妹の最優先
「兄さん、私のこと嫌いですか?」
こう言う瑠亜の声色は「私のことが好きでしょう?」というものを含んでいた。
「そうだな、好きだぞ」
「へっ!? ホントですか!?」
「さてな……」
「もう! からかわないでください。でもまあ私なら愛されても当然ですけど」
あっという間に調子に乗ったなコイツ……
「嫌いって言われたらどうするつもりだったんだよ?」
「そりゃもう兄さんに教育的指導をしますよ」
「ちなみに内容は?」
「そんなのこの業界のレギュレーションが許さないようなことに決まってるじゃないですか」
どんな業界だよ……
「それはさておき、何でまた突然そんなこと聞くんだよ」
「兄さんの愛を確認しただけですよ、当たり前のことでも証明しろって数学の先生がいってましたよ」
確かにいうけどさあ……
「分かった分かった、えらいえらい」
「えへへ……兄さんは素直じゃないですねえ」
「そうだな、正直な気持ちなんてわかんないもんだ」
「兄さんも難儀な性格ですね、もっと正直になっていいんですよ?」
難儀なのは自覚してるけどなあ……
ここ正直になると困るって言うかな……
「お前の愛の重さは知らんがダメなもんはダメだぞ」
「私は外国への帰化だって考えてますよ、真面目にです」
「俺が困るだろうが、無理言うなよ」
「目的のために手段を選ばないのが私の流儀です」
いつにも増して飛ばしている瑠亜だった。