36話: ラブなホテル と 下着令嬢
「えーと……毬愛か?」
駅で待ち合わせをしていた光治は、
自分に近づいて来る、少し小柄な人影に、
半信半疑ながら、そう声をかけた……
「え、ええ……わたくしです、光治様……」
その人影がそう言って、
かけていたサングラスと、マスクを外した……
「えーと……何? その格好?」
光治は、苦笑しながら言った。
毬愛は、丈の長いコートを着ていた……
夏はまだ先だが、春も過ぎ、
これから暑くなっていくこの時期に、
とても不釣り合いな格好だった……?
(暑くないのだろうか?)
光治がそう思いながらも、
早く用件を済ませようと、口を開きかけた……
「えーと、早速だけど……」
その時だった……!?
毬愛が突然、両手で顔を覆って
泣きそうな声で言い出したのだ……!?
「光治様! お願いです!
わたくしを、お洋服屋様に連れていって下さい!」
「はあ!?」
光治は唖然として聞き返すと、
毬愛は周りをキョロキョロと見てから、こう言い出す。
「あ、あの……!
はしたないとは存じますが……
い、今……こういう状態なのです……」
そう言って毬愛は、光治の側まで近寄り、
コートをチラリとめくって見せる……?
「ブッ!?」
光治は、思わず、噴き出す……!
毬愛のコートの下は……
上下とも下着姿だった……!?
「し、白……」
光治は、その下着を上から見下ろすように見ながら
思わず、そう呟いた……
「あ、あまり見ないで下さいまし……」
光治が、じっと見ていると、
毬愛は恥ずかしそうに言って、コートを手繰り寄せ、着込んだ。
「ご、ごめん……
でも、どうしたんだ、それ?
えーと、もしかして……そういう趣味とか?」
光治が恐る恐る、そう尋ねると、
毬愛は、顔を真っ赤にして怒り出す……!?
「ち、違いますわ!?
これは、うちのメイドさんが
変な気を利かせて、変な服ばかり用意するもので……!
き、着れるものがなくなってしまって……!」
毬愛は、メイドの恵理子さんが用意した
バニーガールの衣装やら、水着やらを、頭に思い浮かべた……
はては、どこから調達したのか、猫の着ぐるみまで……
毬愛は、思い出していると、頭痛がして来るようだった……
だが、そんな毬愛の話を聞いて、
光治は、首を傾げる……?
「そんな、メイドの用意したもの着なくても、
自分で服選べばいいじゃないか?」
すると、毬愛は、溜め息を吐く……
「なんだ?」
「それが……
タンスに鍵をかけられてしまって……」
「え?」
「下着を盗まれたことを、ついメイドさんに言ってしまったのが
いけなかったのですわ……
光治様の話をしましたら……
すぐに、家中の私のタンスに、鍵が取り付けられてしまいまして……
わたくしの自由に服を選べなくなってしまいましたの……」
「うわあ……それは……」
どうも、『下着を盗まれたらしい』というのが
メイドのプロ意識に、火をつけたらしい……!
『この陣風家からお嬢様の下着を盗むとは羨ま……もとい!
何と不埒な輩……!?
私どもへの挑戦状と受け取ります!』
そんなことを言って、一晩でタンスに鍵をとり付けたのだ……!
毬愛は、家中のタンスだから、
急いでも2日はかかると思っていたので、余裕で構えていたら、
学校から帰って、タンスが全て使えなくなっていると教えられ、
愕然としたらしい……
「そんなこと知りませんでしたから、
制服は、すぐに洗濯し始めちゃいましたし……!
かと言って、鍵を開けていただこうとしたら……
鍵がいっぱいあり過ぎて、
どのタンスの、どの引き出しの鍵か、わからなくなりました、
などと言い出して……」
毬愛は、そう言いながら、目に涙を浮かべ始めた……
「ですから、下着姿で……
でも、流石にそれだけだと恥ずかしいので、
その上にコートだけ着て、ここに参りましたの……!」
「わ、わかった……
な、何か悪かったな……
色々と……」
「いえ、光治様が悪いわけではありません……
悪いのは、わたくしの下着を盗んだ泥棒様です……
もう、本当に、何の恨みがあって、こんなこと……」
毬愛は両手で顔を覆い始めた。
「とにかく、そういう事情なら
まず、服買うのに付き合うよ……」
そう言って、優しく微笑む光治に、
毬愛の胸は、ドキリとする……
「よ、よろしくお願いします……」
だが……?
その時、毬愛は、ふとその時思った……?
もしも、今、
光治と買い物に行っているところを
魅夜が見ていたら、どうしよう?
小型ドローンは使わないよう、魅夜に言っているが、
もしかしたら、光治のことが気になって、
ドローンを飛ばしているかもしれない……?
そうしたら……
(まずいですわ……!?)
こんなところを見られたら、
魅夜に誤解されてしまうではないか!?
し、しかも!
今の毬愛は、コートを着ているからわからないとは言え、下着姿……!?
見ようによっては、光治のことを積極的に誘っているように見える……!?
「光治様! ろ、路地裏を参りましょう!?」
毬愛は、ドローンから身を隠すために、
路地裏に入ることを決意した!
「は?」
「こっちですわ! 早く!?」
毬愛はそう言って、光治の腕を引っ張り、
路地へと連れ込んだ。
ブロロロ……
後ろを気にすると、
かすかに、ドローンのようなプロペラ音が……?
「あ、危なかった……ですわ……?」
毬愛はそう言って、胸を撫で下ろす……
「はぁ……はぁ……毬愛、どうしたんだ、急に?」
「い、いえ、少し……
人目につくところだと困るもので……!」
「ああ、そんな格好だものな……
恥ずかしいのは……わかる……けど……?」
そう言って、光治が固まる……?
「光治様……?」
毬愛は、小首を傾げていたが、不思議に思い、
光治の見ている方向を見て……?
「ブッ……!?」
目に入って来た看板に、思わず噴き出した……!?
『ご休憩××××円
ご宿泊××××円』
どっからどう見ても、ラブなホテルだった……
「あ、あのさぁ……ま、毬愛……?」
光治が、視線を泳がせながら、
何か言いたそうにしてる……
「ち、違……これは……!?
わ、わたくし、そういうつもりは……!」
毬愛が顔を真っ赤にして、そう言ったが、
光治は、毬愛の目を見ようとしない……
毬愛は、大きく溜め息を吐くと、
泣きだしたくなるのを、ぐっと堪えて、光治に言う。
「そんなことより、光治様……?
は、早く……お洋服屋様へ……!」
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「何で繋がらないの!?」
魅夜は、自転車を走らせながら
苛立ちながらスマホの通話を切って、そう叫んだ!
自転車に乗りながらスマホなんて
危険極まりない行為だが、今はそんなこと言っている場合ではない!?
あの二人……!
光治と毬愛が……二人で会っているのだ……!?
しかも、さっきから試しているのだが、
電話、メール、LINE、全てで
繋がらない、or 連絡が来ない状態……!?
単純に、出られない状況か……
それとも、出られないところにいるのか……?
出られないところ……?
つまり、電波が遮断されているところだ……?
しかも、通話にすぐ出られない状況……
どういうとこだ……?
いや、そんなの決まっている……
魅夜の頭の中に、
さっき地図アプリで見たラブなホテルの名前が浮かぶ……
「ありえない!
そんなもの、あっちゃいけないの!?」
魅夜は、ぶんぶんと頭を横にふって、そう叫んだ!
あの誠実な愛を語ってくれた光治が、魅夜を裏切るわけがないし、
それに、フェアな毬愛が、抜け駆けするようにはとても思えない……
「で、でも……でも!?
それじゃあ、何で二人は……!?
あんなところで、二人で会って……!?
陣風毬愛……! あ、あんた……!? あんた、まさか!?」
いやいやいや! 冷静になれ!?
もしかしたら、
単純に偶然ばったり会っただけかもしれない……!?
そんな考えも過ぎったが、
それにしても、ラブなホテルの近くで
偶然ばったりなんてあるのだろうか……!?
「ぐぬ!? ぐぬぬぬ……!?」
嫉妬心で顔が歪んで来るようだ……!?
もはや魅夜は、実際に自分の目で真実を確かめなければ
気が済まない状況にあった……!
「でも、もうすぐだ……!
もう少しでわかる!」
ここまで全速力で自転車をこいで来た……!
あと5分もしないうちに、さっきCOROちゃんで見た現場に
辿りつけるだろう……!?
「で、でも……?」
でも、着いたところで、
どうしたらいいのだろう……?
魅夜の誤解だというのなら、それでいいが……
もしも二人が本当に……ラブなホテルで……!?
チョメチョメなんかしていたら……!?
「ぐっ!?」
思わず、自転車のハンドルを強く握りしめる……!?
怒りで自分がどうにかなってしまいそうだ……!
「陣風毬愛……! あ、あんたのこと!
信じているんだからね!?
私達、友達なんだよね!?」
魅夜は、心と裏腹なことを言って……
そして、その時だった……!?
「え……?」
突然、こいでいたペダルが重くなったのだ……!?
「何……!?」
いくら力を入れても自転車のペダルが動かない……!?
立ちこぎに変えても、何をやっても駄目……!
まるでペダルが固まってしまったように、びくともしない……!?
「はっ!?」
魅夜は、慌てて自転車から飛び降りた……!?
誰かの殺気が感じられたからだ……!?
そして、地面に着地すると……
「誰よ!?」
殺気のした方向を向く……!
すると、建物の陰から……
ゆっくりと人影が現れ始めた……?
「今、あんたに出て来られると、困るんですわ……
魅夜さん……いや、先輩?」
「あ、あんたは……!?」
そう、そこには……
魅夜の知っている人物がいた……!?
作者「えー……以前、『もしかすると』ということで
告知していたのですが……」
作者「すみません、やっぱり
9月19日~9月20日、連載お休みさせて下さい!」
作者「楽しみにしている方達には申し訳ないのですが、
ちょっと、書ける状態になくなるので……」
せや姉「そか」
作者「無理すればいけるかもしれないけど……
ただでさえ雑な文章が、さらに雑になるだけだから
そんなん誰も読みたくないよね! と思いまして……」
作者「いやあ、連載中に2日も休んじゃったら
PV、ブックマーク減っちゃうんだろうなあ、とは思いつつ、
どうしても外せない用事があるので……
ごめんなさいm(_ _)m」
せや姉「そか」
作者「ちょっと東北の方へ行ってまいります……(ずーん
みんな! 生きてたらまた会おうぜ……!」
せや姉「何があった!?」
作者「最近、重要なことが判明しました……」
せや姉「どした?」
作者「何か、高校生が怖い……」
せや姉「は?」
作者「いやあ、最近、コンビニのイートインで
お昼ご飯食べているんですが……」
せや姉「コンビニ飯かあ……
まあ、ぼっち飯よりマシやないの?」
作者「まあねえ! 夏場のぼっち飯はまだいいんだけど!
冬場って、結構きつい!w
一人になれるようなところって大抵寒いところだから!w
ガチガチ震えながら、公園のベンチとかで食べていると
ホント、真面目に人生について考えさせられる……
しかも、近所の子供とかに指差されながら……」
子供「ママー! この間の人、またいるよー?」
母親「こら! 何言うの!?」
子供「妖怪ウォッチの妖怪さんみたいだよねー!」
母親「ふふふ、ごめんなさいねえ、ふふふ……」
作者「……てな会話が聞こえて来たりして……
なんか……すっごくみじめに思えて来て……ぐすっ!」
作者「って、誰がぼっちやねん! やかましいわ!w」
せや姉「あの……あのな?
あんたの、そのボケ、流石に悲し過ぎて全然笑えんのやけど?」
作者「で、話戻すけど、
イートインで食べてて、高校生が隣の席に座ると、
な、何か、一刻も早く席を立ちたくなるのよ!?」
せや姉「なしてや?」
作者「いや、自分で被害妄想だとわかってるんだけど……」
作者「な、何か、高校生ぐらいの子から見たら
自分みたいな大人って、やっぱ気持ち悪い存在なのかなあ……って。
そしたら、何かさあ……
相手に不快になられる前に、一刻も早く去った方がいいかなって
思ってしまって……(ずーん」
せや姉「自信無さ過ぎやろ!?」
せや姉「てか、どうした!? ついこの間、
モデルにスカウトされただけあって
二度見する人とか、恥ずかしそうに目をそむける人が
おる言うてたやん!?」
作者「やっぱ!? そう思う!? そう思う!?
いやあ、作者顔だけはいいからなあ! げへ! げへへへ!」
せや姉「すぐこれや……」




