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 37話: ありがとうを君に

2日もお休みをいただいて、ご迷惑おかけしました。

無事戻りましたので、これからもどうかよろしくお願い致します。

 光治は歩きながら、スマホの地図アプリを起動させると、

 近くの衣料品店を探した。


「お、こんな近くにあるぞ」


 普段入らないような路地裏に来たから調べてみたが、

 ここから歩いて数分もしない所に、それらしき店が見つかった。


 早速、毬愛に伝えようと、ふり向いたが……


「毬愛……?

 服屋見つけたから、行こう……ぜ?」


 毬愛は、光治よりずっと後ろの方で立ち止まり、

 目の前の建物をじっと見ていた……?


「毬愛? どうしたんだよ……?」


 光治が近寄って、声をかけると……


「こんなところに映画館がございますのね……?」


 毬愛が見ていた建物は、古ぼけた映画館のようだった……?

 看板には「ザザ座」と書かれていた……


(ザザ座って……)


 古い映画館だと「○○座」と名付けることがあるが、

 それにしてもザザ座……


 名前をつけたやつが余程適当に考えたのか、

 それとも、「ザザ」というのに何か意味があるのか……

 いずれにせよ……


(センスねえなあ……)


 まあ、語感の響きがインパクトがあるから、覚えやすくはあるが……


 光治は、苦笑しながらそんなことを思った。


「映画館……」


「ああ、うん……

 俺も、こんなところに映画館があるとは思わなかった……

 俺、この辺よく来るけど、この映画館は初めて知ったし」


 まあ、こんな路地裏、普通入らないし、

 地図アプリにも名前が載ってないから気付かなくて当前だろう……

 光治はそんなことを考える……


「それに『赤い糸のふたり』……ですか……」


 毬愛は、映画館の掲示板に貼られているポスターを見ながら、

 ぽつりと呟いた……


 毬愛の、その目は、真剣そのものといった感じで……?

 何やら、そのポスターを食い入るように、じっと見つめていた……


「気になるのか?」


「え?

 え、ええ……まあ……

 母が好きだった映画なので……」


 それは、毬愛にとって想い出の映画だった……


 と言っても、毬愛自身は、その映画自体は、今まで観賞したことがない。

 毬愛の母が嬉しそうに語っていたのを聞いただけだ……


「まさか、こんな古い映画を

 まだ上映している映画館があるとは思わなかったので……」


 そんなことを言いながら、毬愛は、

 何か、その映画館に特別な縁があるように感じていた……?


「ふーん……古い映画館だし、昔の映画を上映しているのかもな?」


「そうかも知れませ……」


 言って、毬愛は光治の方を振り向き……


 目と目が合う……


「ん……?」


 それは、光治の気のせいだろうか……?

 毬愛の目が潤んで見え、

 顔がほんのりと紅潮しているように見えた……?


「ま、毬愛……?」


 光治が声をかけると、毬愛は、はっとしたように我にかえり、

 ブンブンと頭を何度も横に振った……


(いけないわ……何を考えてますの、わたくし……?)


 毬愛は、誤魔化すように咳払いをすると、

 にっこりと微笑んで、光治に尋ねる。


「あの、それより、お洋服屋様が見つかりましたの?」


「あ、ああ、そうだった……!

 こっちにあるみたいだぞ?」


 光治はそう言って、

 毬愛の前に立って、道案内をする……


 毬愛は、そんな光治の背中を

 少しぽぉ~っとした感じで眺めながら思うのだ……


(さっき、光治様の唇から、目が離せなかった……)


 そして、また頭をブンブンと振ると、

 悲しげな顔をしながら、

 自分の手の甲を、自分でつねった。


(本当に汚らしい女ですね……毬愛……

 貴女はどこまで、お友達を裏切ろうというの……?)


 そんなことを考えながら、毬愛は、光治についていった……


(でも……)


 毬愛は……

 光治と一緒に、母の思い出の映画を上映している映画館を

 偶然見つけたことに……

 どうしても、何か運命を感じずにはいられなかった……


■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


 さて、地図アプリを頼りに、しばらく行くと、

 衣料品店は、路地裏を出てすぐのところにあった……


 そこは、こじんまりとした小さめの店舗で、

 割引セールの品が多く、質より量で売っている雰囲気であった。


 光治は、店の様子を見て、

 何となくチープな雰囲気から、

 『こんなところ、毬愛みたいな、お嬢様に相応しい服あるか?』などと思い、

 毬愛に、嫌なら他の店にしようかと尋ねたが、

 毬愛は……


「いえ、早く服が着たいだけなので……」


 とだけ言って、店の中にガンガン進んで行った。


 ……


 毬愛は、服を選びながら、

 どうしても、さっきの光治の行動が気になって、思い返していた……


 つまりは、ラブなホテルを前にして……

 光治は、毬愛から目を逸らした、あの行動だ……


「はぁ……」


 考えれば考えるほど、気分が暗くなる……

 何故、あの時、光治は毬愛から目を逸らし続けていたのか……?

 何故、毬愛を見てくれなかったのか……?


 いや、そんなこと決まっている……


(きっと……わたくしに、

 女としての魅力がないからでしょうね……)


 そんなことを考えて、

 毬愛はため息を吐いた……


 そして、そんなことばかり考えていたせいだろうか……?


「お、おい……毬愛?」


「え? 何です?」


「お、お前、そんなの着るの?」


「へ」


 毬愛はそこで初めて、自分の手に握られているものを見ると……?

 紫色のスケスケでゴテゴテのネグリジェのような、

 娼婦が着るような衣装を手に持っていた……!?


「な、何ですの……!? これ!?」


 毬愛は、びっくりして声をあげた!?


「な、何ってお前……自分で選んで持ってたんだろ?

 大丈夫か?」


 きっと、女としての魅力を考えていたからだろう……

 つい、それ系のものに手を出してしまったのだ……!?


 毬愛は慌てて、服を棚に戻すと、

 顔を真っ赤にして、俯いてしまう……


 光治は、そんな毬愛が何やら可愛らしく思えて

 つい悪戯心が湧きおこって来る……


「なあ、毬愛ってさあ……?」


「は、はい? 何ですの?」


「コートがあるとはいえ、下着姿で駅まで出歩いたり……

 あんなエロい衣装選んだり……

 え? え?

 やっぱりそういう趣味なの、やっぱ?」


 光治がニヤニヤしてそう言うと、

 毬愛は、真っ赤な顔を更に真っ赤にして怒り出す!


「ち、違いますわ!?

 光治様! 失礼ですわよ!?」


 毬愛は、怒りながら拳をつくり、

 光治に殴りかかるようなフリを見せる……!


「お、怒るなよ……!

 冗談だって……!」


「ま、まったくもう!」


「ごめんって! 悪かった!」


 光治は、両手を合わせて、毬愛に平謝りをした。


 毬愛は、そんな光治を見て、

 『フン!』と言いながら、横を向いてしまう……!


「か、考え事してて、何も考えずに握っておりましたの……!

 あんなエッチなのは、流石に着れませんわ……!」


「だよなぁ……毬愛には大人っぽ過ぎるもんな」


「大人っぽ過ぎる……

 そ、そうですわね……」


 毬愛は、光治の言葉を復唱し……

 少し心が傷ついた……


(やっぱり、子供っぽいのかしら……わたくし……?)


 そんなことを考えながら、

 自分の幼児体型な身体を、陰鬱とした気分で眺めた……


 しかし、光治は、毬愛のそんな気持ちなど考えもせず……?


「お前はさあ……

 こっちの方が似合うと思うぞ……?」


 そう言って、あまり飾り気のない、襟付き白い服を選んで、

 毬愛に渡した……?


 毬愛は、渡された洋服をじっと眺める……


「えらく、シンプルなものをお選びになられますのね……?」


 毬愛は、目をパチクリさせながら、

 白い服を眺めた……


 流石に無地のTシャツ程ではないが、

 フリルなどもほとんどなく、

 どちらかというとブラウスなどに近いように思われたが……


「気に入らないか?」


「いえ、そうではないですけど……

 わたくし、普段、こういうのは余り着ないので……」


 いつもは、『ザ・お嬢様』というような

 鮮やかな色どりのワンピースのドレスだ……

 間違っても、こんな地味な感じの洋服ではない。


「いや、お前は、元が金髪の美少女で目立つから

 そういう飾り気のない服の方が、

 却って似合うと思ったんだ……」


「え?

 なななな、何を仰ってるんですの!?」


 毬愛は、光治の『美少女』という言葉に反応し

 顔を真っ赤にして慌てだす……!


 だが、ああ……!

 鈍感な光治は、

 毬愛が顔を真っ赤にしたのは、怒ったからだと思い、

 こちらはこちらで慌てだした!?


「い、いや! 気に入らないなら、他のにしても……!」


「い、いいえ! 着ます!

 わたくし、この服にします!」


「へ?」


「た、たまには、こういうのもよろしいかと……!」


 毬愛が、そう言うので、

 その服に合うように、スカートも選ぶと、

 店員に言って、それらのタグ等を外してもらった。


「お支払いは、わたくしがしますから……!」


 毬愛が誰よりも先にそう言い出すが……?


「いいや、そっちの君が払いなさい……!」


 店員のオバサンは、光治の方を見ながら言った。


「お、俺?」


 光治が不服そうにそう言うと、

 店員は、光治に耳打ちをして言う。


「当たり前だ!? デートなんだろ?」


「はあ!? 何言ってんの!?」


「男女平等とか最近ではよく言われるけどさあ……

 やっぱり、こういう時は男が払ってあげるべきだと

 お姉さん思うわけよ!」


 光治は『何言ってるんだ、このオバサン?』などと思いつつ、

 現在、中学生である自分と、オバサンの体格差を考えて、

 下手に逆らわない方がいいな……と判断した。


 それにまあ……

 タイムリープのお陰で、中学生に戻った光治にとって

 今、小遣いを使いたくなる程のものがなく、

 若干ではあるが、手持ちに余裕があったのだ……


「わかったよ……糞っ!」


 まあ、いい……

 毬愛には、色々と迷惑かけたみたいだし、

 それに、よく考えたら、

 魅夜を光治の学校へ転校させてくれたお礼もしていなかった……


「まいどあり!」


 店員は、にこにこ顔で

 光治からお金を受け取った……


「こ、光治様……?

 本当によろしかったのですか……?

 わたくしの方が……その……お金は……?」


「いいよ、もう払っちゃったし……

 それより早く着替えて来いよ?」


 そう言って、光治は、毬愛を

 動物を「しっし!」と追い出すかのように

 手であしらって、試着室へ促した。


「こら!? 何て態度だい、あんた!?」


 店員に横から怒られる!


「うるさいな! 余計なお世話だろ!?

 てか、いい加減にしろよ!? 俺、客なんだけど?

 なに、失礼なことばかりしてんの!?」


「こんの!? 糞生意気な!?

 折角、青臭いガキ同士の仲を

 取り持ってやろうとしてんのに!?」


 そんな二人のやりとりを見てから

 毬愛は、微笑みながら、

 大事そうに衣類を抱えて、試着室へ入って行った……


「魅夜様……ごめんなさい……

 でも……」


 そう言って、毬愛は、目を閉じる……


 抱えた衣類が、何だかすごく……

 あたたかく感じたのだった……


「光治様……ありがとう……」


----------------------------------------------------------------


【今回の没シーン】


「なあ、毬愛……思ったんだけどさあ……?」


「何ですの? 光治様……?」


「今、思ったんだが……

 パンツをお前に返すんじゃなくて、

 昨日のうちに、俺が、

 どこかのコンビニのゴミ箱とかに捨てれば、

 こんな面倒なことにならなかったんじゃないだろうか?」


「あ……」


 一瞬、毬愛が凍りついた……


「どうせ、お前はパンツを捨てるって言ってるんだし、

 それなら、俺が捨てちゃっても同じだよな?

 そしたら……

 お前は、俺に会わなくても済むんだから、

 わざわざ下着姿にならなくても……」


 そして……


「ぐすっ!」


「ま、毬愛!?」


 突然、毬愛が泣きだして、光治はびっくりした!


「ど、どうしたんだ!? 大丈夫か!?」


(わたくしの苦労は……一体!?)



評:何かギャグを入れるとゴチャゴチャするので没にしました。

作者「恥ずかしながら、帰ってまいりましたあ!」

せや姉「せやね」

作者「本当は、今回のお話、

   今日の午前中とかに予約投稿する予定でしたが、

   帰って来て、もう疲れて疲れて……へとへとで……」

せや姉「そんなに疲れとったんか……」

作者「あと、なんかさあ……」

せや姉「うん」

作者「前回のあとがきで『最近高校生が怖い』とか書いたじゃん?」

せや姉「うん」

作者「嫌がらせのように、行く先々で

   高校生といっぱい出くわしまくったんですが!?」

せや姉「へえ……」

作者「何か、地元の高校のイベントにぶち当たったみたいで

   もう何十人という高校生の集団とぶつかってしまって……」

せや姉「ほう……」

作者「もうねえ……ああいうキラッキラした子達を見ていると、

   気分が沈んで来るんよ……」

せや姉「なして?」

作者「だって!? 若々しいんだよ!?

   作者なんて、最近富みに歳とったと感じるのに!?」

せや姉「ひがみかい……」

作者「あーあ! 何で自分は、高校時代の、あのモテまくってた時に

   まともな恋愛のひとつでもしなかったんだろう!?

   って思うわけですよ!?」

せや姉「結局それか……」

作者「てか、結婚したいんじゃあ!? 相手がいないんじゃあ!?

   子供欲しいんじゃあああああああああああああ!!!!!

   タイムリープがあるのなら、あの頃のモテまくってた時代に戻って

   高校生の自分に説教くらわせてやりたいんじゃあ!?」

せや姉「もうやめや……聞いてて痛々しくてかなわん……」

作者「だけど、こういう小説を書いている身としては、

   高校生が何やってんのかな、って観察する癖がついているわけで……」

せや姉「うわあ……」

作者「な~んか、スマホで動画見せ合いっこして楽しんでた、男も女も……」

せや姉「ふーん……」

作者「でも、ま……

   作者、今でも顔だけはいいから、高校生達も

   チラチラこちら見て、意識してるようだったけどね!w」

せや姉「おい」

作者「いやあ!w これは高校生と付き合っちゃう? 付き合っちゃう?w」

せや姉「いや、犯罪宣言を堂々とされてもなあ……」

作者「おい……」

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