。
「ばかな! なんだ今のは!」
仮面の男は思いもしなかった現象に混乱している。
アルテとルイセはその隙に部屋から脱出した。
「お姉ちゃんどうするの?」
「一階に降りて、庭園に向かいましょう。そうすればユート様と合流できるわ」
「わかった。頑張って走る」
屋敷の至る所から魔物の咆哮が聞こえる。
怖い、怖い、ユート様どこ?しかしアルテの心の中の問いかけに答えたのは仮面の男だった。
「おのれ、逃がさんぞ」
風切断魔法
背後から風の刃が迫ってくる。
アルテはルイセを護るように抱き締め、風の刃をかわす。
しかしかわしきれず、アルテの肩から血がにじむ。
「クッ!」
「お姉ちゃん大丈夫!」
「大丈夫、ルイセ行くわよ」
痛いけど止まるわけにはいかない。止まってしまったら待っているのは死、だけだ。
二人はエントランスに到着したが、その光景に絶望する。
一階はゴブリンとオークで埋め尽くされていた。
風切断魔法
背後から迫ってくる魔法を足に喰らってしまい、二人はその場に倒れてしまう。
「手間をかけさせやがって」
前は魔物、後ろは仮面の男、絶対絶望の状況だ。
しかしアルテとルイセの目はまだ諦めていない。
ユート様は必ず護ってくれるって約束してくれた。
だから、だから私達はユート様を信じる!
「ガシャンッ!」
二階のエントランスの窓が割れ、何者かが仮面の男の前に立ち塞がる。
「誰だ!」
「ごめん二人とも、遅くなって」
そこにはアルテとルイセが待ち望んでいた人物がいた。




