42話: 据え膳喰わぬは男の恥!?
光治と毬愛は、映画館を後にした……
二人とも顔を赤らめ、お互いの顔を見ようとしない……
いや、気恥かしくて見れなかったのだ……
今、二人はお互いに目を逸らしながらも
共通のことを考えていた……
『キスをしてしまった……』
それは偶然の産物で、
キスを行ったというよりは、
唇と唇がかすってしまったと言った方が正確だったが……
多感な年頃の二人にとっては、
それは紛れもなくキスであった……
キスをした直後、二人はお互いから視線を逸らし、
悶々とした気分で、座席に座っていた……
二人とも、そのまま心の整理をつけたかったのだが、
映画館の従業員が「早く出ろ」と、目だけで訴えて来たので
慌てて出て来たのだ……
(お、俺……毬愛とキスを……?)
光治が、自分の唇に意識を集中すると、
柔らかかった毬愛の唇の感触が、思い起こされて来る……
(って!? 俺……何考えてるんだ……!? 浮気かよ……!?)
そして、ふと毬愛を見ると……?
彼女は顔を赤らめながらも、
どこか、ぽぉ~っと何もないところを見ていた……
放心状態のためか、毬愛の口は、半開きに開いており……
光治には、何というか……
それが却って色っぽく感じられた……
(俺……あの唇に……)
そんなことを考えていると、
光治の視線が、自然と……
毬愛の唇に吸い込まれるように引き寄せられていった……
そして、光治がそうやって毬愛を見つめていると、
毬愛はその視線に気づいて……
「ふふ……」
それから、にこりと光治に微笑みかけて来る……?
光治は、ごくりっ、と生唾を呑み込んだ……!
(やべえ……か、かわいい……!)
そんなことを一瞬思った光治は、
毬愛から視線を逸らす……
これはまずい、そう思ったからだ!
毬愛は、そんな光治の行動に、一瞬戸惑うが……
『彼、照れているだけだから!』
あの時の、衣料品店の店員の言葉をすぐに思い出し、
心の底から嬉しさが込み上げて来るように思えた……!
(えへへ……光治様……)
顔の筋肉が緩む毬愛であったが、
すぐに、はっとすると、
ぶんぶんと頭を左右にふった……
(いえいえ! 何喜んでいるの……毬愛?
貴女、お友達に対する最悪の裏切り行為をしたのよ……?)
そんなことを心で考えて自分を諌めるが……
どうにも顔の筋肉がコントロール不能で、
ついにやけてしまうのだった……
「えへへ……」
さて、毬愛がそんなことになっているとは、
彼女から視線を逸らしてしまった光治は気付く余裕もなく……
光治は、あらぬ方向を向きながら、こんなことを言い始める。
「あ、あの……毬愛?
ご、ごめん……! 本当にごめん!
その……何ていうか……さっきのは……!
ショックだったよな!? 俺なんかがキスしてしまって!」
光治は、あくまでも、自分とキスしてしまったことで
毬愛の心が傷ついてしまったのではないかと思い、
そうやって謝罪したのだ。
そして、毬愛は、そんな光治の真摯な態度を、嬉しく思いながらも、
見当はずれなことを言っている光治に、思わず笑みがこぼれてくる……
「いえ……大丈夫ですから……ふふふ……
事故みたいなものですし……ふふ」
それから、毬愛は、
にこにこしながら、小首を傾げるような動作を見せると、
「魅夜様には、内緒にしておきますね?」
そんなことを、悪戯っぽく言った。
「えーと……いや、その……
そうしてもらえると助かる……」
だが……?
「あ……」
不意に、光治の視線がある方向で止まり、
そこで動きが止まった……
毬愛は、何だろうと思って
光治の視線の先を見る……?
『ご休憩××××円
ご宿泊××××円』
毬愛の視線が、ラブなホテルの看板に注がれて……?
彼女は耳まで顔を真っ赤にする……!?
「こ、光治様……え、えーと……あの?」
「ち、違う!? 違う!?
そそそそそ、そういうつもりではなくて!」
毬愛に気付かれたと思った光治は、
慌てて、身の潔白を訴えた!
「つい、目がいってしまっただけで、
あそこに入りたいとか思ったわけでは!?」
「何も仰らないで……!?
わ、わかっていますから……!
そ、それより早くこの路地を抜けましょう……!
こんなところに居たら、どなたかの誤解を受けるやも知れませんし!」
毬愛は、そう言って、早く行こうとして……?
だが、慌てていたためか……?
「え……?」
毬愛は足がもつれて、転びそうになる……!?
「あ、危ない……!」
光治は、倒れかかる毬愛を支えようと手を出して……!?
がしっ!
毬愛の正面から、背中に手を回して
抱きしめるような体勢になる……!?
毬愛は、抱きしめられた直後こそ、驚いていたが……
すぐに顔を赤らめて……
「こ、光治様……こんな、お外で……
は、恥ずかしいです……」
抱きしめられたことが恥ずかしかったのか、
毬愛は、そう言って、ぷいっと顔を背けた……
「ご、ごめん!
だ、だけど、毬愛を助けようとして……!」
光治は、口ではそう言っておきながら、
毬愛の身体を抱きよせて、こんなことを考えていた。
(女の子の身体って、こんなに柔らかかったっけ……?)
魅夜を抱きしめた時と
何かが少し違った……?
これは、光治にはわからないことだが、
魅夜は忍者として修業をしていたため、
ある程度の筋肉がついていたのだが、
毬愛は、スポーツなどあまりして来なかったため、
筋肉が少なく、魅夜より柔らかかったのだ……
「毬愛……」
華奢な毬愛の身体は、
ガラス細工のように、少し力加減を間違えただけで
すぐ壊れそうな印象だった……
そして、その弱々しさが
却って、庇護欲をそそられるというか……
何やら愛おしさを感じさせて……
(いやいやいや!? 何考えているんだ、俺は!?)
光治は、我に返って、
ぶんぶんと頭をふった!
そして、一方……
「光治様……いけませんわ……こんなこと……
お、お止めになられて……?」
毬愛は、そう言いながら目を閉じた……
(ちょっと待て!? 何故、目を閉じる!?)
いや、毬愛は単に、
光治の顔を間近で見ていると恥ずかしいから
目を閉じただけだったのだが……
(やっべ! 理性が……!? 俺の理性が……!?)
光治は、何かのOKのサインなのかと
深読みして……!
あれこれ、いろえろ考えてしまう……!?
そして、彼の股間に血流が集まって来て……!?
……
『チン爆誕!
ご主人様! 据え膳ですチン!?』
「またお前かあああ!?」
『ご主人様! チャンスですチン!
今度こそヤっちゃって下さいチン!』
「できるかあ!? お前、ふざけんなよ!?
俺を犯罪者か、痴漢にするつもりか!?」
『何でですかチン!?
あの貞淑なお嬢様がここまでその気になっているんですチン!
ここで喰わねば、相手に失礼ですチン!
チンの準備はいつでもOKですチン!』
「チンチンうるさいぞ、お前!?
そもそも! 毬愛がそんな下品なこと考えるわけないだろ!?
女だし! お嬢様なんだぞ!?
お前が都合の良い妄想を考えているだけだ!」
『何言ってるんですかチン!?
性欲は女にも、誰にでもあるものですチン!
だって、性欲がなかったら、赤ちゃんは生まれて来ないんですよチン!』
「くっ!? 意外に正論を……!?
だ、だけど……俺は魅夜を裏切るわけには……!」
『大丈夫ですよ……チン!
経験を積むだけすチン! 裏切りではないですチン!
経験を積んで、
後で魅夜ちゃんを楽しませてあげれば、裏切りではないですチン!
そう……これはつまり、魅夜ちゃんのために
お嬢様で経験を積むだけですチン! うひ! うひひひひ!』
「て、てめえ……!?
俺の分身のくせに、何て邪悪なことを……!?
だが、それはそれで、毬愛を傷つけることになるだろ……!?
できねえ! 毬愛を傷つけることなんてしたくない!」
『はあ!? ったくよお! 大人しくしていれば……!?』
「え? 相棒……?」
『四の五の言ってねえで、やれよ!?
お前、男だろ!?
本当はヤリたいんだろ!? こんな美少女を目の前にして!
我慢してねえで、ヤれよ!?
あ……チン』
……
「ねえ、コウく~ん……?」
不意に聞こえて来た、その声に、
光治は、妄想の世界から帰って来た……
「え……」
というか、光治の身体の動きが止まってしまう……
背後から、恐ろしい圧迫感のようなものが感じられた……
ふり返りたくない……
ふり返りたくないが……
ふり返らなければ、更に恐ろしい事態になることは予見できた……
光治は、背中に大量の嫌な汗をかきながら……
ゆっくりと後ろをふり返ると……?
「な~にやってるのかなあ……?
コウくぅ~んん?
それに、毬愛ァ……!?」
そこには、鬼の形相で、目を丸くして睨みつけている……
魅夜の姿があった……!?
「うふふふふ……
ねえ? 楽しそうなことしてるねぇ!?
抱き合って、何かの遊びかなぁ!? ねえ!?
私も仲間に入れてくれないかなあぁ!?」
笑っているのに、目が笑ってない……!?
「ぎゃああああああああ!?」
「きゃああああああああ!?」
光治と毬愛は、そろって悲鳴をあげた……!
作者「週間天気予報見ていると……これ……
この一週間ずっと雨降ってるのに
28日だけ急に晴れるのね……」
作者「これ、28日に地震起こるかもね」
作者「また氷結のんじゃったぁ~!w うひひ~!w」
せや姉「もう呑まん言うてたのにな……」
作者「考えようによっては度数5パーセント1缶で酔えるのって
すごい燃費いいんじゃね? いいんじゃね?w」
せや姉「燃費て、あんた……」
作者「ぐすっ……ぐすっ……」
せや姉「どした?」
作者「ぢぐじょおお!?(泣」
せや姉「ホンマどした!?」
作者「セクロス書いてて毎回思うんだけど、
お前ら、この独身の作者の目の前でイチャイチャしてんじゃねえよ!?」
せや姉「いや、これ書いているの、あんたやし……」
作者「学生の本分は勉強だろ!? 勉強しろよ!? こんちくしょう!?」
せや姉「おい、自分の書いてるキャラに嫉妬すな……」
作者「作者ね? 中高生の時は、すっごいモテてたのよ?
それも一人や二人じゃなくて、何人もの人に!?」
せや姉「せやったな……ホンマか知らんけど」
作者「それがどうして今は、こんなどうしようもない生活してんの!?
派遣でしかどこも雇ってもらえないで……!
家に帰っても、ひとりで呑んで、ひとりでいい気分になって
ひとりで……何でこんな……こんな……惨めなことに……うぅ……!」
せや姉「うわあ、痛々しいわぁ……」
作者「中学の時は告白されたんだよ!?
『付き合って下さい!』って面と向かって言われて!
ま、まあ、作者が、その時は純情過ぎて
『え? どこまで付き合えばいいの? 校門まで行く?』とか
答えちゃったけどさあ!
それで終わっちゃったんだけどさあ!」
せや姉「いつ聞いても酷い話や……」
作者「ホントひどいよね!?
もっとハッキリ『好きです!』とか言ってくれればよかったのに!?」
せや姉「いや!? ひどいのは、あんたやろ!?
ひっどいことして、ふって!
何が、校門まで行く、や!?」
作者「だって……だって、本当にわからなかったんだよ……
えぐ……えっぐ……
てか、今『付き合って下さい』って言われたら、意味を理解できるわ!
ほら、誰か言えよ!? 付き合ってって言えよ!?
モデルにスカウトされた経験(無視)もある作者に言えよ!? おらーん!」
せや姉「あー……やかましいわぁ……」
作者「あ、全然関係ないけど……
以前『目が合って困ってる』と言っていた人と
今日は目が合わないで済んだ!w
何かほっとした!w 以上!w」
せや姉「おま……そうやって、また急に軽い話題を……
ああ、この感情の起伏の激しさ……ついてけん……」
作者「まあ、作者、メンヘラだからね、仕方ないべ……
常に情緒不安定なのよ……
さっきまで思い出し笑いしていたのに、
『ああ、しにてえ……』って鬱になるのもしょっちゅうだし」
せや姉「自分で言うなや……」




