55話: ひとつ屋根の下で…
(え……? どうして、こうなった……?)
光治は、食卓を囲んで夕食を摂りながら、
そんなことを考えていた……
その隣には、銀髪の少女……銀子がいて、
彼女は、顔を真っ赤にして、うつむいていた……
そして……
「ひゃう!?」
銀子は時折、光治のことを、ちらりと見ては
光治が視線に気づくと、そんな素っ頓狂な声をあげて……
元通り、うつむいてしまう……
(さっきから何なんだ、こいつ……?)
光治は、そんな銀子の挙動不審な様子に
首を傾げてしまう……
そして、そんな二人の様子を、
テーブルを挟んで向かい側で見ている、対称的な二つの顔……
「ちっ!」
「うふふふ……!」
舌打ちをして、光治のことを憎々しげに睨みつけている姉の虹花と……
そして、にやにやしながら光治と銀子を見ている母の京子である……
(どうして、こうなった……?)
光治は心の中で、そう呟くばかりだった……
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
あの後……
銀子に、ヤミリンのサイトを見せた後……
そこへタイミング悪く、
光治の母親・日吉京子が帰って来た……
光治に隣り合って座り、光治の肩にすがり付いている銀子を見て
母・京子は『あらあら、まあまあ!』と言って、
ヨダレを垂らしながら喜んだ……
ヨダレを垂らす、というのが奇異に思えるかも知れないが、
京子は、他人の恋愛話が大の好物で、
そういうものを見かけると、ついヨダレが垂れてしまうのだ。
そして、光治が、
記憶喪失等の、銀子の事情を説明すると、
京子は、警察に捜索願が出ていないか、電話して、それから
『今日はもう遅いから泊まっていきなさい』と提案して来た。
もちろん、遠慮深い銀子は、
『これ以上お世話になるんは……』と遠慮していたが、
京子に押し切られる形で、日吉家に泊まることになったのだ……
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
そして現在に至る……
折角だからと、銀子も一緒に食事を摂ることになったのだ。
京子は、銀子に用意された料理が
ほとんど減っていないことに気付くと、声をかけて来た。
「銀子ちゃん? 全然食べてないじゃないの?
折角、急いで、スーパーで赤飯買って来たのに……
お義母さん、悲しいわ……」
「す、すいません……」
そうやって銀子が申し訳なさそうに謝ると、
京子は『いいの、いいの、そんな謝らなくても』と
笑顔で返した。
(そもそも、何で赤飯を買う……?)
光治は、心の中でそんなことを思う……
赤飯なんて、日吉家では、めでたい時に食べるぐらいだ……?
「や……あの……うち……
食べ物がノドを通らなくて……」
銀子がそんな風に、しおしおしていると、
京子が身を乗り出して、笑みを浮かべる……?
「そっか、そっかあ! きっと緊張してるのね?
銀子ちゃん、カワイイお~! うへへ!」
「ひぃ!?」
京子の不気味な笑みに、
銀子は思わず小さく悲鳴を上げた……!?
「母さん、ヨダレふけよ!
みっともない!?」
光治が我慢しきれなくなって、
箸を置いて、そう叫んだ……!
「あら? 私としたことが……じゅる!」
京子はハンカチでヨダレを拭った……
すると、援護射撃するかのように、
虹花が、話に参加して来る……!
「そうよ、お母さん!?
銀子ちゃんを、そんな邪な目で見ないで!
汚らわしい! というか、家族として恥ずかしい!」
(お前は、さっき、銀子の尻さわってただろうが……!?)
光治は、心の中でツッコミを入れる……
もちろん、口には出さない……!
姉の報復が怖いからだ。
「いやあ、久しぶりに、
若い男女が、青春を謳歌しているところ見れて、
お母さん、ついヨダレが出ちゃってえ……!」
光治は、『そんなことぐらいでヨダレが出て来る変態、母さんぐらいだろ』
と思ったが、口には出さなかった……
それから、京子は、手を、ぽんと叩くと、
どこからかメモ帳を取り出して
何やらメモをとり始めた……?
そして一言。
「次回作の構想が捗る! 捗る!」
「息子を、なろう小説のネタにすんなよ!?」
「やーん! いいじゃないのお!」
光治は、頭が痛くなるようだった……
(この家の女は、変態しかいないのかよ……?)
ちなみに、光治の父は、単身赴任中で今はいない。
「ねえ、ところでさあ……?」
京子はメモをとり終わると、
光治に尋ねて来る……?
「何だよ、気味悪いなあ……」
「二人は何回ぐらいしたの?」
意味のわからない質問である……?
「は? 何の話だよ?」
光治が、わけがわらかないという顔で尋ねると、
京子は、目を丸くして驚きながら答える……
「決まっているじゃない!
セックス何回ぐらいしたのって聞いてるのよ!?」
「ブホッ!?
ゴホッ! ゴホッ!?」
銀子が驚いて吹き出し、
せき込んでしまう……
「お、おい? 大丈夫か?」
光治は、そう言いながら、
銀子の背中をさすってやった……
「性にオープン過ぎるだろ!? 母親のくせに!?
いや、俺と銀子は、そういう関係じゃないから!」
光治が抗議の声を上げるが、
京子は、人差し指を自分の頬につけながら
考えるようにして言う……
「あら? 案外、奥手なのねえ……?
ニュースで言ってたけど、最近は小学生でも……」
そう言いかけたところで……?
「あ、あの! お母さん!?」
むせ込みから回復した銀子が、
真剣な表情で、京子に向かって言った……!
「なぁに? お義母さんよ?」
「あ、あの……!
せ、先輩には、ちゃんと彼女さんがおってですねえ……!
や、やから……! う、うちは……!」
すると、京子も虹花も、びっくりした表情をする……
さらに、虹花に至っては、すぐさま光治の方を向いて、
殺意のこもった視線を投げかけて来た……!?
「このクズ男!?」
「うるせえ、誤解だ」
「スケコマ志郎!?」
「誰だ、そいつは……!?」
そして、光治と虹花がそんなやりとりをやっていると、
京子が、のほほんとした調子でこんなことを言い出す。
「あら~……そうなの?
こんなにカワイイのに、2号さんだなんて!
光治ったら、隅に置けないわねえ!」
「2号さんって何だよ!?
いいから、そっち方面の話題から離れろよ!?」
光治の叫びが、食卓に響いた……
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
それから……
夕食も済んで、テレビを見ながらの団らんも済んで……
歯磨きをして、あとは寝るだけという段になって……
「なあ、うちの家族って変だろ?」
光治は、天井を見上げながら……
銀子に尋ねた……
「そ、そんなことは……」
「正直に言ってくれ……」
光治は目を閉じて、
全てを諦めたような表情をしていた……
すると、銀子は、少しの間、
どうしようか迷っていたが……
銀子は、光治の期待に応えて、
正直に言うことにした……
「えーと……すんません……やっぱり変です……」
「だよなあ……」
今、光治と銀子の二人は、一つの部屋……
つまりは、光治の自室にいた……
京子が気を利かせて、
二人が同じ部屋に寝るよう強要して来たのだ……
もちろん、二人で一つのベッドを使うわけにもいかないので、
光治は、銀子をベッドに寝せて、
自分は、床にシーツを敷いて、そこに横になっていたのだ……
「や、やっぱ、色々マズイし、
お、俺、リビングで寝るわ!?
お前みたいな歳下の女子と同じ部屋で寝るとか、どうかしてる!?」
光治はそう言って、立ちあがり、部屋から出て行こうとした……!?
すると、銀子は慌てた様子で、ベッドから起き上がると、
光治に向かって大きな声を出す……!?
「ま、待って下さい!?
ここ、先輩の部屋なんやし、出て行くならうちが……!?」
そして、そんな風に、
しばらくの間、
『出て行くのは俺が!』『いや、うちが!?』てな感じで
二人で、やり取りをしていると……?
ドンドンドンドンッ!
隣の部屋との境の壁が
大きな音を立てて叩かれた……!?
「ひぃ!? 姉ちゃんだ!
お、おい、このやりとりやめよう!
てか、姉ちゃんが怒鳴り込んで来る前に寝ちまおう!?」
「は、はい……」
怯えて提案して来る光治の勢いに負けて、
銀子は、ただ同意するしかなかった……
だが、やはり、申し訳ないと思ったのか……?
「あ、あの……!?
やっぱり、うちが床で寝ましょか!?」
そんな風に提案して来た。
「いや、いいって……!
お前、ずっとベッドで寝てなかったんだろ?」
「いえ、ベッドでは寝ていたんですけど……
夜中の家具売り場とかに忍びこんで……」
「え? そんなんどうやって……?」
「やあ、時間を止められるので……」
「はあ?」
光治は『どういうことだ?』と思って、
尋ねようとしたが……
すぐに思い直した……
「まあ、いいよ、何でも……
早く寝ようぜ……?
明日は、ヤミリンと戦うんだろ?
あれが何の勝負仕掛けて来るか知らないけど……」
「そ、そやけど……
うち、床で……」
尚も、食い下がる銀子に、
光治は、努めて優しく言い諭した……
「今日はしっかり眠って体力回復させて
明日に備えようぜ!
明日、一緒に廃ビルに行ってやるから……」
そんな風に言われて、
銀子は、引き下がるより他なかった……
だが……
ベッドの上で、銀子はこう思う……
(うち! シーツにしみついてる先輩の匂いが気になって、
ぜんっぜん! 眠れないんやけど……!?)
そして銀子は、
光治のニオイに包まれていると……
まるで、彼に抱かれているような気分がして……
(あ、あかんわ……これ……!?)
顔が火照って、目が冴えて来るのだった……
(うち……好きな人のニオイで興奮するとか……
変態なんやろか……?)
そんなことを考えながら、銀子は悶々としていた……
……
ちなみに、その頃……
「へーくしょっ! へーくしょっ! へーくしょっ!
へーくしょっ! へーくしょっ!?」
魅夜は、くしゃみが止まらなかったとか、しなかったとか……
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
さて、同時刻……
「ぐへぇ……!?」
とある場所、とある建物内で……
妙齢の女性が、地面に倒れ伏し、
呻き声を上げていた……?
「先生、なっさけねえなあ? おい?」
妙齢の女性のすぐ近くに、
眼鏡をかけた中学生ぐらいの小柄な女子がやって来て、
上から見下ろしながら、そう言った……?
「ほら、立ちあがれよ、先生?
へばってないで、次行くぞ?
あたし、やっと調子出て来て、
上手く技を出せるようになって来たんだからよお!」
眼鏡の女子は、そう言って、
妙齢女性の腹を蹴った……!?
「おら! 立てよ!?」
「ぐはっ!?」
妙齢の女性は再び呻くと、
痛そうに腹をさすりながら、何とか立ちあがった……
「あ、あんた……!
す、少しは加減しなさいよ……!?」
そう言って、妙齢の女性は、
自分のピンク色の髪をなびかせる……
その様子を、眼鏡の女子は、
明らかにバカにしたように笑って言う……!
「あはは! なっさけねえの!
最初、あんだけ偉そうにしてたのに!
先生、糞雑魚ナメクジじゃん!? 笑えるわ!」
(くっ……! この子……! 強い……!?
いくら私が最弱に位置するといっても、
ここまで人間に歯が立たないなんて……!?)
ピンク髪の女性は、後悔していた……
自分が、目の前の、眼鏡をかけた女子を
強くし過ぎてしまったことを……!
月影魅夜を、ケチョンケチョンにするために、
彼女の因縁の相手を、
ちょっとだけ後押しするだけのつもりだったのに……!?
(教えるんじゃなかった……! 【恋の魔法】なんて……!?)
ピンク髪の女性は、そんなことを考えながら、
目の前の相手に対峙した……!
「先生、いいぜえ……? その表情……!
いやあ、もともと格闘ゲームは好きな方だったけど……
現実格闘ゲームは、こんなに面白かったんだな……!」
そう言って、眼鏡の女子……縁宮子は、
拳を振り上げて駆け出した……!?
作者「塩害って、ヨウ化銀でも起こるのかな、やっぱ?」
作者「作者さあ……」
せや姉「うん」
作者「中学時代は、塾で成績上位でさあ、でさあ……」
せや姉「はいはい」
作者「何その態度……しっつれいだなあ……」
作者「偏差値だって70近くまでいってたしぃ! へーん!」
せや姉「偏差値70ではないんやな」
作者「せやね」
せや姉「おい、台詞」
作者「まあ、偏差値とか、そんなことはどうでもいいんだけど」
せや姉「おい」
作者「中学生ってさあ……恐れ知らずなところあるじゃん?」
せや姉「うん」
作者「中学の時通ってた時、塾の先生が個性的な人多くてさあ……」
せや姉「うん」
作者「その中の一人、英語の先生が女の人なんだけど……
あの人、何歳だったのかなあ……?
20~30代の人なんだけど、化粧が濃いの」
せや姉「ふーん」
作者「香水も結構キツめで……
まあ、作者が中学生だったのもあるから
キツく感じただけかもしれんけど……」
作者「化粧が濃くてケバい……
それでついたあだ名が【ケババア】……!」
せや姉「おい!? 何ちゅーあだ名を!?」
作者「いや、作者つけたわけじゃないよ!?
誰かが、そういうあだ名つけてたの!?」
せや姉「ほんまか?」
作者「ちょっと!? 何言ってるの!?
この、中学の頃は純情だった、作者ちゃんが
そんなあだ名つけるわけないでしょ!?」
作者「あ、でも、今回は、ケババアの話がしたくて
中学の塾の話したんじゃないんよ?」
せや姉「おい!? 余計な話やったら、
ケババアさんの話すんなや!? 可哀想やろ!?」
作者「その塾には、もう一人、英語の先生がいたんだけどさあ……」
せや姉「うん」
作者「男の人なんだけど……
な~んか、面白おかしく話をしようとしてんだろうけど、
ことあるごとに、自分のお姉さんの話をし始めて……」
先生「いいですか、皆さん!
実の姉というものほど、
弟にとって、苦痛な存在はありません!
はい、問題文に『kind sister』とありますが、
そんなものは存在しません!
はい、作者さん、ここ訳して!」
作者「は、はい……『優しい姉さん』です……」
先生「優しいお姉さん!? そんなものは存在しません!
姉というのは弟に意地悪をしたり悪戯する者なのです!
ここは是非、『優しい妹さん』と答えてほしかった!
何故『sister』を『姉』と訳す!?」
せや姉「うわあ……」
作者「もうねえ……『kind sister』とか、
その先生の前だと訳し辛いのよ……!w
いや、優しい書いてあるっちゅーねん!w
あと、話の流れからして絶対姉ちゃんの話だし!w」
せや姉「せやね」
作者「まあ、お陰で、光治くんの
姉に対する態度を描写する時の
参考にさせてもらってるけどね!w」
せや姉「そか」




