38話: 母の想い出の映画
やがて、試着室から毬愛が出て来た……
「遅かったな……?」
衣料品店の店員といがみ合っていた光治は、
ふり返って……?
「ど、どうでしょうか?」
光治は、服を着替えて来た毬愛を見て、
一瞬、目を丸くし……
それから、ぷいっと横を向いて視線を逸らしてしまう……
(やべえ……!? 何、こいつ……!?)
光治は、毬愛のその姿を見て……
そんなことを考えた……
服を着替えた毬愛は、とても可愛らしかった…
金髪の髪に、白い服の組み合わせは、彩りもよく、
派手でない服装がまた、清楚な雰囲気がして
よく似合っていた……
っていうか、正直、どストライクだった……!
完全に光治の好みだった……!
正直、光治は、毬愛に
見惚れてしまいそうになったのだ……!
だが、女神に『運命の彼女』と言われた毬愛に見惚れるということは、
何だか女神達に負けたようで悔しいし、
何よりも、魅夜を裏切るようで……
そういった理由から、
光治は頑なに、毬愛を見ることを拒んだのだ……
見たら、惚れてしまうのは必至だから……
「はあ……」
だが、そんなことを知らない毬愛にとっては、
光治が頑なに自分を見ようとしないのが、
とても悲しかった……
「あの……似合わないの……でしょうか……?」
そう言って、毬愛は、今にも泣きだしそうになり、
うつむいてしまう……
だが……?
「ああ! もう!? 見てらんないよ!」
二人の様子を見ていた店員が見兼ねて、
口をはさんで来る……?
「ほら、何やってんだい、あんたは!?
お嬢ちゃん、安心しな! 彼、照れているだけだから!」
店員にそう言われて、
毬愛は顔を上げ、店員に尋ねる。
「え? そ、そうなのですか……?」
「ああ、そうだよ!
彼の顔をよく見てみなよ?
『キレイだ……惚れ直した』って顔に書いてあるじゃないか?」
そう言われて、毬愛は顔を赤らめて
嬉しそうに微笑んだ……!
「ま、まあ……!」
毬愛は、自然と顔がにやけて来るようだった……
思わず、両手で顔を抑えると、いやいやと身体を左右に動かす。
オバサン店員は、そんな毬愛を微笑みなら見て、
満足そうに頷いた……!
「うんうん、初々しい反応だ……!
まったく、可愛いねえ! お嬢ちゃんは!」
「ちょっと待て!? 何勝手なこと言ってるんだ!?」
光治は、話が何やら変な方向に進んでいると感じて、
二人の会話に、横から割って入った!
「ほ、惚れ直したって!? そもそも、ほ、惚れてなんか……!
てか、言っておくがなあ……!
これは、俺の選んだ服がよかったから、だからな!?
じ、自分のセンスに自画自賛したわけ!」
とまあ、自分でもわけがわからない話を展開した……
「は!? 女の扱いも知らないガキが
何、言ってるんだい……?
お前、今、この子泣かせようとしていたんだよ?
わかってるのかい!?」
「ぐ、ぐぬぅ……!」
光治は、そう言われて、言い返せない……!
悔しい気持ちもあるが、毬愛が泣きそうな素振りを見せたのは
本当だったからだ……
毬愛は別に彼女じゃないが、
それでも、女の子を泣かせたと言われるのは、
いい気分がしない……
「毬愛、行こうぜ!」
そう言って、毬愛の手を引いて店から出ようとする……!
「あ、あの……店員様!
ありがとうございました……!」
毬愛は、光治に手を引かれながら、
衣料品店の店員に、ぺこりとお辞儀をした……
「何かあったら、うちにおいで!
うちは、お嬢ちゃんの味方だからね!」
……
「光治様、ありがとうございます……!
わたくし、本当に嬉しいです!」
店を出ると、毬愛はすぐに
光治に、服のお礼を言った。
「ま、まあ、いいよ……
そ、それに、似合っててよかったし……」
「ふふふ……」
毬愛は、嬉しそうに微笑んだ……
光治は、そんな毬愛にドキリとしながら、
話題を逸らすように、こんなことを言い始める。
「そ、それよりさあ……
折角だから、映画見て行かないか?
さっきの『ザザ座』とかいうところで……」
光治は、衣料品店に来る前に、
毬愛が立ち止まって見ていた映画館のことを
言い始める……
「え……でも……?」
「実は、さっきの服屋がさあ……
映画のチケットくれたんだよ……
あの映画館のやつ……」
そう言って、光治は、
ペアのチケットを毬愛に見せた……
どうも、毬愛が着替えている間に、
店員に、おまけだとか言われてもらったそうだ……
「まあ……『赤い糸のふたり』ですね……」
「ああ、見たかったんだろ?
あんなに真剣にポスター見ていたもんな?」
毬愛は、確かに観たいと思っていた……
というか、チケットを目の前にして、
すぐにでも映画館に行きたい気持ちになっていた……
母の思い出の映画がどういうものか興味があったし……
それに……
もしも、光治と一緒に『赤い糸のふたり』を観ることができたら……?
(ど、どうしましょう……そ、そんなことになったら……?)
だが……
(いけませんわ……それは、魅夜様を本当に裏切ってしまいますわ!)
うきうきとして来る気持ちをぐっと堪えて、
魅夜のことを考え……
「あ、あの! それなら!
魅夜様もいらっしゃる今度の日曜に……!」
そう提案をしてみた……!
だが、光治は……?
目をつぶって首を左右に振ると……?
「それが、今日一日しか有効じゃないんだよ……
このチケット……」
残念そうに、そう言った……
「で、でも……
魅夜様を仲間外れにするのは……ちょっと……」
毬愛は、どうしても、
映画を二人きりで観ることに抵抗があった……
もちろん、光治と二人で観たい気持ちはある……
あるにはあるが……
それでも、どうしても……
二人きりで観るわけには……
だが、そうやって毬愛が渋っていると、
光治は、少し考えてから、こんな提案をして来る……?
「なあ、じゃあさあ……
魅夜も誘って三人で見る前に、
一度、どんなものか試しで、二人で観るってのはどうだ?
折角チケットがあるんだしさあ……!
てか、何か、毬愛が、あんな真剣な表情でポスター見てたから、
俺、すっごい気になっててさあ……!
何か、面白そうな気がして、早く観たいんだが!」
光治は、そんなことを言って来る……?
そりゃあ、毬愛も、
『赤い糸のふたり』を観たいには観たいのだが……
母があれだけ嬉しそうに語っていたものだし……
それに……
(ダ、ダメですよ!? 毬愛……わかってるでしょ!?
その映画を二人きりで観るというのが、どういうことか!?)
毬愛の中で警鐘が鳴っていた……
(だ、だって、『赤い糸のふたり』は……)
そうなのだ……
映画『赤い糸のふたり』は、実は、
毬愛の母が、毬愛の父にプロポーズを受けた時の映画だ……
とてもロマンチックな映画で、
気分の高揚した毬愛の父は、その勢いで
毬愛の母に結婚を申し込んだそうで……
毬愛の母はそれがとても嬉しかったようで、
ことあるごとに、その映画の話を持ち出しては、プロポーズの話を
毬愛に聞かしていた……
そうしているうちに、いつしか……
毬愛も『自分もきっと運命の人と同じ映画を観て結婚の約束をするんだ……』
そんな風に考えるようになって……
そして……
どういうわけか、その母の想い出の映画が上映されており、
目の前には光治が……
こ、これは運命なのだろうか……?
毬愛は、顔が火照って来るようだった……
(そ、そんな映画を、光治様と一緒に観たら……?)
毬愛は、ぶんぶんと首を横に振ってから……
(こ、断りましょう……!
流石に、これは今までの裏切り行為とはワケが違います……!)
毬愛は、そんなことを考えると、
息を呑んで、光治を見つめる……!
「こ、光治様……?
あの……わたくしは……!?」
だが……
どういうわけか、毬愛の視線は……
光治の唇に吸い寄せられてしまっていた……
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
さて、
光治達のいる衣料品店から100メートルも離れていない場所……
魅夜は、とある少女と対峙していた……
「ねえ……どういうこと?」
「何ですの?」
少女は、眉ひとつ動かさず、
魅夜を見つめながら聞き返した。
「とぼけないでよ!?
あ、あんた……!?
今、コウくんのとこに行かれると困るとか言ってたじゃない!?
二人が何してるか、知ってるんでしょ!?」
魅夜がそう言うと、少女は
「何言ってるの?」とでも言いたげな顔で魅夜を見つめて言う。
「そりゃあ、ラブなホテルの近くやし……
ねえ……?
言われんでもわかりまへん?」
「黙れ!? コウくんはそんなことしない!?」
魅夜は、地団太を踏んで怒り出す……!
だが、対する少女は、
そんな魅夜に、肩をすくめ、
小馬鹿にするように、こんなことを言う。
「先輩、カルシウム足りないんと、ちゃいますの?
すぐカッカ来て、まるで猿やないですか?」
「何だとお!?」
「あかん……こら勝負にならへんやん?
魅夜先輩と、陣風先輩じゃあ、
月と……いや、スッポンと月……
まるで話にならへんわ……」
そう言って、肩をすくめて、小ばかにする……
その態度が魅夜を腹立たせた……
銀髪の少女……
魅夜は、この少女を知っていた……
そう……
以前、光治が廊下で会っていた少女だ……
その時は、この銀髪の少女に光治が興味を持ったのかと思っていたが、
光治と毬愛の仲を取り持とうとしているところから考えて
どうやら、陣風家の関係者のようだ……?
「あんた!? 名前は!?」
魅夜が、銀髪の少女を指差して言うと、
少女は、ゆっくりと首を横にふってから言う。
「すいまへん、先輩……
記憶喪失なんや、うち……」
「はあ!?」
魅夜が「何を言ってるのかわからない」と思っていると、
少女は、またも肩をすくめて言い出す。
「うちも、思い出せるなら思い出したいんやけど、
何や、思い出そうすると、チリチリと頭の中が
焼けつく様に痛みおって……」
「はあ!? 何その厨二病みたいな設定!?」
そう言いながら、魅夜は、
銀髪の少女の容姿を観察する……
まあ、銀髪に、わざわざ染めているし
赤い目のカラコンなんて入れている時点で
相当こじらせているとは感じていたが……?
しかし、銀髪の少女は、むっとした顔をして
こんなことを言う……
「中二やのうて、中一や、うち……!
これでもまだ13歳やで!?」
いや、そやのうて……
まあ、いいや……
「ところで、アレは何!?」
言って、魅夜は、
自分がさっきまで乗っていた自転車を指差した!
自転車は、スタンドも立ててないのに、立っていたのだ……?
「物理法則、完全に無視してんだけど!?」
「ああ、うち……
時間を止めることができるんや……!」
あっけらかんと、そんなことを言い放つ少女に
魅夜は、開いた口が塞がらないように思った……!
「はあ!? な、何言って……!?」
「それより先輩?
こんな無駄話しててええんですか?」
「はあ!?」
「先輩達のことですわ……
日吉先輩は結構スケベやし……
陣風先輩も、まんざらでもない感じやし……
今頃、ねえ……?
うわあ、絶対ヤっとるわ、アレ……!
あーあかん! 考えたら顔から火が出そう!」
そう言いながら、少女は
両手で顔を抑えながら恥ずかしそうにする……
だが……
「あ、あんた……!?
何、変な想像して……!
コウくんをけがしているのよおおお!?」
魅夜は、拳を振り上げると……!
少女に向かって勢いよく駆けだした……!?
作者「最近、甘いものが無性に欲しくなるようになった……」
せや姉「何でや?」
作者「恋愛もの書くのに、多分すっごい頭つかってるんだと思う」
せや姉「太るで?」
作者「残念でしたあ!? 作者、ここのところ体重増加してませんからあ!?
むしろ、甘いもん食ってるのに、少しずつ痩せて来てますからあ!?」
せや姉「あっそ」
作者「おい、何だ、その薄いリアクション……」
作者「いや、そもそもさあ……」
せや姉「うん」
作者「この作者に恋愛もの書かせるのが間違いなんだよお!?(泣」
せや姉「今更過ぎやろ!?」
作者「例えば、恋愛もののゲームやっていると、
いちいち『こんな都合のいい人間いないわあ!?』tか
『何この、都合の良い展開!? ありえないでしょ!』とか
『何でこの選択肢で、そういう高評価が来るんや!? ありえへんわ!?』
とかツッコミ入れまくりで、イマイチ楽しめてないんよ、作者は……」
せや姉「なら、なして、やる……?」
作者「いや、評判いいからどんなものかなって思って……」
作者「だーかーら! 作者が恋愛もの書くのってホント
不自然なことなのー!
そもそも、そんな恋愛小説書けるぐらい恋愛上手なら
この歳まで独身じゃないわ!? ぼっち飯やっとらんわ!」
作者「って、誰がぼっちや!? やかましいわ!?
今、関係ないやろ!? ぼっちとか!」
せや姉「いや、ひとりボケツッコミすな……」
せや姉「でも、そないなら、書かなきゃええやろ? 恋愛もの」
作者「いや、こんな恋愛ポンコツ人間が恋愛小説書いたら
どういうものができあがるのかなあ……って思うじゃん?
作者、実験とか好きだし」
せや姉「もう勝手にしい……」
作者「はい、というわけで!
確信犯で恋愛ものやる気のない状態で始まったおねショタ転生と違い、
今回のセクロスは、割りと真面目に恋愛ものやる気で
最初から書いてるのだ!w」
せや姉「せやね」
作者「で、今ひっしで、自分の体験談と妄想を混ぜながら書いてるのよ!
現代恋愛ものだから、実体験を活かせるのがいいよね!w」
せや姉「ん? 実体験?」
作者「何か?」
せや姉「あれ? あんたって確か……? デートは……」
作者「ああ、そうだよ! 作者、デートなんて
生まれてこの方、1回しかしたことないよ!?
しかも、近所のスーパーに行ったぐらいだよ!?
ほとんど、恋愛経験値初期値みたいなもんだよ!?
何か文句あっか!? ああん!?」
せや姉「ほぼ妄想やんけ!? あんたの書いてる小説!?
どこが実体験や!?」
作者「いや、実体験だよ?」
せや姉「どこがや!?」
作者「いや、実際にいる人物を対象に
『この人と恋愛したらどうなってるかなあ?』と
妄想したことを書いているから!w」
せや姉「なお性質悪いやんけ、それ!?」




