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唐突かつ不意に最悪の結果が断続的に連続し、爆散し拡散した俺は集合し収束した  作者: 木兎太郎
そして彼は、冒険者としての人生を歩み始めた
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第七話

 レントはとある冒険者ギルドの前に立っていた。


 ギルド名は【人狼の牙】。


 グラン・サトウにあるギルドの一つで、他のギルドとの一番の違いはかなりサービスが充実していることだ。


 例を挙げると、まず所属し始めの冒険者に初月無料で寮を解放している。もちろん料金を支払えば寮で初月以降も暮らすことができる。ただしグラン・サトウはそれなりに裕福な国なので各自で自宅を持っていることが多い。大体の場合そちらで暮らしてしまうので利用者はそこまで多くない。


 そして次に食事サービス。これも同じくギルドについている食堂の料金が無料になっており、いくらでも食べ放題だ。人狼の牙はかなり食事に力を入れており、一般客にも人気がある。もちろん一般客は料金を払って食事することになる。ただここで生まれた余分な資金のほとんどはさらに食事を向上させるために費やされるので、ギルドの運営には使用されない。


 察しの通り、このギルドには大きな弱点があり、あまり人気がない。


 それは豊富なサービスを持っているがそれ自体に金銭が発生するわけではないので、ギルド登録者の依頼料から運営に必要な分の資金が引かれているのだ。


 結果的に貰える依頼料は他のギルドよりも少し劣る。圧倒的に劣るかと言われるとそうでもないが、年単位で考えると大きな差が出てしまう。結果的にこのギルドの利用者はそこまで多くはない。


 ただしこのギルドはある一定層から人気があった。


 それは純粋に力を求める者達だ。


 なぜ力を求める者達がこのギルドに集まるかというと、それはギルド長に起因している。


 【人狼の牙】のギルド長は文字通り人狼、そしてグラン・サトウ最強の冒険者として知られている。


 その者の名はサルバ・アルトラス。


 ギルド長という立場でありながら未だに冒険者として活躍しており、他のギルドとはそのあたりも異なる。


 つまり最強の冒険者に憧れてこのギルドに登録している者も多いのだ。


 亜人と人類の関係性だが、亜人を含めて人類と分類しており、そもそもそこに差別は一切ない。魔界に暮らすのは魔族や悪魔といった存在が多く、ほとんどの亜人は人界に暮らしている。種族間の差別が特にないので、一つの国に住む人類は多種多様だ。


 余談だが、食事のサービスや、寮のサービスが充実しているのはサルバが若かりし頃実際に困ったことをサービスにしているだけだ。特に食事に関しては彼の趣味でもあり、生きがいでもある。そのため日に日に食事に使用される資金は増えている。


 レントはどちらかというと最強目的という訳ではなくサービス目的だが。


 建物は木製でできていた。この世界には平然とコンクリートがあり、どこの建物も頑丈なそれを利用していることがほとんどだったため、このギルドは周囲の建物と比べてかなり異質だった。


 もちろん広大な道もそれぞれ舗装されている。地球よりも遥かに広大な敷地を持つリーンズはそれぞれの規格も地球よりかなり大きい。


 それぞれの広さをわかりやすく表すと、日本人がアメリカに初めて行って受ける衝撃のさらにその上だ。


 看板には大きな文字で【人狼の牙】と書いてある。もちろんお馴染みの漢字とひらがなで。


 もはやこの世界の根本に日本人、または地球人が絡んでいるのは明らかだが、今はその疑問も放置している。もちろん偶然同じ文字を使っている可能性もあるが。幼いころからこの世界で育っていれば、小さな疑問は案外目に入らなくなっていくものだった。


 広大な庭、つまり敷地があるので他の建物との間に一定のスペースを確保している。どうもこの世界は腐るほど土地があるようなので、日本ほどの窮屈さはいっさいなかった。


 建物のサイズ感は大型のファミレスくらい、色合いは少し暗め。


 敷地内に建物は二つあり、若干大きい方に寮と書いてあった。大きな看板に一文字、「寮」と書かれている。かなり主張の激しい建物だった。


 窓の配置でどちらの建物も三階建てだと分かる。


 レントは周囲の風景にかみ合っていないギルドの扉をゆっくりと開いた。


 中からはそれなりの喧騒が聞こえる。

 

 一階には大量に食事用の席やカウンターが設けられている。このギルドの一階と二階はレストラン兼食堂として開放されている。明らかに食堂とギルドの配分を間違えている気がするが、レントはそれを気にしないことにした。


 ギルド長が食事好きというのをすでに知っていたからだ。それに冒険者の数的にそこまでの規模は必要ないのだろう。


 すこしだけ憂鬱な三階までの階段をスタスタと昇り、レントはギルドへとたどり着いた。


 戦士的な見た目をしたガタイのいい男や、気の強そうな鎧を着た女性が休憩用の椅子に座っている。おそらく仲間との待ち合わせや、ちょっとした休憩をしているのだろう。


 レントは受付へと向かった。


 よくある小説の冒頭みたいにガラの悪い冒険者に絡まれることはなかった。ただし他の冒険者に比べて明らかに若いレントは周囲から興味の視線を集める。


 それら全ての視線に気づきつつも、レントは受付へと向かう。


「あの、冒険者になりたいんですけど。」


 受付の女性は綺麗な金髪をしており、瞳は淡い緑色をしている。肩甲骨くらいまで伸ばした金髪ストレートをワンレンに分けており、それが室内を照らすマグ:蛍光灯を美しく反射している。少しだけ髪の毛からはみ出す耳が尖り、彼女の種族がエルフであることをレントに知らせる。


 その女性の美しさに思わず見とれていると、女性がレントの話を聞いて口を開いた。


「また死にたがりが一人。あなたもドマゾなんですか?気持ち悪い。」


 それがレントのギルド【人狼の牙】での最初の会話だった。


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