46話: 毬愛の思い、魅夜の願い
「今度の日曜、私とコウくんでって……
本気で言ってるの?」
毬愛には、心なしか、
電話の向こうで、魅夜の声が怒っているように感じた……?
だが、毬愛は気のせいと考えて、
理由を説明する……
「ええ……
わたくしは……その……
貴女を裏切って
今日、光治様と二人で……十分楽しみましたから……」
毬愛は、言葉につっかえながら、そう言った。
裏切りの告白のようで、自分で言っていて苦痛に感じたからだ……
「はあ……
それで、お詫びとして、
コウくんと二人きりにしてくれる、って?」
「ええ……」
毬愛が相づちを入れると、
魅夜は、大きくため息をしてから、こう言う。
「ねえ、毬愛……?
今、私が心の中で思っていること、
ぶっちゃけていい?」
魅夜のその言葉に、
毬愛は、戸惑った……?
「え……な、何ですか?
改まって……? 何を仰りたいのですか?」
何か文句を言われるのだろうか、と毬愛は思った。
裏切ったことを恨まれて……
(魅夜様……まだ怒ってらっしゃるの……?)
だが、自分の撒いてしまった種だ……と諦めて、
魅夜から罵詈雑言を言われることを、覚悟した……
だが……?
「舐めんなよ!? こんのバカ令嬢!?」
魅夜の、突然の罵声……!?
しかも、予期せぬ方向の……!?
「え? ええ!? バ、バカ……?」
「余計なことするな!? バカ!
何様のつもり!?
前にも『自惚れるな!』って言ったよね!?
それとも何!?
毬愛が、そこまで譲歩しても……!
毬愛には私が勝てない、とそう言いたいわけ!?」
魅夜はすごく怒っていた……!
電話口から、彼女が息を乱して興奮している様子がわかった……!
だが、そんなことを言われては、
毬愛も黙っていられない……!
「何を仰ってるのですか、貴女は!?
わたくしは、貴方達のことを思って……!
結び付けて差し上げようと思って……!」
毬愛がそこまで言うと、
間髪入れずに、魅夜が話し始める……!
「それが余計なことだって言ってるのよ!?
バカ令嬢……!
ホント何もわかってないのね!」
毬愛には、魅夜の言っていることがわからなかった……
本当にこの人は何を言っているのだろう……?
そんな風に、わけのわからないことを言われていると思うと
毬愛は何だか、
魅夜にイチャモンをつけられているような気がして来た……!?
「バ、バカって!
わけがわかりませんわ!?
一体、何が不満なのですか、貴女は!?」
毬愛がそう叫ぶと、魅夜はため息を吐く……
それはまるで、『そんなこともわからないのか?』と
バカにされているようで、毬愛はイライラが募っていく……!
だが……
「あのさあ……毬愛?
変な気をつかわないでいいから……!
毬愛……今度からなるべく3人で行動しようよ?」
突然、魅夜は声のトーンを穏やかなものにして
諭すように、毬愛に言った……?
「な、何を言ってるのですか……?
それでは……わたくしが裏切ったことへの償いができな……」
「いいんだよ……そんなの……!
貴女にそこまで求めてない……!」
それから、魅夜は、
再度ため息をしてから言う。
「私、今回の件でわかった……
仲間外れにされて、コウくんと毬愛が二人っきりになってるって
想像すると、あれこれ考えてしまって……
本当に辛かった……
気が狂いそうだった……!
まあ、実際、おかしくなったから、毬愛を殺そうとしたんだけど……」
魅夜は思う……
(銀子に、『私は毬愛と戦う』とか勇ましいこと言っておいて……
実際に、毬愛とコウくんが抱き合っているところ見たら……
『殺してやる……!』だものなあ……
我ながら、苦笑しちゃうよ……)
「魅夜様、何が言いたいのですか?
話が見えてこないのですが……?」
「毬愛……考えてみて……?
仮に、本当に私がコウくんと二人きりでデートに
行ったとして、貴女、平静でいられる?」
「うっ……それは……」
毬愛は「平静でいられる」と言いたかったが……
光治と魅夜に初めて会った日、
自分が媚薬で焚きつけたとは言え、
ベッドの上でいちゃいちゃしている二人を見て
ピストルを持ち出したのを思い出していた……
毬愛は、こほんと咳払いをしてから言う……
「む、無理かもしれません……」
毬愛が苦し紛れにそう言うと、
魅夜は、くすくす笑いながら返事をする。
「いいや、無理だね……!
かもしれないじゃなくて、絶対無理……!
毬愛はきっと、今日の私みたいに
二人の後をこっそり、つけて来るね……!」
魅夜に断言されて、毬愛はムカッと来るが、
否定できなかった……
「ハッキリと言いますわね……?」
「だって、友達だもの……
わかるよ……」
魅夜は、静かにそう言ってから、
大きく深呼吸をした……
「ねえ、毬愛……?
私達、折角友達になったんだよ?
それなのに、こんなすぐに愛憎劇の泥沼とか嫌だよ?
貴女とは仲良くいきたいの……」
「愛憎劇って……」
毬愛は、オーバーな言い方だと思ったが、
魅夜の声のトーンは、真剣そのものだった……!
「笑いごとじゃないんだよ……毬愛……!
いやあ、同級生の恋愛あれこれを
私はずっと、傍で見て来たけど……
結構みんな、三角関係でドロドロとしていたよ……?
もうねえ……頭おかしいでしょ、この人達……!?
ってな感じのこと平気でやり出していたし……
人間の尊厳とかない感じの……」
「魅夜様……?
何か辛いご経験がおありなのですか……?」
魅夜の言葉から、苦労した様子を感じとった毬愛は、
つい、そんなことを尋ねた……
すると、魅夜は、軽くため息を吐いて
苦笑する……
「まあ、ちょっとね……
私は、そういうのを見て
『恋愛はバカのするもの』って決めつけてたけど……
今回の件で、そうじゃないんだなあ……ってつくづく思った……
だって、自分が狂っちゃったんだもの……」
魅夜は、小刀を持ち出し、毬愛を殺そうとしていた自分を思い出し、
軽く鬱になる……
自分がまさか、あれだけバカにしていた
【恋に狂った女】になるとは思っていなかった……
ああはなりたくない……そう思ってたのに……
あんな汚らわしい存在に……自分が……
「あ……」
そして、魅夜は思いだした……!
「そうだ! それで思い出した!
今回電話したのは、毬愛に提案があったんだ!
今日みたいに、三人の関係がぐちゃぐちゃしないようにさあ……」
「何ですか?」
「毬愛に…………あんたに決闘を申し込みたいの!」
「はい!?」
その時の魅夜は、
さっきまでの『仲良しでいましょうね?』という感じの雰囲気とは
打って変わっての、勇ましいものだった……!?
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
【今日のオチ】
「返しそびれた……」
光治は、毬愛のパンツと一緒に
クリップで付いて来た、毬愛の写真を見ていた。
それは何の変哲もない毬愛の写真……
光治の中学の制服を着ている、ややピンボケした写真だった。
『今日のオカズですかチン?』
「黙れ……」
『そんな、ただの写真でも、美少女が映っているのは希少ですねチン!
何せ、中学生に戻った今、エロ本はろくに揃っていないし、
魅夜ちゃんのお姿に至っては、写真がないから、
ご主人様の記憶に頼るしかない始末……!
毎回、彼女の名前を呟いているご主人様は、涙を誘われましたチン……!』
「黙れよ……」
『でも、どうせなら、毬愛ちゃんの着替えシーンとか、パンチラ写真とか
そういうのが欲しかったですよねチン!
あ、でも、パンチラはともかく、
まな板娘の着替えとか見てもつまらないですね……チン』
「もういいから黙れよ、お前……!?
てか、本当に俺の分身か!?
俺って、心の奥底でそこまで邪悪なこと考えてんのか!?」
作者「それまでずっと雨が降っていたにも関わらず
10月1日で突然晴れて気温が30度超えするから、
10月1日、地震に注意だね」
作者「条件がそろい過ぎてるわ」
作者「たぶんさあ……」
せや姉「うん」
作者「世間一般では、もっとこう……
ドロドロした展開の恋愛書いた方が
受けると思うんだよねえ……?
魅夜と、毬愛が、それこそ
嫌がらせに嫌がらで応酬するような、
ドロドロとした潰し合いをするような……
そういう作品が望まれていると思う……」
せや姉「そやの?」
作者「うん、たぶんだけど……
書店で売れている本の傾向見ると、
そんな感じがする……」
せや姉「ふーん……」
作者「でも、作者がそういうドロドロした恋愛嫌いなので
書きません……
書きません、というか、書けないんです……
トラウマを刺激するんで……
泥沼の恋愛期待してた方はごめんなさい……!」
せや姉「何かあったのか……?」
作者「うん……大学時代にサークル内でちょっとね……
何か……もう恋愛なんてバカらしいわって
思うようになってた、あの頃……」
??「うわああああ……!?」
作者「ちょ……や、やめてよ!? もうあの人には近寄らないから!?」
作者「……で、こっちは約束守っているにも関わらず、
結局、あることないこと言いふらされたし……
自転車は撤去されかかったし……
集団で……あれこれされて……
自殺を考えこむほど追いこまれたし……
マジきつかった、あの時代……」
せや姉「な、何か、重そうやな……?」
作者「お陰で、卒業式とか出席できなかった……
アレとまた顔合わせるのがとても嫌だったから……」
作者「ホントさ……恋は人を変えるっていうか、
人を狂わせるのよ……?
そんで、信じられないようなことやったりする……
何でそこまでやるんだろう……ってことを……
もうねえ……心が折れたよ、あの時は……」
せや姉「うわあ……」
作者「そういや、最近でも、派遣された会社でも、
泥沼に巻き込まれそうになったことがあったなあ……」
作者「てか、何で作者の恋愛って、こんな……
面倒なことにばかり……巻き込まれて……」
せや姉「おい、思い出すな……」
作者「作者は、ふつうの恋愛がしたいだけなのに……
もう多くは望まないので……
でも今となっては、無理か……この歳だし……」
せや姉「もうやめや、痛々しい……」
作者「というわけで、ごめんなさい……
泥沼展開は、この私には無理だ……
今回の話でさえ、書いてて辛かったし……」
作者「あーもっと、スカッとする恋愛書きたいわ!w」
作者「もういっそ、ハーレムにしちゃうか?w
そうすれば争いなどなくなるだろう……!
ま、それはそれで、現実味がないから嫌だけど!w」
作者「あ、あと、今回のあとがき読んでて不快になられたら
ごめんなさい……
深く深くお詫び申し上げます……」




