61話: 女神様降臨!
(慌てるな、うち……!
とにかく言うこと聞いたフリして、チャンスをうかがうんや……!)
銀子は、サングラスの奥で、目を光らせた……
「じゃ、始めるからな?
念を押しておくけど、余計なことすんなよ?
あと、あたしの命令は絶対だからな?」
ヤミリンは一方的にそう言って、
銀子の返事を待たずして、配信のスイッチを押した……!
……
「皆さん、お待たせしましたあ!
再開でぇ~っす!
挑戦者さんとお話がつきましたあ!」
甲高い声で……
いかにも、可愛らしい女の子の声をつくって
ヤミリンはそう言った……
銀子は、そのつくられた、ぶりっ子声に
思わず舌打ちをしたくなる衝動に駆られるが、
また首を絞められたらたまらないので、流石に黙った……
「改めまして、おはようございまっす!
みんなのアイドルゥ~!
ヤミリンで~っす!」
パソコンの画面には、視聴者からのコメントが
一斉に流れ始めた……
「そして、今日の特別ゲスト!
挑戦者さんで~っす!」
そんなことを言って、銀子を紹介した。
「この子、と~っても臆病な子なのでぇ!
もしかしたら、試合中に、おしっこ漏れちゃうかも知れないけど
視聴者の皆さんは、あたたかい視線で見守ってね?」
ヤミリンはカメラに向かってそう言った後、
銀子の方を見て、親指を立ててサムズアップして見せた……
(おい……)
銀子は、心の中で舌打ちをした……
ヤミリンがサムズアップした理由……
さっき、ヤミリンが話した首つり自殺の話題から考えて
銀子の首を絞めて、お漏らしをカメラの前に晒すとか
そういうつもりなのだろうか……?
(ホンマ、最低やな……! 外道が……!)
そんなことを思いながら、銀子は睨みつけるが、
サングラスをかけているため、ヤミリンには伝わらなかった……
というか……?
『はーい!』
『むしろ、おしっこ大歓迎!』
『俺が……俺達がトイレだ!』
などというコメントで、画面が埋まり……
「やだー! 視聴者さん、変態さんばっかだあ!」
ヤミリンは、にやにやして笑みを浮かべながら
PVの数字が上がるのを喜んでいて、
銀子の表情など気に留めていなかったのだ……
「ねえ、貴女のお名前は、今日から【おしっ子】ちゃんね!
おしっこネタで人気が出たから!」
そう言って、ヤミリンは銀子の肩に手を置きながら言った。
(くそっ! ホンマ調子にのって!)
銀子はそんなことを思って反発するが、
ヤミリンに逆らうことはできない……
そして、その【おしっ子ちゃん】という名称も
ヒドイ名前なのが却って受けて、
PVがウナギのぼりに上がっていた……!
「やっぱり、カワイイ女の子が来るとPVの伸びが違うねえ!
ヤミリン、ちょっとジェラシー感じちゃうけど、
皆の反応が楽しいからヨシとしようかな!」
ヤミリンがそう言って、次に移行しようとすると……
『でも本当に美少女なのか?』
『どうせ口だけだろ?』
『はーい! 俺も美少女! 言ったもん勝ち!』
などというコメントが一斉につく……?
「あらら……?
視聴者さん達は、おしっ子ちゃんが美少女だって信じてないみたい!
ねえ? おしっ子ちゃん、悔しいね!
こんなこと言われているよ!?」
ヤミリンが、そんなことを言いながら、
銀子に、またサムズアップして来る……
「う、うちは別に……」
銀子がそう言いかけたところで、
ヤミリンは、耳をそばだて……?
「え? なになに?
美少女だって証明したい?
顔さらしたいって!?
うわお!? これはヤミリンもビックリだよお!」
銀子は何も言っていないのに、勝手にそんなことを言って来る!?
「あ、あんた……!? 何言うて……!?」
銀子はもちろん抗議をしようとするが……
ヤミリンは、『黙れ』と言わんばかりに、
手の平を見せて合図して来る……!?
「じゃあ、おしっ子ちゃんには、
サングラスとぉ、マスク外してもらいましょうかあ?
美少女だって証明のために!」
ヤミリンがそんなことを言って来る……!
銀子が、何か言おうとすると、
ヤミリンが手を上げて、指をパチンと鳴らす構えに入る……?
「くっ……!?
わかった……外せばええんやろ!?」
そう言って、銀子は慌てて、サングラスとマスクを外した……
『おおおおお……!?』
その瞬間……
配信動画を見ていた者達の時が止まったかのように
モニターの中の美少女に釘付けになる……!
流れる銀髪……カラコンなのか、妖しい紅い目……
そして何よりも目を見張る、端正な目鼻立ち……!
少し目の端がつり上がり、
彼女が凛とした芯のしっかりした女子であると印象付けられた……!
銀子は、誰の目からも、美少女だったのだ……!
配信しているサイトでは、
すぐさま、銀子に対するコメントが溢れた……!
『すげえ! 女神様だ!』
『本物の女神様が降臨なさった!?』
『こんな美人のお漏らしが見れるとか!』
『バカ!? 女神様がおしっこなんてするわけないだろ!?』
『聖水と言え! 貴様ら!』
ヤミリンは、そんなコメントを見ながら
『もお、そんなに女子のおしっこ見たいのぉ?』などと言いながら
尋常じゃないぐらいの勢いで上昇していくPVに
うきうきとしている様子だった……
次の瞬間までは……!?
『こんな美少女見たことねえ……!
この子、ヤミリンよりカワイイんじゃね?』
「は?」
お面を被っているため、わからなかったが……
一瞬、ヤミリンがお面の奥で、顔を引きつらせているように
銀子には思えた……?
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
陣風邸にて……
「はあ……」
魅夜は、左肩とあごの間に辞書を挟めながら
陣風邸の廊下で、大きなため息を吐いていた……
魅夜は、毬愛にバイオリン勝負を挑み、
まずは、その勝負のスタートラインに立つべく、
バイオリンを毬愛に習い始めたものの……
始まったのは、
辞書をあごの下に挟めるというわけのわからない練習法……
バイオリンに触れることすらできていない……
ただじっと、あごの下に挟んでるのもつまらないからと、
辞書を挟みながら、陣風邸の中を歩くことになったのだが……
ほんの数メートル行ったところで、
魅夜は、つい根を上げそうになる……
これで、バイオリンが弾けるようになるとは、
到底思えなかったからだ……
「しかし、こんなんで
バイオリンが弾けるようになれるのかな?」
魅夜は、後ろを振り返って、
金髪碧眼の少女・毬愛に尋ねる……
毬愛は、お伴にメイドの恵理子を連れて
魅夜の後ろを歩いていたのだが……
魅夜に問われて、毬愛は首を傾げながら……
「さあ? どうなんでしょう?」
そんな風に、可愛らしく答えた。
「はあ!?」
毬愛の口から、とても聞き捨てならない台詞が聞こえ、
魅夜は、思わず辞書を落した……
「魅夜様? 落しましてよ?」
毬愛は、そう指摘するが、
魅夜はそんなこと気にも留めず、毬愛ににじり寄る……!
「ちょっと!?
どうなんでしょうって、あんた?
自分でも効果がわからない練習を、私にやらせていたの!?」
そう言って、怒って毬愛のことを睨みつけた。
しかし、毬愛は、「やれやれ……」といった感じで
ため息を吐く……
「落ちついて下さいまし……
だって、わたくしは、そういう方法で
練習したことありませんし……」
「は? どゆこと!?」
毬愛は、冷静に説明する。
実を言うと、
あごの下でバイオリンを挟むという行為は、
ある程度成長してからでないとできないのだ。
筋肉のついてない幼児が同じことをしようとしても
挟めないで落してしまうため、
左手で持ってしまうのが普通。
だから、幼少の頃からバイオリンを習っている毬愛は、
小さい頃は、左手でしっかりとバイオリンを握って
練習して来たのだ。
「じゃあ、私のやっていることって無駄じゃない!?」
魅夜は怒って、そう言ったが、
毬愛は、微笑んで、軽くそれをかわした……
「いいえ、よくよく考えてみれば、
あごの下にバイオリンを挟める力があるのならば、
そこから始めた方がよいのです……」
下手に、左手でバイオリンを持ってしまう癖がつくと、
あとで、あごの下で挟む力がついた時に、
矯正するのが難しいのだ……
「かく言うわたくしも……
小さい頃の癖で、時々、左手でバイオリンを握ってしまいますのよ?
むしろ、まっさらな状態で始められる魅夜様が
ある意味うらやましいですわ……」
「ふーん、そういうものか……」
「そういうものですわ」
そう言ってから、毬愛は、
ぱんと手を叩くと、魅夜に向かって、こう言った。
「はい、では、座学に移りましょう。
わたくしも、魅夜様が、変なことしているのを
ただ見ているのも飽きて来ましたし……」
「おい、これ、あんたが、やらせてたんでしょ!?
それを『変なこと』って!?」
と、魅夜は大きな声で言うが……
怒るのもバカらしいと思い、ため息を吐いて
肩をすくめた……
「でも、まあ、ようやく次にいけるのなら、
ま、いいか……」
そう言って、魅夜は、
あごの下に挟んでいた辞書を取るが……
「魅夜様?
何故、辞書を手に外してらっしゃるの?」
毬愛が、不思議そうに魅夜に尋ねて来た……?
「はあ?」
「辞書を挟んだまま、座学を受けて下さいまし……」
「マジですかああ……!?」
魅夜の悲痛ともとれる声が、陣風邸に響くのだった……
作者「昨日は、白いのがちらっと見えてたけど、
今日は見えないな……」
作者「てか、昨日、白いのが見えて、
それを、このあとがきで報告しようとしたら消えてしまったから
書かなかったんだけど……」
作者「ホント何なんだろうね、あれは……?」
作者「オーケストラにいた時、ちらっと聞いたんだけど……」
せや姉「ん?」
作者「基本的に、バイオリンとかの弦楽器と、フルートとかの吹奏楽は
どこも仲が悪いらしい」
せや姉「そやの?」
作者「うん。すっごく簡単に言うと、音楽性の違いですね。
音楽に対する考え方が違うっていうか……
そういうところで考えが共有できないっぽい」
せや姉「ようわからん」
作者「例えば、弦楽器ってありえないぐらい音が変わるのね?
室温、湿度とかで糸が伸びるから……
条件が悪いと、30分で半音ぐらい変わったりする」
せや姉「ふーん」
作者「でも、吹奏楽は、比較的音が変わらない。
いや、金管とかは、演奏の途中で音が変わるんだけど、
それでも弦楽器ほどじゃない……
だから……」
吹奏「ねえ、そんな頻繁に何で中断すんの?」
弦楽「うるさいなあ……音変わるから仕方ないでしょ?」
吹奏「そんなこと言って、やる気がないだけなんじゃないの?
真面目にやってくれない? 足引っ張られるの嫌なんだけど?」
弦楽「はあ!? 何言ってるの!?
恋人頻繁に取っ替えてるあんたに言われたくないんだけど?」
吹奏「それ、今関係ないでしょ!?」
作者「てな感じに喧嘩になったりして……」
せや姉「うわあ……」
作者「あ、今の話は、
人から聞いた話から想像した妄想でーっす!」
せや姉「ホンマかいな……!?」
作者「いや、実際の話は、今書いたことなんて
お子様の文章に思えるぐらい酷かったりするから……」
作者「オーケストラのサークルだったのに、
男女の痴情のもつれから、分裂して
吹奏楽と、弦楽と、別々になったとことかあるし……」
作者「てか、作者の大学時代のサークルがそれだったんだけどな……」
せや姉「いろいろ大変なんやな……」
作者「音楽やる人って、何でか知らんけど、プライド高い人多いんよ……
あと、すぐ感情的になる人……
そこをいくと、
作者の先生や師匠達は、珍しく大人しい人ばかりだったから
本当に助かったわ!w」
せや姉「そか」
作者「のだめカンタービレとか、ああいう世界が本当にあったら
音楽も楽しいんだろうけどねえ……」
せや姉「何か、色々と真実味があってこわいな……今回の話……」
作者「風邪ひいてるせいか、真面目な話してしまった」
せや姉「せやね」
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作者「ヤミリン、お面かぶってるのに
どうしてウィンクしてるってわかるねん!w」
作者「ってことで、
ウィンクをサムズアップに修正しますた!w」
(10月15日23時頃)




