40話: だから、私の邪魔しないで!
「何で、コウくんの幸せを考えたら、
コウくんと毬愛が付き合うのが一番なのよ!?」
魅夜が怒りの表情で、銀髪の少女を見つめながら言うと、
銀髪の少女は、目を丸くして驚いた……?
「何よ、その顔……?」
「先輩……!?
あんたこそ、何を言うてるんですか!?」
「は?」
すると、銀髪の子は、聞えよがしに大きなため息を吐いて、
魅夜を睨みつけながら言い放つ!
「陣風先輩なら、お金持ちやし! 美人やし!
あの人と一緒になる方が……どう考えても……!
日吉先輩にとって、一番の幸せやないですか!?」
だが、熱くなっている銀髪の子と対照的に、
魅夜の心は急速に冷えていた……
(そんなことか……)
魅夜は、心の中で、銀髪の少女の答えに
ガッカリしていた……
自分と同じ人を好きになった銀髪の子が
どうして、他の人に、好きな人を譲る気になったのか……?
それは、猪突猛進に、光治の愛を掴もうとしている魅夜にとって、
とても理解できない考え方だったから、興味を持ったのだが……
魅夜は、既に自分の太ももに
黒光りする【バイコン】を巻きつけていた……
すぐにでも使用することになるだろう……そう思って……
魅夜は、深呼吸をすると……
「そんな理由で、コウくんと毬愛をくっつけようとしたの……?
そんな理由で、私とコウくんとの仲を引き離そうとしたの……?」
今度は、魅夜が、銀髪の少女を睨みつけて言った……!
「え?」
「迷惑だわ!
コウくんに対して、その程度の愛情しかないのなら
一人で、とっとと退場しなさい!
私の邪魔をしないでよ!」
魅夜が怒りを爆発させて、そう言うと……!?
「あ、あんたという人はぁ……!?
何して、わからないんや!?」
銀髪の少女は、手をピストルの形に構えて、
魅夜を睨みつけて来た……!?
(来る……!?)
既に、太ももに【バイコン】を巻き終わっていた魅夜は、
すぐさま、スマホのアプリと【バイコン】を連動させる……!
銀髪の少女は、手のピストルを構え……!
「ばーん……ぐ?」
そう唱えて、途中でやめた……?
何故なら……!?
「え? 消え……!?」
そう……!
そこには、魅夜の姿がなかったのだ……!?
そして……!?
「自分がさっきやっていたことを
相手にされるのって、どんな気持ちかな……?」
「なっ!?」
銀髪の少女のすぐ後ろから
魅夜の声がした……!?
彼女が慌ててふり返ると……!?
「せいやあ……!?」
魅夜の渾身のパンチが……!
銀髪の子の腹に深々と突き刺さった!
「ぐはっ!?」
銀髪の子は、小さく呻くと、
腹を抑えながら、膝から地面につき、
うずくまってしまう……
そんな銀髪の子の様子を見ながら、
魅夜は静かに考える……
(やっぱり、バイコンで強化された足で蹴らないとダメか……
未強化のパンチじゃあ、気絶はしない……
でも……)
魅夜は、銀髪の子を蹴ることはできなかった……
ピンク髪のオバサンと対峙した時は、
オバサンが光治を殺すとか言っていたので、
躊躇なくバイコン強化の蹴りを浴びせることができたが、
今回は、どうもできない……
(だって、何となく、この子の気持ち、わかるもの……!)
確かに考えてみれば、金銭的なことで考えたら
光治は、毬愛と一緒になるのが正解だろう……
そもそも、毬愛は金髪碧眼の美少女だし……
どこからどう見ても完璧な少女だ……
「でも……!」
だが、だからと言って、
魅夜は身を引くことは考えられない……!
自分を抑えてまで、光治の幸せなど考えられないのだ!
何故なら……そんなことをしたら……!?
「ねえ! あんたは、それでいいの!?
銀子!?」
銀髪の子は、うづくまりながらも、
魅夜を訝しげに見上げる……
「は……? な……何やねん? 銀子て……?」
「あんたの名前よ!
記憶喪失で名無しとかじゃあ、話しづらいもん!
それより、銀子はいいの!?
毬愛にコウくんをとられても!?」
銀髪の子は『何だこいつ?』と思いながらも、
魅夜の問いに答える……
「い、いいわけあるかい……!?
うちだって、ファーストキスをした人と一緒になりたいわ……
で、でも……あの人にとっては、陣風先輩の方が……」
銀髪の少女……いや、銀子はうつむいて、
困ったような、悲しそうな顔を浮かべた……
魅夜は、そんな銀子を、じっと見つめて言い放つ!
「愛はお金で買えない……!
なんて、安っぽい誰かの受け売りなんて言わないけれど、
ねえ!? あんたの愛情ってそんなものなの!?
相手の幸せを考えて、身を引いて終わりにできるぐらい
薄っぺらなものなの……!?」
魅夜が強い口調でそう言うと、
銀子は、きっと魅夜を睨みつける!
「あんた、何言いたいんや!?
うちに喧嘩売っとるんか!?」
すると、魅夜は、真剣そのものの顔で
銀子を見つめ返して言う!
「私は戦う!
毬愛みたいなキレイで、お金持ちで、お淑やかな人がライバルでも!
たとえ勝ち目がなくても!
だって、それで戦うことをやめちゃったら……
そこで嘘をついて、身を引いてしまったら……!
私がコウくんを想う、この気持ち……!
それすら嘘になってしまうもん!」
「あんた……何言うて……?
か、勝てるわけ……ないやろ!?
あんな完璧なお嬢様に!?」
銀子は、魅夜の頭を疑った……?
『この女は何を言ってるんだ?』
そんな表情で魅夜のことを見つめた……!
だが……!?
「そうなったら、そうなったでいい……!
もしも、それでもダメで、コウくんにフラれたら……
それは悲しいことだけど……
もしかして、立ち直れないぐらいキツいかもしれないけど……!
でも、私は嘘をつきたくない!
私の中にある、この愛は本物だったと誇りたい!
私はコウくんを愛しているの! だから……!
全力で毬愛と戦うの! 私は!」
魅夜の言葉を受けて、
銀子は、ゆっくりと頭を左右にふる……
「アホなことを……」
しかし、魅夜は、それがどうしたと言わんばかりに
毅然とした態度で、こんなことを言う……!
「ああ、そうよ! 私はアホだ!
アホだから、やってみなきゃわからないのよ!
毬愛に本当に勝てないかどうかなんて
やってみなきゃわからない!」
魅夜は、そう言って、再び、
スマホのアプリを起動させる……!?
「だから、私の邪魔しないで! 銀子!?
あんたが毬愛に勝てないというのなら、
そこで黙って、見ていなさい!」
そう言って、魅夜は駆け出した!
「あ……!?」
銀子に向かってではない……!?
恐らくは、光治達のいる場所へ向かうのだろう……!
「くっ!」
銀髪の少女は、ピストルの手を構えると、
それを魅夜に向ける……!
「てやああああぁぁぁ!?」
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
さて、ここは、古びた映画館【ザザ座】……
映画は既に終わり、観客達は帰り始めたが……
それでも、いくらかの観客達は、映画館の薄暗がりの中で
その余韻を楽しんでいた……
「ん……んん……ん……」
どこからともなく、男女の荒い息遣いが聞こえる……?
どうやら、気分が高揚したカップルが、
キスをしているらしい……?
男の方が、一方的にキスを中断すると、
女の方が、非難するような表情で男を見上げた……
「ねえ、どうしたの……?
まだキスしてたかったのに……」
「なあ、続きはホテルでしないか?」
大学生ぐらいだろうか?
若い男がそう言うと、女は苦笑して答える……
「あのねえ……
もうちょっとムードとか考えられないの……?
折角、あんなロマンチックな映画観た後なのに……」
すると、男は肩をすくめて見せる。
「でもよお? 俺の反応も普通だと思うぞ?
考えてみろよ?
同じ路地に、映画とラブホがあるんだぞ?
きっとそういう目的で建てたんだぜ?
映画で盛り上がって、ホテルに直行するのが多いんだ」
男がそう言うと……
女は、大きなため息を吐いてから、こう言う……
「もう! ホント最低ね!
例え、そうだとしてもねえ……?」
そう言いながら、ふと……?
女は後ろの方に座っている男女に目がいった……
ただでさえ上映が終わったばかりの映画館で
人がいれば、それだけで目立つのだが、
その男女は、特に目立っていた……?
何故なら……?
「むふ……! あらあら、まあまあ……!」
女性は、若い男の耳元に口を近づけると、
小さな声で言う……
「ねえ、あの子達、中学生くらいかしら……?」
女性は、にやにやとしながら、その少年少女を見て言った……
薄暗がりで、ハッキリとは見えないが……
それは確かに、中学生ぐらいの少年少女だった……
しかも、目を見張るのは、
どうも少女の方が、少年に
上から抱きついているようなのだ……?
「ん……んん……」
状況から考えて、キスでもしているのだろうか?
何やら、漏れ聞こえて来る声が、その類のもののようだった……?
女性は、うきうきとした気分で、話を続ける……
「いやあ……最近は、女の子が積極的なのね……!
上になって情熱的にキスしてるわ!
見ているこっちが恥ずかしくなっちゃう……!」
「お、そうだな……
ったく! 最近のガキはマセてやがる……!」
そして、女性は、人差し指をピンと立てると、
男に提案し始める。
「ねえ? 邪魔しちゃ悪いし、
そぉ~っと出て行きましょ?」
「よし! ホテル行くか!」
男は、にやにやしながら、
女の手をとって出口へ向かう……
「だ~か~ら! それをやめてって……」
女は、文句を言いながらも……
「も、もう……!」
まんざらでもないような顔をしながら、
男の後についていった……
……
薄暗がりの中、光治は、静かに思う……
(俺、耳がいいから、よく聞こえていたんだよなあ……
さっきのカップルの会話……)
光治は、少し顔を赤らめて、
さっきの男女の会話を思い出していた……
(ったく! 何がキスだよ……!
んなもんしてねえって……!?)
そんなことを考えて、光治が目線を下げると、
自分の胸のあたりに向かって、声を投げかける……
「なあ、毬愛……?
もうそろそろいいか……?」
声をかけて、少ししてから……
毬愛の声が、悲しげに聞こえて来た……
「ごめんなさい……光治様……ぐす……
でも、もう少し……ぐすっ……
このまま、居させて下さいまし……
エリー様が可哀想で……可哀想で……!」
毬愛は、光治の胸に顔を寄せて……
静かに涙を流して泣いていた……
作者「何か、最近、特定の人とよく目が合って困ってる」
せや姉「はい?」
作者「何かさあ……別に意識してその人を
見ようとしているわけじゃないんだけど、
何となく景色とか見てると、
いつの間にか、その人と視線が合ってるんだよね……
何なんだよ、まったくって感じ……」
せや姉「あんたが何なんや……そない話して……」
作者「気まずいんだよお! すっごい気まずい!
その人と目が合っちゃうから!
何か、作者がその人を気にして見ていたみたいになって!
何か妙に意識してしまう……!」
せや姉「何言うとるんでしょうか、この人は……?」
作者「ところで、話は変わるが、
作者は人と向かいあって会話をする時、
結構変なことを考えている」
せや姉「いつものことやね」
作者「うっさいわ!w」
作者「んで、よく人の顔を見ていると、
この人とキスしたらどうなるか、考えることがある」
せや姉「は?」
作者「しかも、異性とか同性とかおかまいなし……
いや……?
同性の唇を見た時の方が、
キスしたらどうなるかを考えることが多いかな?」
せや姉「何や変なこと言い出してる!?」
作者「あ、ちなみに、作者は同性愛者ではない。
ただ、単純に恋愛音痴で、まっとうな恋愛に恵まれていないだけで
異性と恋愛したいと考えています……!w」
せや姉「まっとうなやつが、同性の唇見てキスとか考えんやろ!?」
作者「どんどんどん! パフッパフパフ!」
せや姉「おい、唐突に話題かえるな……」
作者「どんどんどん! パフッパフパフ!」
せや姉「昭和やね」
作者「うっさいわ!w」
作者「PV4万アクセス達成!w」
作者「おめでとー!w」
作者「ありがとう!w」
せや姉「せやね」
作者「いやあ、最近は調子いいですねえ!w
最近は頭使って、真面目に書いているから嬉しい限りです!w」
せや姉「なあ、その言い方やと、
おねショタ転生が真面目に書いてなかったように聞こえるんやけど?」
作者「いや、おねショタは、おねショタで真面目に書いた!
書いたけれど、おねショタ転生のギャグ回の時は、
あまり頭つかわないで書けていた……っていうか!
おねショタは、恋愛話あまりなかったから……」
せや姉「おいい!? あれ、異世界恋愛ものジャンルなんやけど!?」
作者「でも、あっちは恋愛が中心じゃねえしぃ!w
てか、恋愛の話は、本当に頭つかうんだよ!w
頭使い過ぎて糖分がすぐに足りなくなる……!w」
せや姉「何だかなあ……」
作者「はい、そういうわけで、どういうわけだかわからないけど、
次回は4万5千アクセスでお祝いしたいと思います!w」
作者「それではまた~!」
せや姉「ほなね~!」




