54話: ヤミリンの挑戦状
「そもそも……
そんな、髪をピンク色に染めるような人の言うこと
信じるのもどうかと思うやけど……
あー……でも……
うちが何も言う前から、首輪のこと言い出したんですよ……
そのオバハン……
何や、知っとる可能性が……でもなあ、ピンク髪やしなあ……」
銀子は、リビングの椅子に座って、
ブツブツと、そんなことを言って、考えこんでいた……
その銀色の髪をさらさらと揺らしながら、
首を傾げている様子を見て、光治は思う……
(ピンク髪が信用できないってのは同意だが……
お前はお前で、銀髪なんていう、
自然にはありえない髪色してんだがなあ……)
もちろん、そんなこと、口には出さない。
光治は、銀子に優しく語りかけた。
「まあ、考えてても仕方ないことは、やめようぜ?
それより、ヤミリンのことを知りたくて、
俺を頼って来たんだろ?」
「え……?」
銀子が、何やら不思議そうに光治を見た……?
「え? 違うのか?
俺がかつて、ヤミリンのファンだったから、
頼って来たんじゃなかったのか……?」
「え? せやったんですか!?
先輩、そのヤミリンとかいうののファンですのん!?」
銀子は、驚いて椅子から立ちあがって、そう言った……!
「ああ、昔はそうだった……」
光治がそう言うと、
銀子は、少し何かを考えて……?
それから、何やら慌てたように、
光治に、身を乗り出すようにして、こんなことを言い始める……!?
「ちょ、ちょっと待って下さい!?
そ、その人!?
ヤ、ヤミリンって、女ですか!?
もしかして可愛いんですか!?
先輩の憧れの人とか!?」
わけのわからない質問である……
だが、怒涛の勢いで……!?
光治はつい、しどろもどろになって答えてしまう……
「え? い、いや?
女だとは思うが、
可愛いかどうかは、わからんなあ……
ゲーム実況がほとんどだから、普段は顔出ないし、
顔が出るような時でも、お面しているから
素顔見たことないし……」
「あ……せやったんですか……」
そう言って、銀子は、何やらほっとしたように
胸を撫で下ろした……?
(何だ……?)
光治は、わけがわからず、首を傾げるが、
考えてもしょうがないと、銀子の行動をそのままにして
話を続けた。
「それに、以前は、憧れっていうか……
俺もファンだったが、今は……
ヤミリンなんて、吐き気がするぐらい嫌いだ……」
光治がそう言うと、銀子は驚いて尋ねる……
「え……吐き気……?
一体、なしてそういうことに……?」
「いやあ……ちょっとなあ……?
見たくない世界の真理を見せられたというか……
人間の薄汚いところを……
まさか、あんなことになるなんて……うぅ……」
「せ、先輩……?」
「いや、ごめん……それ以上聞かないでくれ……
泣きそうになるから……」
「はあ……」
思わず、目の端に涙を少し浮かべている光治に
銀子は、何やら引いてるような視線を送る……?
「ま、まあ……それは置いといて……
え? じゃあ、何でお前……?
ヤミリンのことも知らないで、
俺のこと頼って来たんだ……?」
光治が、誤魔化すように尋ねると……
銀子は、言いにくそうにしながらも、こう答える。
「あの、うち……
ぶっちゃけますけど、知り合い少ないんですわ……
記憶喪失やから……」
その言葉を聞いて、光治は一瞬目を丸くするが、
すぐに自分の配慮が足りなかったことを自覚して、
頭を下げて謝った……
「あ……ごめん……」
「や、ええですわ……」
それから、銀子は、
名前をフルに覚えている人物が三人だけ、
日吉光治、月影魅夜、陣風毬愛しかいないことを告げた。
「でも、魅夜先輩とは、いろいろありまして……
ちょっと会いにくい状況やし……
陣風先輩は、パンツを……」
「ん? パンツ?」
光治が聞き違いかと思って尋ねると、
銀子は慌てたように、両手をパタパタと振り出す……?
「い、いや!?
じ、陣風先輩のところは、
何や、警備の人が怖くて、入り辛くて!?」
「ああ、それで、俺のところに来たのか……」
そうやって、納得した様子の光治に、
銀子は、ほっと胸を撫で下ろし……
それから、頭を下げて言う……
「ね、ねえ! 先輩! 助けて下さい!
ヤミリンっちゅうののこと、
知っているのなら、教えて欲しいんです!
あのピンク髪のキッショいオバハンの言うことやし、
イマイチ信用できへんけど……
今は、藁をも掴むような気持ちなんです……!
でないと、うち、首輪がしまって……」
そう言って、銀子は目の端に涙を浮かべる……
「いや、頭あげろよ……!
助けてやるから……!」
「先輩……!」
そうやって喜ぶ銀子に、
光治は、頬を少し掻きながら、
少し苦笑して、こう言う。
「本当は、ヤミリンのことは、もう……
あまり関わりたくないんだが、
お前の命に関わる問題だものな……!
人の命には代えられない……!
とにかく、ヤミリンのサイトいってみよう……?
それで何か、わかるかもしれないし……」
そう言って、光治は、スマホを取り出すと、
チャチャッと操作して……
「ほら、これがヤミリンのサイト……」
そう言って、光治は、銀子にスマホを見せた。
「え……? え、ええ?」
しかし、銀子は、何やらもじもじするだけで、
遠巻きにスマホを見ようとしていた……?
「おい、そんなところじゃ見えないだろ?
もっと近づけよ……?」
「え、え……で、でも……」
「ほら、横に座れって……」
そう言って光治は、
自分のすぐ隣の席をバンバンと叩いた……!
「え? で、でも……
それだと、先輩のすぐ側に行くことになるから……」
銀子がそこまで言いかけて、
光治は、ぴんと来た……!
「なんだ、そんなこと気にしてたのか?」
「へ……? え……あの……」
「いいよ、別に……!
ニオイなんて!」
「は?」
「シャワー浴びただろ?
だったら、ニオイとか、もう俺は気にしないから……!」
光治が手をパタパタさせながら、そう言ってるのを聞いて、
銀子は、大きなため息を吐きながら思うのだった……
(何で、こういうとこに鈍いんや、この人……?
う、うち、先輩の横とか恥ずかしいのに……)
銀子は、そう思って、自分の胸に手を当ててみた……
既に、心臓の鼓動がバクバクと、すごい音を立てている……
(あかん、これ……
隣とか座ったら、音バレるんちゃうやろか?)
銀子はそう思うが、何度も誘って来る光治に悪いように感じ、
すごすごと、隣に座った……
(ああ……せ、先輩が……!
ち、近い……!?)
銀子が、そんなことを考えながら、
ちらちらと光治を見ていると……
光治は、その視線に気づいて、
にこっと微笑んだ……
「な、何!?
何ですのん!?」
「いや、さっきはごめんな?
変なニオイとか言って!
でも、もう大丈夫だから!
ほら、お前、シャンプーのいい匂いするじゃん?」
そう言って、光治は、銀子の髪に鼻を近づけて
くんくんと鼻を鳴らす……
「ちょ……嗅がんといて下さい!?」
そう言って銀子は、
バンバンと光治の背中を叩いて抵抗した……
光治は、痛がりもせず、
『ははは、ごめんごめん』などと笑った……
(も、もう……ホンマこの人は……敵わんわ……!)
銀子は、顔を真っ赤にして……
光治のことを、ちらりと見つめて……
それから、視線を逸らすように、スマホ画面を見た……
(い、今の……気付かれたやろか……?)
だが、銀子はそんなことを考えながら、
顔がにやけてしまうのだった……
……
さて、光治は、スマホの画面をスワイプし、
ヤミリンのサイトをスクロールさせ、下の方の項目に目を通す……
やがて、告知の項目まで来て……
「え……?」
光治は、呟いた……
「どないしたんです……?」
「いや、珍しいなと思って……
ほら……?」
そう言って、スマホを銀子に見せて来た……
そこには、短い文章で、
こんなことが書かれていた……?
『明日、重大発表しちゃいます!
今日の配信は、その準備で休止ね!
突然のことでビックリかもしれないけど!
みんな、ごめんね?』
光治は、それを読んでから
頭を傾げる……?
「休止なんて、珍しい……
ヤミリンって、毎日、配信やってんだぜ?」
そう言って、銀子を見ると……
「え……銀子?」
銀子は、青白い顔をして
画面を見つめていた……?
「どうしたんだ? 顔が青いぞ……?」
光治が声をかけると、銀子は、はっとして……
それから、指を震わせながら、
画面の一点を指し示した……
「せ、先輩……これ……?」
それは、『休止のお知らせ』の周りに描いてあった
【☆】や【♪】のような模様だった……?
銀子は、その模様を指差しながら、
怖いものでも見たような顔をして、光治を見つめているのだ……?
「へ、これがどうしたんだ?」
光治が尋ねると、銀子は、
ごくりと固唾を呑み込んでからこう言う……
「これ、文字です……
うち、読めますわ……」
「は?」
光治がわけがわからず呆けていると、
銀子は、文字だと言い張る“ソレ”を、読み始めた……
『コウちゃんの家に上がり込んだ糞女へ!
明日の朝9時までに駅前の廃ビルまで来い!
来なければコロス! 首輪をしめてな!』
「ちょ……!? 何だ、それ……!?」
光治は、銀子が、性質の悪い冗談を言っているように思えたが、
顔面蒼白で、ぶるぶると震えていて、
それが嘘でないことを示していた……?
だが、その文章が本当なら……
明らかに、ヤミリンの言動とは、かけ離れている……
いや、というより……?
「うっ……!?」
光治は、吐き気を催した……
何故なら、その文章が、あの時の……
光治が絶望した時の
【できちゃった婚】を発表した時のヤミリンにそっくりな
文章だったからだ……
「せ、先輩……うち、怖いわ……」
銀子はそう言って、光治の肩にしがみついて来た……
作者「話進まねえわ……」
せや姉「せやね……」
作者「ついに天気予報で、天気図出さなくなったわ……」
作者「天高く馬肥ゆる10月に、1週間も曇りが続くとか……
これだけ曇りが続いて異常気象なのに、
それを説明もせず、天気図出さないとか、
もう怪しさ爆発……」
作者「これ、関東で近いうちに、地震か何か起こるかもね……」
作者「いつものように関東ローム層の硬さに驚かされるだけで終わればいいけど……」
作者「まあ、白いの、あまり見えないし、大丈夫……かな?」
作者「消費税が10パーセントになったら、
【軽減税率】とかのせいで
イートインしたら10パーセント取られて
イートインしなかったら8パーセントになるらしい……」
せや姉「せやね」
作者「弱者イジメだよ……ホント最悪……」
せや姉「会社の休憩室とかで食べればええやん?」
作者「は! これだから素人は!?
何言ってやがる!?」
せや姉「何の素人や……?」
作者「世の中なあ……!
休憩室で食べたくても食べられない人もいるんですよ!?
『あの人と昼食一緒になりたくないわ』とか
影で言われてしまう人種が!?」
せや姉「うわあ……」
せや姉「てか、何したん? そんなん言われるとか……」
作者「そりゃあ、私だって休憩室で食べたいですわ!
外寒い時とかあるもん……!」
作者「近所のガキに、妖怪あつかいされる日だってある!」
作者「夏場は、汗だらだらかきながら外で食べてた時も……」
せや姉「や、もうええわ、その類のぼっち話……胸焼けしそう……」
作者「ところが、休憩室とか、中で食べていると、
食べている間中、同僚のオバハンとかに
ぐちぐちぐちぐち愚痴を言われたりすんのよ!?
何か、腹いせっていうか、怒りの捌け口にされるのね?
作者、大人しい人だからナメてるわけよ!?」
せや姉「は?」
作者「四六時中、聞きたくもない愚痴聞かされてみ……?
もう、食べた気にならなくなるわ……
てか、食べていると『聞いてるの!?』とか言って来るから
食べられないし……
かと言って、穏便にでも、逆らうようなこと言うと、
さっきも言ったけど、『一緒に食べたくない』ですわ!
それだったら、我慢してでも、外で食べた方が……ってなるじゃん!?
トイレで、ぼっち飯していると、意外に目立つしね……!」
せや姉「いやあ……何て言うか……」
作者「そんな弱い立場の人達の救世主が、イートインだったのに……
あそこだったら、惨めな思いしないで昼食べられたのに……ぐすっ!
よりによって、そこに10パーセント消費税かけるとか……
追い出すとか……
うぅ……ひどい……ひどすぎる……ぐす……」
せや姉「いや、もうその辺でやめとけ……
痛々しくて敵わん……」
作者「どんどんどん! ぱふぱふぱふ!」
せや姉「そして、この切り替えっぷりや……」
作者「PV5万アクセス達成!w」
作者「おめでとー!w」
作者「ありがとー!w」
せや姉「せやね」
作者「ついに! ついに! 5万アクセスですよ!w」
作者「うれしー!w」
作者「まあ、最近PV身忘れてて、
危うく5万アクセスのお祝い逃がしそうになったんだけど!w」
せや姉「おい」
作者「あーでも、くそー……
嬉しいんですけど、
でも、さっきの消費税10パーセントの話で
何か、今日のエネルギー使い果たした感じ……
もうこれで寝ますわ……」
せや姉「おい」
作者「はい、というわけで、次は5万5千アクセスで祝いたいと思います!w」
作者「それではまた~!w」
せや姉「ほなね~!」




