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 57話: 決戦の朝!

「よし……!」


 魅夜は、洗面所の鏡の前で、出掛ける前の最終チェックをすると、

 顔の近くで両のこぶしをグッと握りしめ、気合いを入れた……!


(今日こそが……! 決戦だ……!)


 今日着て行く服装は、

 毬愛の屋敷に相応しいような、

 フォーマルな格好にすべきか、とか色々と悩んだが、

 普段通りの格好で行くことにした……!


 光治がいないのに、変に気合いを入れても仕方ない……!


 ……


 そして魅夜が、玄関で靴を履いていると、

 後ろから両親が見送りに来てくれた……


「魅夜……! しっかりね!

 月影家の悲願を果たすのよ!」


 と、言うのは、魅夜の母・月影優衣。

 優衣は、万歳しながら、そう言っていた……?


「そうだぞ……! 魅夜!

 ご先祖様達の無念を晴らしてくれ!

 ああ、ご先祖様! ついに! ついにこの日が来ましたぞ!」


 と、こちらで、腕組みをしながら、うんうん頷いているのは、

 魅夜の父・月影大治郎。


 両親の放つ、何やら重苦しい言葉と、その雰囲気に

 魅夜は苦笑するばかり……


「いや、あの……?

 お父さん、お母さん?

 今日のは、そういうつもりで行くんじゃないんだけど……?」


 魅夜がそう言うと、母・優衣は、

 それはそれは驚いたような表情を見せ、

 口に手をあてて、魅夜に尋ねて来る……


「魅夜……? な、何を言って……!?」


 そして、優衣はよろよろと身体をふらつかせ……


 倒れそうになったところで、

 後ろから、大治郎に支えられた……?


「お父さん……?」


 優衣は、不安そうな……すがりつくような表情を、

 大治郎に向けた……

 その目には、キラリと涙が光る……!


 一族の悲願を……まあ、優衣は嫁であるから血は繋がってないが……

 その悲願を、娘に全否定されたような形になり、

 優衣は、目眩が生じたのだ……!


 あ、ちなみに、ここまで優衣の演技である……

 忍者たる者、演技の一つや二つできないといけないのだ……!


 ちなみのちなみに、魅夜は、それを知っているため、

 終始ジト目で、自分の母親を見ていた……


 そして、大治郎が、

 優衣を後ろから支えながら、不敵に笑う……?


「待て、お母さん……?

 ふっふっふ! 魅夜! そういうことか!

 お父さん、わかったぞ……!」


 大治郎は、そうやって笑うと、

 全てを悟ったかのような、したり顔を浮かべる……?


「へ?」


 一方、魅夜は『何言ってんだ、この人?』と心に思う……


「今日のは、様子見なのだな……!?

 ふっふっふ! わかるぞ! わかってしまったぞ!

 陣風もバカではない!

 代々陣風とやり合って来た我ら、月影を警戒しているはず……!

 そんな状態で、いきなり仕掛けるのは、愚策中の愚策……!

 相手は、警備を厳重にしているだろうからな!」


 大治郎が、得意満面な顔でそんなことを言っているのを

 魅夜は首を傾げながら見ていた……


(そうかあ……?

 陣風家は特に、うちを警戒しているようには見えなかったけど……?)


 魅夜の見立てでは、陣風は特に月影と敵対してない……

 というか、歯牙にもかけていないように見えた……?


 もちろん、屋敷の警備や一部の使用人は、

 魅夜のことを一応の警戒をしている目で見ていたが、

 それだって、防犯上やっていると感じで、

 憎悪とか殺意の類は感じられなかった……


 いや、そもそも、

 最初に、陣風の屋敷を訪れた時だって、

 出迎えだけは、やたら丁寧にされたことだし……


 ただまあ……

 あの、恵理子とかいうメイドだけは……

 『お嬢様につくゴミ虫め……』とか『月影家が調子に乗んなよ……?』とか

 魅夜が来る度に睨みを利かせたり、電話をすればボソッと言って、

 魅夜のことを異常に嫌っているフシが見られたが……


 そういう例外を除けば、陣風は、

 比較的、月影家のことを警戒していないように見受けられた……


 大治郎は話を続ける……


「だが、普段から陣風に普通に接していれば、

 いかに陣風といえど、いつか油断する時が来る……!

 やつらも人間なのだ!

 やがて、お前は……

 陣風が油断したところで一気に……!」


 そう言って、大治郎は、自分の首の前に手を置いて、

 それで横一文字に薙ぐマネをする……


 それは、首を掻き切った動作だ……


「まあ、魅夜……!?

 何て恐ろしいことを……!?


 優衣は、両手で自分の顔を覆うと、

 指と指の間から目だけ覗かせて、

 魅夜のことを、恐ろしい物でも見るかのように見つめて来る……


 ちなみに、これも演技である。


「いや、そういうんじゃないから……」


 魅夜は、小さくため息を吐いて、そう言った……


 すると……


「え? どういうこと……?」


 優衣は、大治郎の方をふり向いて、尋ねる……


 大治郎は、あごに手をあてて

 何やら難しい顔をしていたが、

 やがて、カッと目を見開いて、突然、大きな声で言い放つ……!?


「ん!? そうか……!

 敵を欺くにはまず味方から!

 そういうことか……!」


「や、山彦の術……!?

 忍法じゃないの、それ!?」


 優衣は、驚いたようにそう言った……!


 ちなみに、これも演技……



 説明しよう!

 忍法【山彦の術】とは!


 山彦が、自分の発した声を真似して返して来るように、

 敵方に忍び込んだ忍者が、敵方についたフリをして敵を油断させ、

 敵方の信頼を得たところで寝返り、味方に戻って来ることを言う!


 孫子の兵法『敵を欺くには、まず味方から』に通じる

 超いやらしい忍術である!



 大治郎は、腕を組んで、うんうん頷くと、

 どうも感動したようで、男ながらに涙を流して、こんなことを言う……


「魅夜……! お前というやつは……!?

 奇妙奇天烈な現代的発明だけでなく、

 先祖伝来の忍術まで操るか……!

 やはり、魅夜……!

 お前は、根っからの忍者だな!

 素晴らしい……!」


 ただの親バカである。


「あー……

 まあ、毬愛と戦うのは本当だけど……

 殺し合いとかでは……

 もういいや、それで……

 とにかく、時間が惜しいので

 もう行くね……?」


 魅夜は、父も母も勘違いしていると思ったが、

 面倒なので、誤解を解くのをやめた……


 向かうは、陣風邸……!



 と、そこで改めて、魅夜は、ふと思い出した。


「あ、そうそう、お父さんに頼まれた

 新型の煙玉と、ナノチューブ製の忍装束は、

 いつものところに置いておいたからチェックを……」


 と、魅夜がそう言いかけたところで……

 大治郎が質問を被せて来た……?


「魅夜や……?

 以前、お父さんが頼んでおいた、ビームソードは?」


 わくわくした、期待の籠った視線を父から投げかけられ……

 魅夜は思わず、苦笑する……


 そもそも、ビームソードなんて、目立つもんを

 忍者が持ってどうするのだろう……?

 忍者は、暗闇に忍んでこそなのに、

 暗いところで、そんな光の剣を振るったら

 居場所が一発でバレてしまうではないか……?


 魅夜はそんなことを考えた。


 でも、だからといって、何もしなかったわけではない……

 むしろ、無理難題を押し付けられて、研究に苦労したぐらいだ……


 そのことをわかってもらおうと、

 父に説明をした……


「や、それは……

 レーザーの出力が難しくてねえ……

 そもそも、漫画やアニメのビームソードみたいに、

 空中に光を留めておくのが無理だし、ナンセンスで……

 だって、光が見え続けるってことは、

 何かに光が当たってるってことで……

 大抵はコロイド粒子とかなんだろうけど……

 ということは、光を目に見えるようにするためだけの目的で

 コロイド粒子を出し続けなきゃいけないじゃん……

 何というナンセンス! 何というコロイドの無駄遣い!

 それなら、いっそレーザー銃を作っちゃった方がまだ現実的……

 でも、レーザーはレーザーで、光の収束を……」


 魅夜が、やや早口でそんなことを言うと、

 大治郎は、頭を抱えてうずくまる……


「魅夜、勘弁してくれ……

 難しい話をされると頭が痛くなる……」


「何言ってるの? お父さん?

 今の話なんて、高校程度の話題だよ?」


 いや、そもそも、

 中学生の魅夜が何故、高校の知識を知っている……?


「魅夜! あまりお父さんをイジメないの!」


 母が「めっ」という感じで、

 両手の人差し指と、人差し指をクロスさせて、

 バツをつくって言った。


「は~い……」


 魅夜がそう言って、ぺこりと謝ると、

 父は得意満面になる……


「そうだぞ、魅夜!

 お父さんをあまり苛めるな!」


 そう言われた途端、

 魅夜は、顔を引きつらせた……


(お父さん、自分で言わないでよ……)


 しかし、魅夜がそんなことを考えているとは、つゆ知らず、

 大二郎は、魅夜に笑顔でこんなことを言う……


「よし! お土産に、陣風家のお菓子を持って来い!

 それで許してやろう!

 名家だからさぞ上手いお菓子を食っているんだろうな!」


 本気で、月影家は、

 陣風家に復讐しようとしているのだろうか……?


「まあ、いいわ……!

 そろそろ行かないと、本当にマズイから!」


 そう言ってから、魅夜は、両親に手を振ると、

 玄関を出て行った……!




「なあ、お母さん?

 結局、魅夜は、陣風家に行って何をするんだ?」


「ん? バイオリンを習いに行くとか言ってたわよ?」


「は?」


■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


 今回のイチャイチャ要素!


 ことは、魅夜が出かける数時間前に遡る……


「先輩のえっち! ドスケベ! 変態!」


「返す言葉もありません……!」


 光治は床の上に土下座をさせられ、

 ベッドの上で、ぷいっと横を向き、

 頬を膨らませて怒っている銀子に謝った……


「朝、起きたら、先輩がうちの布団に入ってるんやもん!?

 ホンマ、ありえへんわ!?」


 そう言って、銀子は目に涙を浮かべた……


「ごめん! 夜トイレに行った後、

 寝ぼけて、いつもの通りに自分のベッドに行ってしまったんだ!」


「言い訳しないで下さい!

 せ、先輩に、こんなことされて……

 うち……うち……もうお嫁に行かれへんわ……」


 そして、顔を両手で抑えて、

 ぶわっと泣き出してしまう……!


「オーバーだなあ……

 布団の中に入っただけなのに……

 そもそも触るとこないだろ……胸もペタ……」


「ああん!?」


「ひぃ!?」



 ドンドンドンッ!



「朝からうっせーぞ!? バカップル!?」


 隣の部屋から、壁を叩く音と共に

 光治の姉・虹花の怒鳴り声が響いて来た……!


「姉ちゃん、今月に入って、三人にも告白してフラレて

 気が立ってるんだ……」


「ああ、せやったんですか……?

 やけど、お姉さん、美人さんやのに……

 周りは見る目のない男ばかりなんですね……」


「だって、姉ちゃんが告白したの、全員おんn……」


「き、聞こえてんだけどぉ!?

 銀子ちゃんに、変なこと吹き込まないでくれる!?」

作者「作者さあ……」

せや姉「うん」

作者「な~んか、予感がしてさあ……

   近所の神社で、おみくじ引いて来たのよ?」

せや姉「おみくじって、予感がして引くものなんか?」

作者「そしたら何と!?

   大吉を引きましたよ! 大吉!w」

せや姉「へえ、すごいやん?」

作者「願い事の蘭を見たら『年上の人の導きにて叶う』だって!?」

せや姉「何か、願ったんか?」

作者「もうねえ、お賽銭あげてから、ひたすら……」



作者「恋人恋人恋人恋人……!

   結婚結婚結婚結婚……!」



作者「てな感じで願っていました……」

せや姉「うわあ……切実やなあ……涙誘われる……」

作者「うっさいわ!w」

作者「だ、だが!? そんな欲望丸出しで願った上で【大吉】だよ!w

   これはいける!? きっとすごい出会いが起こる予感……!w」

作者「『年上の人の導きにて叶う』だから、

   誰か年上の人の紹介で、結婚相手に巡り合うに違いない!w」

せや姉「予感だけで終わりそうやけどな……」

作者「そうなんだよなあ……作者、大吉引く時って

   大抵、運気が底を打ってる時とかなんだよなあ……

   仙台の大学に大学院受験に行った時も、

   帰りに、近所の神社で大吉引いたけど、

   結果は落ちたし……

   って!? やかましいわ!?w」

せや姉「ノリツッコミ、ノリノリやんけ」

作者「そんでさあ……大吉引いて、これは勝つる! と思って、

   生まれて初めて、ロト6買ってみたんよ!w

   数万円でも当たったらすげえなあ、と思って!w」

せや姉「あ……(察し」

作者「察するな!?w まだ何も言うとらんわ!?」

せや姉「え? 外れたんやろ?」

作者「はずれたよ!w 千円すら当たらなかったよ!w」

せや姉「せやろな……そもそも当たってたら、

    もっと自慢げに語っとるし」

作者「せやね」

せや姉「おい、台詞……」

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